要約
- EISMEAは一部の外部評価者が第三者AIを使い、評価文の編集や背景情報の調査を行ったと確認した。
- European Ombudsmanは一件の評価に関する説明を合理的と認めたうえで、利用記録を資金配分機関へ届ける仕組みの検討をEuropean Commissionに求めた。
問われているのは記録の送り先だ
2026年10月28日、European OmbudsmanはEuropean Commissionに、評価者がAIを使ったか、何の目的か、何を担わせたかを記録し、その情報を評価書とともに関係する資金配分機関へ渡す方法を検討するよう求めた。記録を一般公開する話ではない。評価書を使う機関が、委託した仕事の履歴を持てるかという問いだ。
発端は、Horizon EuropeのEuropean Innovation Council Acceleratorに応募したポーランド企業の不採択だった。申請は2024年に拒まれ、企業は外部評価者が第三者AIを使ったと主張。公平性と機密情報の扱いを問題にし、2025年10月に申し立てた。
EISMEAが確認したのは、一部の評価者がAIで文章を編集し、背景情報を調べたことだった。European Ombudsmanはこの案件に関するEISMEAの説明を明確で合理的と判断し、評価の当否そのものは調査しなかった。公開記録には、個別の評価者名、ツール名、当該評価への具体的な寄与が記されていない。AIが点数を決めたとの認定もない。
いまの規則は責任を置き、記録形式は決めていない
不採択となった提案の審査時には、専門家契約にAI利用の正式条項がなかった。European Commissionは2024年の申請者からの苦情を受け、2025年12月15日にCode of Conductを改定したと説明している。現行規則ではAIは厳密に付随的な用途に限られ、評価者が責任を負い、利用記録を契約当局の求めに応じて提出する。秘密保持と個人データ保護の義務も続く。
記録の様式は指定されていない。AI編集前後の評価文を保存する案は示されたが、義務ではない。必須の評価者ブリーフィングでは口頭の補足も行われる。EISMEAは、第三者AIに関する苦情が来た場合に記録を求めることが多いと説明した。
パネルの数だけ、記録の置き場がある
Horizon Europeでは通常、少なくとも3人の独立した外部専門家が提案を審査し、資金配分機関は順位と採択提案の一覧を作る。European Commissionは、プログラムや執行機関が数万件の提案を扱う規模を示し、全件の書類管理にかかる負担を説明した。
常時記録するなら、短い欄に使用の有無、ツール、目的、寄与を書く方法がある。苦情が出たあとだけ記録を集めれば、その苦情が届いた案件しか見えない。Commissionの回答期限は2027年4月末。すべての評価書に記録を添えるのか、個別請求のままにするのかが次の判断点になる。
出典
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