要約
- BERECが公表した会合報告によると、EU加盟27か国と英国の規制当局は全て調査に回答した。23か国に詐欺対策の法令・規制手段がある一方、十分だと回答者が考えるのは3か国だけだった。
- 22か国は詐欺と判断した通話を遮断する。通信網をまたぐ証拠の受け渡しには、なお制度上の隙間がある。
電話機に表示される番号は、名札のように見えて、簡単に借り物にできる。通信事業者が怪しい通話を止めても、その番号が次の国で再び鳴れば、前の網で得た手掛かりは届いているだろうか。BERECの詐欺対策ワークショップ報告は、遮断する能力と警告を引き継ぐ権限とのずれを示す。
アイルランドの規制機関ComRegが示した調査は、EU27か国と英国の規制当局、携帯サービス事業者を対象とした。規制当局は28か国全て、事業者は83社が回答。23か国に詐欺を扱う法的・規制上の手段があり、回答者がそれで十分だとみた国は3か国。22か国は詐欺とみなす通話を遮断する。SMS送信者IDの登録制度は9か国、疑わしいリンクなどメッセージ内容の点検を認める手段は5か国にある。各集計の重なりや、遮断で防げた被害件数は報告されていない。
事業者側は国内の網同士、他業種、他国との情報共有を望み、プライバシー・データ保護のルールを障害と受け止めている、とComRegは報告した。その受け止め方から、全ての共有が違法だとは言えない。ComReg自身も、適切な法的根拠なしにSMS本文の検査を義務づけることはできないと説明する。詐欺師はSMSで入口を開き、やりとりを別のメッセージサービスに移す。監視できる主体が途中で入れ替わる。
Europolは、番号の偽装よりも通話経路の越境追跡が難しいと述べた。どこで発信され、どの網を通ったかをたどるには、各段階の運用データが要る。規制当局や標準化団体との追跡手法づくりが進む。問われるのは装置の性能だけではない。どの事業者が記録を保ち、誰に渡せて、誤って止めた通話をどう救うかという責任の配置だ。
欧州委員会のDigital Networks Act案は、その配置をEUレベルで整える構想を含む。BEREC報告が説明する第103条案では、事業者と各国当局の協力、将来のOffice for Digital Networksによる詐欺手口の情報集約、BERECによる技術・法的指針が想定される。指針の前にはデータ保護機関とENISAへの相談も置かれる。法案は審議中で、統一した遮断命令が既に動いているわけではない。現場で鳴る電話の速さに、手続の速さをどう近づけるかが焦点になる。
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