要約
- Jordi Palet Martinezのprop-157は、IPv4の一時的な移転について開始日と終了日を公開記録に載せ、期限後に元のWhois登録を復元する案だった。
- APNICの影響評価は、当事者が解約や延長で対立した場合の判断者と、「即時取り消し」が指す対象を問いただした。2024年9月のAPNIC 58で合意に至らず、提案は廃案になった。
本を貸すなら返却日を書く。IPv4アドレスでも、そこまでは難しくない。prop-157の第4版では、一時移転の開始日と終了日をAPNICの公開ログに記し、延長には双方の合意とAPNICの承認を求めた。期間が終われば元のWhois情報に戻す。最小単位は/24、対象は域内のアカウント保有者どうし。受け手による再移転も認めない。
Paletが想定したのは、IPv6への移行中に少量のIPv4だけを必要とする新しい事業者だった。IPv6-onlyとIPv4-as-a-serviceを使うネットワークにとって、恒久的な購入は大きすぎる場合がある。期限付き登録なら現在の利用者を記録に示しながら、元の保有者に戻る経路も残せる。
問題は返却の窓口に現れた。案は、不正利用時の即時解約、経路広告用ASN、RPKI、IRRと位置情報の更新、IPv6の展開、MANRSの実践を当事者間の契約に盛り込んだ。監督するのは移転元とされた。APNICの影響評価は、移転元が解約を求めても受け手が拒む場合や、受け手が延長を求めても移転元が拒む場合を挙げる。どちらかのアカウントが閉じたり買収されたりすれば、返却先の扱いも一段と難しい。
案にあった「即時取り消し」は、さらに厄介だった。一時移転だけを消すのか、元の保有者の資源登録まで取り消すのか。APNIC事務局は文言が定めていないと指摘した。初期の評価では、APNIC自身が当事者でない私的契約の解約条項をAPNICが執行することもできないと述べている。ログの日付は明確でも、争いを処理する権限は空欄だった。
初期評価で3か月だった実装見込みは、後の評価では制度・手続き・契約の整備を含む最大12か月になった。公式の経過によれば、2024年9月6日のAPNIC 58で合意は成立せず、議長団は提案を取り下げ扱いとし、意見を踏まえた新案を促した。Paletは返却日を見えるようにした。その日に誰が帳簿を書き換えるかは、まだ決まらなかった。
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