要約

  • 版2草案(2025年8月28日公開、DRAFT表示)は、新規RIRの承認・運営・剥奪の規則を定め、ICP-2に取って代わる提案であったが、ICANNとRIRの双方による採択があって初めて効力を持つ(ICANN公開コメント手続)。
  • 承認にはRIRの全会一致の推薦が必要とされ(第2.3(a)節)、非推薦の場合は提案が拒絶されたものとみなされる。第3.1条は地域適格性、資源保有者支援、コミュニティ支援、能力、悪影響の不存在、実質的改善の基準を定めた(版2草案本文PDF)。
  • 非全会一致時に候補RIRが求めることができるRecognition Review(第2.3(a)(v)節)では、ICANNが任命する独立第三者が審査し、単一の反対RIRの推薦が誤りと認定されればそれが無視されて提案がICANNに付託される。
  • 剥奪提案は、任意のRIR、対象RIR会員の25%または2,000会員(いずれか少ない方)、あるいはICANNが提起でき、対象RIRを除くRIRの全会一致の推薦とICANNの最終決定が必要である。
  • 2026年7月28日、ASO AC/NRO NCは版3の推薦草案をNRO ECに引き渡し、版2の承認閾値は対象RIRを除く3分の2のRIR支援に置き換えられた。ICP-2は採択までの統治文書であり続ける(NRO版2ページ)。

公開手続と範囲

ICANNの公開コメント手続は2025年8月28日から11月7日まで実施され、17件の提出があった(ICANN公開コメント手続)。同手続の要旨によれば、版2草案は「新規RIRの承認のための規則と基準、RIRの運営義務、およびRIRの承認剥奪のための規則」を定めるものである。ICANNの2025年12月12日の要旨報告は、コメント提供者が、定義された時間枠、証拠権利および独立審査パネルを備えた専用の再検討・不服申立て手続を求めたことを記録している(ICANN要旨報告PDF)。

承認の構造

第2.3(a)節によれば、候補RIRの承認にはRIRの全会一致の推薦が必要であり、全会一致がない場合、提案は拒絶されたものとみなされる。第3.1条の基準は、(a) 地域適格性、(b) 資源保有者支援、(c) コミュニティ支援、(d) 第4.1節に基づく能力、(e) インターネットナンバーレジストリ体系への負の影響の不存在、(f) 実質的改善である(版2草案本文PDF)。

Recognition Review(第2.3(a)(v)節)は、非推薦が「誤りまたは正当な理由なく」行われたと候補RIRが考える場合の救済である。ICANNが任命する適格な独立第三者が審査を行い、単一の反対RIRの推薦が誤りと認定されれば、その推薦は無視され、提案はICANNに付託される(版2草案本文PDF)。

剥奪の構造

第2.3(b)節では、剥奪提案の提起主体として、(i) 任意のRIRまたはRIRのグループ、(ii) 対象RIRの総会員の25%または2,000会員のうち少ない方を満たす会員グループ、(iii) ICANN を認めた。提案は理由を明示し、遵守されなかったと主張される具体的条項を特定しなければならない。承認には対象RIRを除くRIRの全会一致の推薦が求められ、その後ICANNの最終決定がなされる。いずれかが欠ければ提案は拒絶されたものとみなされる(版2草案本文PDF)。

第6.2条は、不遵守RIRの更生を原則とする規定(合理的な是正機会、ICANNおよび他のRIRによる支援、剥奪は最終手段)を設け、第6.3条は剥奪の効果として、後継者または緊急運営者へのRIRサービスの移管、RIRサービスと承認の停止、NRO会員資格の喪失を定めた(NRO版2ページ)。

救済手続

第2.3(c)(ii)節は、第2.3節に基づくICANN決定の影響を受けるRIRまたは候補RIRが、ICANNの「当時存在し適用される」手続に従って再検討を求められることを定める。つまり、専用の不服申立て手続ではなく既存手続への照応である。前述のとおり、コメント要旨は専用手続を求める声を記録した(版2草案本文PDF;ICANN要旨報告PDF)。

閾値決定と版3への移行

NROの状況報告書(Q1 2026、および2026年5月7日署名のQ2 2026)は、NRO NCが剥奪閾値を変更しないことを決定し、剥奪を「意図的に高い発動閾値を持つ最終手段」と位置づけたことを記録している。また、すべてのRIRが少なくとも3年ごとに監査される要件と、第2.3(b)条の下での更生を明示的な段階として追加する起草作業も記録されている(Q1 2026状況報告書;Q2 2026状況報告書)。

そして2026年7月28日、ASO AC/NRO NCは版3の統治文書を完成させ、ASO AC推薦草案をNRO ECに引き渡した。責任はNRO ECに移行し、版3は版2の承認閾値を対象RIRを除く3分の2のRIR支援に置き換え、更生を強調している。ICP-2は、ICANNとRIRによる最終版の採択まで統治文書であり続ける(NRO版2ページ)。

検証の限界

本稿の記述は、NROとICANNが公開した一次文書に依拠する。草案は未採択の提案文書であり、記載された手続は発効していない。版3の採択状況、およびICANNとRIRがいつ最終版を採択するかは、公開文書からは確認できない。読者は各引用文書自体を参照されたい。