要約

  • Eircomの50ユーロ分のギフトカードは、Open eirの光回線網での開通が条件だった。ComRegは、家庭に渡す特典も関連する卸売販促の事前承認対象になると判断した。
  • 新規登録を止めた措置は、登録済みの顧客からの請求を拒むよう求めてはいない。2025年12月の和解では、同種の施策に対する事前承認義務を明確にして事件を終えた。

販促企画書で最も退屈に見える添付資料が、実は価格を決めていることがある。Eircomの光回線キャンペーンでは、77,464件のEircodeを並べた住所リストがそれだった。誰にチラシを配るか。事務的な問いに見えて、誰の回線選びを50ユーロで後押しするか、という経済的な問いでもあった。

2025年10月13日に始まった企画は、対象の家庭がOpen eirの網で光回線を開通させれば、条件を満たした後にギフトカードを選べるというものだった。予定された終了日は11月23日。通信サービスを売る小売事業者は選べたが、特典の対象となる網は決まっていた。

店を選ぶ自由と、店の下にあるインフラを選ぶ自由は重ならない。複数の看板が同じ網の接続注文を集めることもある。家庭向けの景品が卸売市場の問題になる入口は、そこにあった。

券を渡す相手と、注文を受ける相手

ComRegの10月17日付決定は手順をたどっている。対象者はEircodeとメールアドレスで登録し、Open eirの網を利用する小売事業者からサービスを購入する。設置と開通、所定の待機条件を経て、カードを受け取る仕組みだった。77,464という数字は対象住所の規模であり、新規契約数やカード利用数を表してはいない。

ComRegは、この開通によって卸売の光アクセス注文が発生し、50ユーロの費用を卸売部門のOpen eirが負担すると説明した。したがって、新たに稼働する接続について実質的な値引きが生じる。小売事業者ではなく、その顧客に利益を渡す方法でも、卸売販促としての性質は変わらないという判断だった。

月額料金の表を見ても、この値引きは同じ形では現れない。価格競争は料金表の升目から外へ出られる。別のタイミングで、別の相手に特典を渡し、同じ注文を引き寄せる。経済効果を調べる側が料金表の前から動かなければ、肝心の取引を見失う。

当初のEircomの解釈は異なった。決定書によると、同社は10月14日にComRegへ、この施策は卸売販促に当たらず、通知する必要はないとの見方を伝えた。キャンペーンは事前の承認を得ずに始まっていた。争点は「特典があること」そのものより、どの取引に結び付いた特典なのかという分類にあった。

宛先は経済条件になる

Eircomには当時、卸売ローカルアクセス市場における大きな市場支配力に対応した義務が課されていた。ComRegが示した承認基準では、特典を考慮した価格が所定の下限を上回ること、自社の小売部門を優遇せず複数のアクセス購入者が実際に利用できること、特定地域を狙った価格差を生まないこと、投資や競争を損なわないことが、そろって必要だった。

この枠組みでは、住所リストが価格条件の一部になる。同じ50ユーロでも、誰でも得られる特典と、選ばれた場所の家庭だけが得られる特典では、動かす需要が違う。光回線の投資は抽象的な全国市場に埋まっているのではなく、具体的な地域で接続注文を待っている。

ComRegは暫定的な評価で地理的な対象選定に疑問を示した。また、承認済みの別の販促と重なった場合に価格下限を割り込むリスクも挙げた。社内では二つの企画でも、同じ回線を申し込む家庭には一つの総合的な条件になる。予算の名前を分けても、購買判断まで別会計にはできない。

規制側が割引競争を全面的に否定していたわけでもない。ComRegは2024年に、それまでの一般的な禁止を緩めていた。事業者に価格で競う余地を与え、その条件が他の投資や競争に及ぼす影響を事前に確かめる設計である。許される道がある以上、どの企画がそこを通れるかを、配布後ではなく配布前に決める必要があった。

登録ボタンを止めても、顧客の行動は消えない

10月17日の緊急措置は、新たな登録、チラシ配布、販促の告知を止めるよう求めた。ただし、すでに登録した顧客からの請求まで拒絶することは求めなかった。この細部に、商売の後始末を誰が引き受けるかという判断がある。

広告を見た家庭は、事業者間の制度解釈が片付くまで日常を止めてくれない。申し込みを検討し、手続きを進める。会社と当局の見解が違ったからといって、その行動を白紙に戻す費用まで家庭に預ければ、販促を決めた側の責任だけが軽くなる。

新規登録を閉じることは、次の約束を増やさないための措置だ。既存の登録を扱うことは、すでに生じた期待にどう応えるかという仕事だ。二つを区別する方が、単に「キャンペーン中止」と書いて済ませるより手間はかかる。しかし、市場は中止のお知らせ一枚で昨日に戻れる仕組みではない。

12月5日の和解で、Eircomは今回の企画とFTTPベースのVUA商品に関係する同種のギフト券施策が販促規定に含まれると認め、今後は明示的な事前承認を得ると約束した。ComRegは事件3006を終結させ、同件について民事・刑事の執行措置を取らないことに合意した。新しい罰金を定めた和解ではない。

ComRegは、緊急措置によって卸売市場への悪影響を防いだと評価している。実際のカード利用数と純増接続数は公表資料に示されておらず、販売効果の測定にはその数字が要る。明確になったのは次回の責任である。カードは家庭に届けられる。だが、その条件に組み込まれた網の選択まで、家庭向けという封筒に隠すことはできない。