要約

  • European Commissionは10月29日、PTSが提案した一戸建て向け光回線の卸アクセス規則について、第2段階の調査を開始した。
  • 5,000接続を境に市場を分ける根拠と、異なるネットワークに同じ救済措置を課す案が審査対象だ。審査中、PTSは規則を採択できない。

63件の判断を止めた一本の線

5,000という数字は、スウェーデンの光回線規制で入口にも出口にもなった。Post- och telestyrelsen(PTS)は、戸建て住宅向けの接続数が5,000を超えるネットワーク所有者を、著しい市場支配力(SMP)を持つと扱う案を出した。5,000未満は小規模すぎて規制が不比例だとして対象外にする。European Commissionが問うのは、その数え方が実際の地域市場を表しているかだ。

PTSは9月30日に提案を送付した。対象は63のネットワーク所有者で、63件の個別決定案を含む。PTSは一戸建て向けと集合住宅向けを別々に分析し、さらに所有者ごとの光アクセス網を一つの地理的市場として扱う。European Commissionは、この地域市場の切り方には異議を唱えていない。別件では、建物所有者の高額請求で集合住宅内の配線にアクセスできない場合、既存のEUルールをより活用するようPTSに促した。

SMP事業者には、自社のアクセス網と関連設備を透明かつ非差別的な条件で開放し、公正で合理的な料金を適用する義務が生じる。PTS案はこの義務を5,000接続超のネットワークに課す。

European Commissionは10月29日に第2段階調査を開いた。問われているのは、5,000接続超の全事業者を自動的にSMPとみなせるか、基準未満の市場を一律に外す理由が十分か、異なる事業者に同じ救済措置を課して地域の競争実態に合うか、の三点だ。

前例では地図そのものが争点だった。European Commissionは2019年、スウェーデン全域を一つの市場とする案に異議を唱えた。今回はネットワークごとの地域市場に異議はない。焦点は地理的な境界から、そこに引かれた5,000接続の線へ移った。

European Commissionは規制対象となるネットワーク数をまだ決めていない。審査中、PTSは案を採択できない。競争法上の論点を2カ月、救済措置の比例性に関する疑義を3カ月かけて調べ、BERECの意見も考慮する。第2段階の終了時には疑義を取り下げるか、European Electronic Communications Code第32条に基づく拒否決定を出せる。救済措置の比例性については別途勧告も出せる。

European CommissionがPTSの説明として示したのは、多くの戸建て利用者には選べる光ネットワークが一つしかないという現状だ。だから基準未満の網を一律に外せば、そうした地域の卸アクセスを個別に検討する機会もなくなる。各網の加入者数と代替網が5,000接続の前後でどう変わるか。その比較が、63件の決定案を単なる分類から競争分析へ変える。

出典