要約
- 米連邦取引委員会は2000年2月16日にDoubleClickの調査を公表した。2001年1月22日の終了通知では、買収したAbacus Directの個人識別情報と、顧客サイトで集めた非識別の閲覧履歴を結合した形跡は見られないとし、調査を終えた。
- 同じ通知はDoubleClickのオプトアウトがCookieに保存されていたことを示す。一部のブラウザーではCookieの全面拒否でそのCookieも削除された。DoubleClickは、後でCookieを許可する利用者には再びオプトアウトが必要だと説明することを約束した。
- 透明GIFによる追跡や販促メールリストについても説明を直す約束が記された。DoubleClickの2002年のSEC提出書類はCookie遮断を広告のターゲティングと効果報告に対する事業上のリスクとして挙げている。
「拒否」の保存場所
ブラウザーには、広告の配信側が利用者を識別するためのCookieと、広告会社に情報収集の拒否を伝えるCookieが同時に置かれ得る。利用者が設定画面でCookieを全部拒否する。一部のブラウザーでは両方が消える。遮断が続く間はCookieを使う通常の追跡経路も止まる。問題は、その後にサイトを使うためCookieを再び許可した時だ。広告の仕組みは動けるようになるが、以前の拒否を示した特別な印は戻ってこない。利用者が改めて拒否しない限り、サーバーはその印を読めない。
この順序はFTCがDoubleClickに送った2001年の書簡に書かれている。DoubleClickは、情報収集を止めたい消費者にオプトアウト用のCookieを提供していた。特定のブラウザーでは「Cookieを受け付けず、送信もしない」という一般設定を選ぶと、そのCookieも削除される。会社は次のプライバシーポリシーで、後にCookieを受け入れる人はDoubleClickから再度オプトアウトしなければならないと説明すると約束した。
書簡は何人に起きたかを数えていない。再許可後に誰がどの広告を見たかも示していない。しかし状態の変化は十分に具体的だ。まず拒否の保存先を消し、それからCookieの通路を開ける。Cookieを全面遮断している最中に直ちに追跡が再開するという話ではない。後で設定を変えた時に「前の拒否」が生きていない話である。
大きな疑いは閉じ、小さな仕組みが残った
FTCは2000年2月の声明で、DoubleClickの情報取扱いが不公正または欺瞞的な行為に当たるか調べていると公表した。会社は調査に協力していた。中心にあったのはAbacus Directの買収だ。Abacusはオフラインのダイレクトマーケティングで個人を特定できる情報を持つ。一方、DoubleClickの広告網は顧客サイトで名前と切り離されたクリック履歴を集める。二つを結び付けたのか、機微な情報を約束と違う目的で使ったのかが問われた。
終了通知で担当部局は、Abacusの識別情報と顧客サイトのクリック履歴を結合した様子は見られず、個人情報をポリシーの範囲外で使用・開示した様子もないとした。機微な情報を約束に反してオンラインの嗜好別広告へ使った形跡もないとして、調査を閉じた。FTCは将来の対応を留保した。大きなデータベース統合が立証されなかった同じ書簡に、利用者の選択が消える手順が細かく残っている。
ほかにも、商品と説明の間にずれがあった。DoubleClickは透明GIF、いわゆるウェブバグを使い、サイト内での利用者の動きを追って情報を集めていた。会社は次回のポリシーで使い方を説明すると約束した。Internet Address Finderの説明には名前や住所、メールアドレスのリストを売らないとあったが、提携先が管理する任意登録の販促メールリストという例外があった。ここも書き直すことになった。
FTCはBoomerangについて、一つのサイトで得たデータを別のサイトで同じ利用者への広告選択に使う製品だと記した。通知によれば、そのターゲティング用のプロファイルは個人識別情報を含まなかった。新しい顧客サイトには、導入前にプライバシーポリシーで利用を告知するよう契約で要求していた。またDoubleClickは、Network Advertising Initiativeの原則に対象となる将来製品の商用提供前にFTCへ通知することに同意した。個別の広告配信は、広告網だけで完結していなかった。
商売の道具と出口が同じ容器にあった
DoubleClickの2002年年次報告は、Cookieを遮るブラウザー設定や広告を除くソフトが製品の効き目と顧客需要を下げかねないと警告した。Cookieは広告のターゲティングと効果報告に使われていた。全面遮断は会社が売る機能を止める。その機能から抜けるための例外も、同じCookieの仕組みに乗っていた。
サーバーは拒否の印が届けば対応できる。すべてのCookieが消えれば、通常の識別子も拒否の印も届かない。Cookieを再び許すと、広告処理を再開する条件は整うが、削除された印は自動生成されない。FTCへの約束は、この依存関係を利用者に説明することだった。過去の選択をCookieとは別の場所に永続保存する設計に変更したとは書かれていない。
責任の境界も一枚ではない。ブラウザーがローカル保存と削除を決め、DoubleClickが拒否用の印とその読み取り方を決め、顧客サイトが広告を置くページと告知を用意する。FTCは製品の働きと告知の一致を調べる。利用者は設定を変えられても、消えた印をDoubleClickのサーバーに覚えさせることはできない。拒否という一語の後ろに、別々の主体が動かす複数の装置がある。
調査が終わっても、拒否はもう一度必要だった
FTCの書簡は調査を終え、具体的な説明修正を記録した。罰金や裁判所命令ではない。ネット上のプライバシーをめぐる議論では、巨大なデータベースや抽象的な「同意」が先に来る。ここではもっと小さい問いが事態を決めた。拒否はどこに保存され、その保存先を利用者が消した後は何が起きるか。
ある人がCookieの再許可後にどんな広告を受けたかを確かめるには、ブラウザーの設定履歴、Cookieの状態、配信ログが必要だ。FTCの書簡はその個別記録を持たない。書簡が示すのは、再度の拒否が必要になる条件と会社がそれを説明する約束である。この条件だけで、選択を一回の操作と呼ぶには無理があったと分かる。
DoubleClickは「退出できる」と言えた。ブラウザーは「Cookieを全面拒否できる」と言えた。利用者は後者が前者を強めると考えやすい。FTCが記した一部の環境では、後者が前者の記憶を削除した。修正後の説明は「また拒否してください」と伝える。忘れたのは装置なのに、覚えておく仕事は利用者に回った。
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