要約

  • 2000年6月の移管契約は、既存の .ca 登録すべてに同じ手続きを課したわけではない。「その他」の登録は、猶予期間内に認定レジストラ経由で同じ名前を再申請し、新しい契約を結ばなければ期限切れになる定めだった。
  • 新レジストリの情報は登録者から直接集める。UBCの旧データベースは照合に限って使われ、CIRAは利用権とプライバシーについて独自に調査する責任を負った。

分析

登録局の移管を「運営者が替わった」と一行で済ませると、登録者の手元に届いた作業を見落とす。2000年の .ca では、既に使っているドメインと同じ名前を、あらためて申請しなければならない人がいた。管理を担っていたUniversity of British Columbia(UBC)から、Canadian Internet Registration Authority(CIRA)への移管である。

2000年6月5日の移管契約は既存登録を二つの群に分けた。UBCは5月1日以降の登録について料金を請求できる。そのうち料金を受け取った登録は、登録者が猶予期間内にCIRAの標準クリックラップ契約を受け入れ、UBCまたは別のレジストラと契約すれば、引き継ぎの対象となった。ただし、そのレジストラがCIRAの認定を受け、レジストラ契約を結ぶことが条件だった。橋は架けられたが、両岸で手続きが要った。

契約が “all other .ca Registrations” と呼ぶ残りの登録には、別の文面が置かれた。UBCは登録者に、猶予期間が終わるまでにCIRA認定レジストラを通じて同じ .ca 名を事前登録するよう通知する。申請に加え、CIRAのクリックラップ契約とレジストラとの契約を結ばなければ、旧登録は期限切れになる。この条件は全員一律ではない。しかし対象群には、名前を残すための明確な期限と再申請があった。

契約の時計は後から動かせる設計だった。当初は運用移管日を2000年7月1日、猶予期間の開始を6月1日と定める一方、CIRAが事前に書面通知すれば変更できた。実際の移管は12月1日に発効した。IANAの報告によると、11月30日時点の .ca 登録名は約12万件。約10年続いたボランティア運営の終盤には、すでに大きな登録空間になっていた。

改革の議論はその直前に始まったのではない。カナダのインターネット関係者は1997年から管理体制を見直し、Canadian Domain Name Consultative Committeeは1998年の公開協議後、非営利法人とレジストラ方式を提案した。CIRAは1998年12月に設立され、Government of Canadaは1999年3月に適切な管理主体として認めた。移管は、少人数のボランティア運営から、認定レジストラを経由する窓口への組み替えでもあった。

CIRAが旧データベースを受け取って、そのまま新しい登録簿に読み込んだわけではない。契約第4条は、登録者がCIRAへ直接提供する情報を新レジストリに使うと定めた。旧データベースは猶予期間中、新しい申告内容の比較と確認に使えるが、用途はそこに限られた。第5条では、UBCは旧データベースについてもCIRAの利用権についても保証しない。CIRAには、登録者のプライバシー権を含め独自に調査する義務があった。データベースの権利は移管日にCIRAへ譲渡され、UBCには利用許諾が戻された。

役割は三者に分かれた。CIRAが登録簿を運営し、認定レジストラが申請を扱い、登録者が情報を出して契約に同意する。旧ファイルは新しい登録簿の無条件な正本ではない。DNS上の委任が安定していても、行政上の記録は決められた経路で作り直す必要があった。

CIRAのCanadian Presence Requirementsは2000年11月に始まり、UBC時代の基準より広い要件だった。CIRAの現行説明では、UBC経由で既に登録していた人は再申請の際にこの要件を満たすものとして扱われた。これは資格上の壁を下げたが、申請や契約の手続きを消したわけではない。

制度史の年表なら、最終的な日付は2000年12月1日だ。登録者にとって重要だったのは猶予期間の締切と「申請」という動詞だった。契約とIANA報告には旧登録の再申請数と失効数がない。この集計が分かれば、移管が実際に負わせた継続コストの評価は変わる。

出典