要約

  • Eircomは契約解約後に徴収した料金を、利用されなくなった顧客口座のクレジットとして残していた。ComRegは、返金の試みが不規則で、しばしば大きな時間の隔たりがあったと指摘した。
  • 別の2023年の和解は、過去の過大請求を探す作業、請求手続きの改善、独立監査人による検証を組み合わせた。新しい請求の誤りを止めることと、古い残高を返すことには、それぞれ担当者が要る。

解約した顧客の口座に「お客様の残高」がある。丁寧な表示に見えるが、次の請求が来ない顧客には、その数字を相殺する相手がない。残高は居心地のよい帳簿から出て、顧客に戻らなければならない。

アイルランドの通信事業者Eircomについて、ComRegが2025年10月20日に出した通知は、この地味な出口を照らしている。同社の確認で、一部の顧客に契約終了後の料金が課されていたことが分かった。金額は非稼働口座のクレジットとして保有され、電子送金や小切手による返金が試みられた。規制当局が問題にしたのは、その試みが不規則で、間隔も長かったことだ。

返金を一度もしていない会社、という単純な話ではない。返金は行われていた。それでも、処理と処理の間に顧客の金が待たされる。勘定が訂正された日と、仕事が終わった日は一致しない。

大きな返金総額にも死角がある

通知によると、2016年9月から2022年9月までに、非稼働口座に関して約530万ユーロが返金された。そのうち約197万ユーロが解約後の料金に関係していた。口座には、それ以外の理由で生じたクレジットもあった。

次の期間である2022年10月から2024年11月について、ComRegは非稼働口座に関して発行されたクレジット約127万ユーロを記載し、うち約47万2,000ユーロを解約後料金に分類している。Eircomは返金手続きを改善したと説明した。後半の数字は前半の「返金」と異なる表現で記されており、受取人ごとの銀行入金証明までは示されていない。

返した金額を足し上げると、現場が動いたことは分かる。しかし、返すべき金がどれほど長く残ったかは別の軸だ。大きくて処理しやすい案件が先に進み、小さくて古い残高が残ることもあり得る。公表資料に未処理残高の経過期間別内訳はない。その内訳があれば、最も古い案件まで整理が届いたかを確かめられる。

利用中の顧客なら、クレジットを次回請求に充てる経路がある。去った顧客には、その自然な処理経路がなくなる。送金先を確認し、小切手の返送や送金失敗を受け止め、再び動く人が必要になる。ここで一度の試みを完了として扱えば、残高は数字の上では整ったまま、運用上は立ち往生する。

苦情の成功者だけでは、誤りの全体は見えない

Eircomの別の過大請求問題を扱った2023年5月17日のComReg通知には、個別救済の限界がよりはっきり出ている。二つの調査で、一部の顧客は過大請求を争い、返金を得ていた。ComRegは、誤りに気づかなかった人や、異議を申し立てても解決できなかった人がほかにもいると懸念していた。

顧客対応の記録は、窓口に到達した人から始まる。料金が正しいと思い込んだ人は記録に現れない。申し立てに成功した案件だけを直す運用では、自分の金を取り戻すために、顧客側が検査員と交渉役を兼ねることになる。

従前の有罪判決と追加調査を経て、ComRegは2022年11月、違反を止め、その繰り返しを防ぐ命令を裁判所に求めた。2023年4月に審理予定だった手続きは和解に至った。EircomがComRegに支払うと約束した金銭的制裁は245万ユーロ。5月19日の消費者向け発表も、過去の顧客への返金と請求手続きの変更を確認している。

遡及的な調査範囲は、推計7万6,000人、関連売上約670万ユーロとされた。これは調査すべき規模であり、返金完了額ではない。対象は、セット契約の不具合による誤請求、顧客が求めたサービス終了を処理しなかったケース、無料で解約できるのに早期終了料金を課したケースだった。

個人から届く苦情を処理するだけでなく、会社自身が過去に戻って対象者を探す。この責任の移動が重要だ。誤りを見つける負担を、顧客の注意力と粘り強さだけに預ける方法から抜け出すからである。

新しい請求書と古い返金は別々に仕上げる

和解には、請求システムの更新、クレジットや紛争の能動的な見直し、両方の対策の実施と効果を確認する独立監査人の起用が盛り込まれた。古い問題を探し、新しい問題を減らす設計だ。

ここでシステムの更新日を、全件解決の日にすり替えてはいけない。新しい仕組みが将来の過大請求を防いでも、以前の顧客への支払いには、別の宛先確認と実行作業が残る。入力が直ることと、古い債務が消えることは、作業としてつながっていても同一ではない。

2023年の合意は、予防的な措置を同年末までに全面実施する目標を示した。2025年の通知は別途、Eircomが特定の解約後料金を防ぐ変更を2024年12月に行ったと説明したことを記す。これらの措置の範囲は個別に対応づける必要がある。二つの日付だけで期限違反を決めたり、別々の金額を一つの新しい制裁額にまとめたりすると、何の記録を読んでいるのか分からなくなる。

会社にとって、獲得と引き留めには将来売上という分かりやすい目標がある。すでに去った人への返金には、その見返りが乏しい。だからこそ、担当と期限を営業の勢いとは別に置く必要がある。契約を終えた相手も、返す金がある限りは仕事の相手だ。解約処理の上手さは、回線を止める速さだけでは測れない。