要約
- RFC 2135は1996年6月時点で改正されたInternet Societyの規約を1997年に情報文書として刊行した。通常の組織会員の年間拠出基準は1万ドルで、条件を満たす非営利・政府組織には半額、設立後3年以内の組織には1000ドルの暫定区分があった。
- 理事を選ぶ経路は個人正会員に置かれ、その拠出基準は35ドルと記された。学生会員は明示的に議決権がなく、会長も職務上の理事だが理事会で票を持たない。
- 理事会は定足数を満たす会議の通常案件なら出席者の過半数で行動できる一方、一部の統治事項には在任理事の5分の4が必要だった。会議を開かない書面決議には全理事の同意を要した。
会員区分をつくる金額と、理事を選ぶ資格
規約の数字だけを並べると、1万ドルの組織と35ドルの個人には大きな開きがある。しかし、その差を票の重みと読むことはできない。通常の組織会員になるにはその会計年度に少なくとも1万ドルを拠出し、非営利組織や政府機関など一定の条件に当てはまれば半額になった。新設組織には最初の3年間、年1000ドルのスタートアップ会員枠があり、この枠に半額割引は適用されない。翌年以降の一部の基準額は理事会が別に定め得た。
それに対してRFC 2135本文の第II条は、理事となる資格を個人正会員に限定し、同会員が投票権のある理事を選ぶための手続きを理事会が整える構造だった。会長は職務上、投票権のない理事となる。選ばれた理事の離任による欠員は理事会が一時的に補充できたが、残任期間について改めて個人正会員による選挙を行う仕組みである。組織の拠出が、個人会員に割り当てられた理事選挙の票へ直結するという条文ではない。
創設会員や先駆会員という呼称は、時期や継続した会員資格を示した。さらに議長は創設会員と通常の組織会員の代表からなる諮問会議を設けることができた。そこで意見を述べる余地と理事を選出する権限は別である。学生会員の拠出額に関する刊行本文は欠落したような文言だが、学生に投票権がない点は明記されている。本文だけから当時の有権者数、投票率、社会的な代表性を算出することもできない。
決議の種類が変われば分母も変わる
通常の理事会では、在任する投票権付き理事の過半数が定足数だった。定足数を満たした会議に出席した理事の過半数による行為は、原則として理事会の行為となる。ところが規約がより高い賛成数を明示するときは、その特則が優先する。理事の数や選挙に関わる一定の行為、欠員補充の任命、執行委員会の設置、一部役員の解任、規約改正には在任理事の5分の4が必要だった。規約改正には提案を会議通知に含める条件もあった。
「出席者の過半数」と「在任者の5分の4」は同じ数字の言い換えではない。一方で、すべての役員人事に5分の4を当てはめるのも誤りで、会長の任免などには別の多数決規則があった。会議を開かずに行動する場合は全理事が内容を記した文書に同意しなければならない。会議の有無を問わず行為は議事録に記載し、保存するよう求められた。ただし保存義務から個別の議事録の公開や、実際の手続きの適法性を推定することはできない。
RFC Editorの書誌記録は本書をInformationalとし、技術標準ではないと明記する。規約は1996年6月の改正状態であって、後年のInternet Societyの規約とは理事の選出経路も異なる。当時のIETFとISOCの関係を論じたRFC 2031も、インターネット標準の開発・品質に関するIETFの責任と、ISOCの法務・組織面の支援を区別していた。法人への資金提供を技術規格の決定権に読み替えてはならない。
1996年の制度から分かるのは、誰がどの入口から参加し、どの行為にどれだけの理事の賛成が必要とされたかである。実際の結果を論じるには、当該年の会員名簿、選挙記録、会議通知、出席と議事録がさらに要る。
出典
- RFC Editor、RFC 2135、第II・V・VI・VII条。
- RFC Editor、RFC 2031、IETFとISOCの関係。
- Internet Society、後年の改正規約、年代の対照のみ。
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