要約

  • The WELLは1985年4月、借用したVAXと12本の電話回線で有料登録を開始し、同年6月にUsenetと他のネットワーク機器とのメール交換を加えた。
  • 同じ年表はインターネット接続を1992年1月と記し、その後にデータベース検索や他のインターネットシステムへのログインが可能になったと説明する。

分析

The WELLの沿革には、ひとつにまとめられやすい二つの日付がある。電話回線で利用するサービスは1985年に始まり、インターネット接続は同サービスの年表で1992年とされる。「オンライン」は利用者がサービスに接続した状態を指す言葉で、それだけではホストがどのネットワークやサービスに届いたのかはわからない。

1995年の10周年年表は、Ron Pernickが中心となり、Cliff FigalloとGail Ann Williamsの協力で作成された。記録によると、コンピューターは1985年2月に稼働し、4月1日に有料登録を開始した。借用したVAX 11/750、Unix、会議ソフトPicospan、12本の電話回線が挙げられている。Computer History Museum所蔵の案内パンフレットには、パソコンとモデムで番号に発信し、ログイン画面から登録する手順が示される。初期の境界は電話回線とアカウントであり、ブラウザーやインターネットアドレスではなかった。(The WELLの年表; Computer History Museum所蔵パンフレット)

外部との情報交換はほどなく始まるが、それも別々の段階だった。年表によれば、1985年6月にThe WELLはUsenetニュースグループを提供し、世界各地の他のネットワーク接続コンピューターと電子メールを交換し始めた。同年12月にはUniNet経由のパケット交換接続が利用可能になり、遠距離からのアクセス料金を抑えられるようになった。したがって、年表がインターネット接続と呼ぶ時点より前に、外部との交換と、ホストへ安く到達する経路が存在した。ただし、1985年のメールがどの経路・プロトコルで運ばれたかは資料に記されていない。

次の節目は明確に別記されている。The WELLのインターネット接続は1992年1月に稼働し、ユーザーはデータベースを検索したり、他のインターネットシステムへログインしたりできるようになった。年表は、接続によってサービスの利用者層が広がったとも説明する。初期メンバーのHoward Rheingoldも、1992年の接続後に起きた変化を自らの経験として記している。これは新しい機能と参加範囲の証拠であり、完全なネットワーク構成図や利用者数の集計ではない。(The WELLの年表; Rheingold『The Virtual Community』第2章; 第3章)

この時間差を入れると、歴史の見え方が変わる。The WELLはインターネット接続まで外部と断絶していたわけではないが、初期のメール交換だけで後年のインターネット接続が成立していたとも言えない。電話会議サービスから始まり、ネットワーク上の機能、パケット交換アクセス、そしてインターネット接続へと進んだ。段階ごとに、届く情報、接続方法、参加可能な人々が変わった。年表はその区別を示す有用な回顧資料だが、1995年の記念事業として編まれたもので、当時の運用ログではない。(The WELLの周年口述史)

一次資料