要約

  • Tsungyi Yu の prop-163 は、移転した番号資源の検索を新たな RIR へ送り、NIR や下流の割り当て情報にもたどれる RWhois 転送を提案した。
  • APNIC 事務局は RDAP がすでに RIR 間転送に対応し、NIR と下流データにも公開経路があると指摘した。APNIC 59 で合意に至らず、Yu は 2025 年 9 月に議論不足を理由に撤回した。

引っ越した番号に手紙を出したら、古い役所の窓口へ戻される。prop-163 の初稿で Yu が示したのは、APNIC から別の RIR へ移転した ASN を IANA の Whois 経由で調べると、以前の窓口を指すことがあるという問題だった。RWhois の転送サーバーを設け、国別登録機関やさらに下流の顧客割り当てまで検索の道筋をつなごうとした。

APNIC 事務局の評価は別の地図を広げた。RDAP はすでに他の RIR が持つ資源を適切な先へ転送し、RIR 間移転にも対応していた。ただし、2025 年の評価時点では処理済み移転の正しい転送が最長二日遅れる場合があった。新しい道路を敷く前に、既存道路の信号が遅れる原因を直せる。

NIR の独立 Whois データも、法的制約の範囲で APNIC に送られ公開されていた。応答の source 属性は出どころを示す。会員は MyAPNIC や API で下流データを載せられ、割り当て情報の一部を事務局だけに見せる「非公開」も選べる。Yu の求めた透明さには、顧客情報をどこまで表に出すかという決定が付きまとう。

事務局は、独立した下流サービスが要るとしても RDAP の方が簡潔で普及しているとみた。RWhois は複雑で利用が少なく、既定では通信も暗号化されないという評価だった。Yu の草案も更新・互換性コストを認めていた。案内板を増やせば、移転のたびに書き換える人も増える。

公式履歴では、2025 年 2 月の APNIC 59 で合意に至らず、3 月にメーリングリストへ戻り、Yu が 9 月 12 日に反応不足を理由に取り下げた。次に必要なのは、まだ行き止まりになる検索を一つ特定し、その交差点の管理者と公開範囲を決めることだ。