要約

  • AFRINICの2025年理事会再建は、2020年定款の空席・選挙規定(第13.2条・第13.14条)に基づき、マウリシャス最高裁が任命した受託者が執行することで行われた [10]
  • 規約審査委員会(BRC)草案の事業継続メカニズム(草案第13.10条)は採択されず、効力を持つ文書ではなかった [11]
  • 2025年6月23日の選挙は不規則事項(委任状使用の疑いを含む)により無効化され、2025年9月30日までの再選挙が命じられた [4]
  • 2025年9月5日、マウリシャス最高裁はCloud Innovation Ltd対G Dabee両名事件(SC/COM/WRT/000599/2025)において、選挙管理委員の監督下で9月12日の選挙を遂行するよう受託者に命じた [5]

この監査の中心となる問いは、理事会の空席状態において、どの規定が実際に権限の根拠となったかである。AFRINICの現行定款(2020年)は、理事会の選挙手続きを第13.2条に定め、空席の補充を第13.14条に定める。理事会議決定の定足数は第19.6条が規定する [0]。

一方、定款審査委員会が提示した改正憲章草案は、事業継続メカニズム(草案第13.10条)として、残存理事を定足数とみなす規定を提案した。しかし、この草案は加盟員投票を経ておらず、採択されたことも、効力を持つこともなかった [1]。

2025年の選挙ガイドラインは、定款第13.2条に基づいて起草され、マウリシャス最高裁が受託者(Vikash G Dabee氏)に選挙権限を排他的に授けたこと、理事が在任していないため受託者が選挙目的で理事会の全権を行使すると明示した [2][3]。座位1〜8は加盟員選挙による3年任期で、第9座位(CEO)は座位1〜8の多数決により任命される [2][3][8]。

2025年6月23日の選挙は、委任状使用を含む不規則事項の疑いにより受託者が結果を無効化し、最高裁に報告した。命令は延長され、再選挙は2025年9月30日までに実施されるとされた [4]。9月5日の裁判所命令は、選挙管理委員の監督下で選挙を遂行するよう受託者に命じた [5]。これとは別に、ICANNによれば、2025年6月の裁判所決定は、Cloud Innovation Ltdの誤った会員登録と、理事会不在下での指名委員会設立の経緯を加盟員に通知する共同声明の発行を受託者に命じた [6]。

受託者任命の出発点は、2025年2月12日の破産部命令(SC/COM/MOT/000082/2025)であり、同命令は2009年会社更生法第187条に基づきGowtamsingh/Vikash G Dabee氏を公式受託者に代わる受託者として任命し、資産保全と定款に従った理事会再建を任務とした [7]。

つまり、理事会再建を可能にしたのは、(1) 2020年定款の空席・選挙規定、(2) マウリシャス破産法上の受託者制度、(3) 法廷命令による権限付与という三層であり、草案に存在した事業継続メカニズムはこの過程に一切関与していない。これは「規約による継続」と「監督による継続」の区別を条文レベルで示す事例である。

参考文献

  1. AFRINIC Bylaws (2020)
  2. Draft Proposed Amended AFRINIC Constitution (BRC)
  3. Election Guidelines (svn.afrinic.net)
  4. Election Guidelines (election.afrinic.net)
  5. Receiver communiqué on annulment and new elections
  6. AFRINIC communiqué dated 06 September 2025
  7. ICANN announcement, 20 June 2025
  8. Notice of Appointment of Receiver (afnog, quoting AFRINIC)
  9. AFRINIC Directory entry (BTW, 日本語)
  10. AFRINIC 2025 Board Election page