要約

  • 10月1日にSECが示した案は、投資助言業者による自己保管を、対象資産について条件付きで認める道筋として扱う。一般に適格カストディアンの代わりにできる制度ではない。資産ごとに、適格カストディアンが保管できないとの書面判断を行い、少なくとも四半期ごとに更新する。
  • 規制対象ファンドでは、利害関係のない取締役が過半数を占める取締役会が、その可用性判断を確認し、保管体制が合理的な注意を満たすかを別に判断する。提案は意見募集の段階であり、まだ施行規則ではない。

例外は資産ごとに判断する

10月1日に発表され、10月6日にFederal Registerへ掲載されたSECの保管提案は、Investment Advisers ActとInvestment Company Actに基づく規則を改めるものだ。登録投資助言業者と、登録投資会社や事業開発会社を含む規制対象ファンドが対象となる。対象資産の範囲は、日常語としての「暗号資産」より狭い。SECによれば、助言業者向け規則が扱うのは資金または証券に当たる暗号資産であり、ファンド向け規則は証券または類似投資を対象とする。分散型台帳に記録されるだけで、その資産が証券になるわけではない。

対象資産を自ら保管する前に、助言業者は十分な調査を行い、適格カストディアンがその資産を保管できないと合理的に考える根拠を書面に残す必要がある。すべてのトークンを一括して「預け先がない」とする判断は認められない。SECは、個々の資産の特性、保管サービス市場、同市場で一般に知られるカストディアンの提供サービスを調査要素として挙げる。外部カストディアンの利用料が高いことだけでは自己保管の理由にならない。

判断は開始時だけで終わらない。自己保管を続ける資産について、助言業者は少なくとも四半期ごとに書面で再評価する。適格カストディアンが利用可能になれば、合理的に可能な限り早く資産を移すことも求められる。SECは、最終規則で移転期限を明確に定めるべきかを質問しており、具体的な時間基準はまだ決まっていない。

鍵を管理する側が運用責任を負う

提案は、助言業者に資産ごとの保護能力を文書化し、損失、盗難、不正使用、流用を防ぐ技術、ハードウェア、ソフトウェア、手順を維持するよう求める。管理策では、鍵管理、取引の共同承認、顧客ごとの暗号資産を他の顧客、助言業者、関係者の資産から分けることを扱わなければならない。SECは特定のウォレット方式やセキュリティ製品を指定せず、業務に応じて設計する管理目標を示している。

外部委託をしても助言業者の責任は移らない。SECは、提案上の義務は助言業者に残り、第三者が担う機能を監督できるだけの専門性も必要だとしている。委託契約は統制体制の一部を記録するが、規制責任を移転するものではない。

独立した公認会計士による内部統制報告も必要になる。報告書は、保管統制が適切に設計・導入され、対象期間を通じて目的に沿って有効に機能したかについて意見を示す。最初の報告は自己保管の開始から6か月以内に取得し、その後も顧客の暗号資産を一つでも自己保管する間は少なくとも年1回取得する。これは一定期間の統制評価であり、資産価値や損失の不存在を保証するものではない。

ファンドの取締役会は別の判断を担う

規制対象ファンドの場合、助言業者だけで決定は完結しない。自己保管を始める前に、利害関係のない取締役が過半数を占める取締役会が、適格カストディアンは対象資産を保管できないという助言業者の書面判断を確認する。その後も四半期ごとに確認する。

取締役会には、異なる周期の第二の義務がある。保管開始前とその後毎年、助言業者が保管する場合に対象資産が合理的な注意を受けるかを、関連する保全要素に照らして判断する。助言業者は、判断に合理的に必要な情報を提供しなければならず、そこには専門性と管理体制の書面評価、セキュリティとサイバー対策の年次レビュー、入手可能な場合の内部統制報告が含まれ得る。資産の喪失、盗難、不正使用、重大なサイバー事象は、次の定例会議を待たず速やかに報告する。

この二つの審査は別の問いに答える。四半期審査は外部カストディアンが使えるようになったかを確認する。年次の合理的注意の判断は、そのファンドが助言業者の保管体制を受け入れるべきかを問う。前者が肯定でも、後者は自動的には決まらない。

SECがまだ決めていないこと

SECは、一定の条件の下で州の監督を受ける信託会社を暗号資産のカストディアンとして認める案も示した。この経路が成立すれば、助言業者が「適格カストディアンはいない」と説明できる場面は狭まる可能性がある。ただし提案は条件を設けており、州法上の信託会社が一律に対象になるわけではない。

SECの規則ページによる意見募集期限は2026年12月7日だ。四半期再審査の頻度、カストディアンが現れた後の移転期限、資産ごとの保護能力をどこまで具体化するかについて、SECは意見を求めている。「合理的な根拠」は記録で裏づける判断であり、市場の事実として自明に証明されるものではないため、この質問が重要になる。

Lu HengのNote 73は、議論への参加と拘束力ある決定を下す権限を区別する。この視点は、意見募集を投票と取り違えず提案を読む助けになる。一般からの意見は草案の弱点を示し得るが、最終文面を決めるのはSECである。規制対象ファンドでは、そのファンドの保管体制について取締役会に明確な役割がある。それぞれ異なる判断と記録が対応する。

出典:SECの提案と発表;SEC規則ページと意見期限;Federal Register掲載本文;委員Hester M. Peirceの声明;Lu Heng、Note 73、編集上の視点としてのみ参照。