要約

  • Dean PembertonとGeoff Hustonのprop-110第2版は、APNICが隔離していた1.2.3.0/24を事務局に割り当て、到達範囲を限定したDNSリゾルバーのエニーキャストに使う案だった。望まない通信が多く、通常の配分には向かないブロックだった。
  • APNICの履歴では、2014年2月27日にPolicy SIGで合意、28日に会員会議で合意に至らず、3月4日に著者が撤回、9日に廃案となった。APNIC 37報告も二つの異なる結論を記録する。

使われていないはずの住所に、手紙だけが毎日届く。1.2.3.4のような番号が無断で私的アドレスのように使われ、そこへ向かうパケットが消えなかった。APNICは1.2.3.0/24を通常の顧客に渡せず隔離した。PembertonとHustonは、むしろ覚えやすい番号を地域限定のDNSリゾルバーに使えないかと考えた。

第2版の原文は、単一の会員ではなくAPNIC事務局に/24を持たせる。品質試験では大きな1.0.0.0/8の95%は配分に適するとされた一方、配分前の/8全体には毎秒140~160メガビットの不要な通信が続き、ピークは800メガビットを超えた。これは/8全体の数字であり、1.2.3.0/24だけの実測値ではない。

提案は経路の到達範囲を絞れば、厄介な通信を扱える程度に抑えられると見た。利用者には短く覚えやすいDNSアドレスも得られる。しかし著者自身が逆の場面を警告する。エニーキャストの経路広告が局所範囲から漏れれば、不要なパケットが漏れた先のリゾルバーへ流れ込み、DNSサービスを傷めかねない。隔離から運用への移動は、経路境界の管理を誰かに背負わせる。

Policy SIGは2月27日に賛成した。翌28日の会員会議は合意に至らなかったと公式報告は記す。著者は3月4日に案を引き、9日に廃案となった。公開履歴には会員会議の決定的な反対理由が載っていない。理由を名指しする議事録があれば評価は変わる。記録から確実に言えるのは、技術の会議で通った案が組織の規則にならなかったことだ。