要約
- TreasuryDirectでは口座内の市場性国債を直接売却できない。まず銀行、ブローカーなどへ移管する必要がある。
- 発行時に購入した証券は、発行後45暦日か、それより短い証券の期間が終わるまで移管できない。4週間物は28日で満期となる。
- 満期資金だけで賄う再投資や外部から移管された証券には当初保有期間の例外がある。一方、支払い前の凍結や外部移管の手続きは別に残る。
売り注文の手前で止まる
「必要になれば国債を売ればいい」。TreasuryDirectで買ったばかりの4週間物についてそう考えると、最初の難所は買い手探しではない。口座から証券を出す段階で止まる。
仮に購入後10日目に急な支払いが発生したとする。市場で国債が売買されていても、この持ち主の証券はその市場へすぐ運べない。4週間物の満期は28日。発行時の購入にかかる移管制限が解ける前に、証券自体が満期を迎えるからだ。
現行の31 CFR 363.203は、発行後45暦日または証券の期間のうち短いほうを移管できない期間とする。注文を入れた日から45営業日、という規則ではない。日付の起点も日数の種類も、資金計画には効いてくる。
満期になれば通常の支払いに進む。短期国債の公式説明では額面額が満期に支払われる。28日を過ぎても45日目まで償還金を追加で待たせる仕組みではない。発行時に買った4週間物について失われるのは、満期より早く移管して売るという選択肢だ。
満期の日に使う予定の金と、その前に必要になる金は、同じ「国債保有額」の欄に収まっていても役割が違う。残高の足し算はできる。支払日の足し算はできない。
無料の口座に残る仕事
TreasuryDirectの売却案内は、先に銀行、ブローカーまたはディーラーへ移管するよう求めている。口座から直接売る機能はない。保有を表示する画面と売買を執行する場所の間に、受け渡しが必要になる。
公式FAQによれば、この口座で市場性国債を保有する手数料も移管手数料もゼロだ。同時に、TreasuryDirect内の国債は担保として利用できない。表示された保有額を、支払いに使える預金残高や、その場で動員できる担保余力として扱うことはできない。
料金がゼロであることには価値がある。ただ、その先の作業は持ち主に残る。受入先の指示をそろえ、必要な署名証明を取り、移管の処理を待つ。料金表に載っていないからといって、その作業時間まで無料で増えるわけではない。
制限には資金回収側の理由もある。2005年の最終規則の説明は、引き落としの返却や不正な引き落としによるTreasuryの損失を防ぐために保有期間を設けたと記す。証券が外へ出た後で購入資金に問題が生じるのを防ぎたい。機関は回収リスクを抱え、保有者は一時的に出口を使えない負担を引き受ける。
この交換条件を見れば、単に「役所の手続きが遅い」と嘆くより論点がはっきりする。公的な資金受取の安全を確保する規則が、民間の支払余裕をどれだけ必要とするのか。二つの財布を同じ欄に入れては答えが出ない。
再投資なら同じ、とは限らない
再投資の公式案内には重要な区別がある。満期証券の資金だけで新たな証券を全額購入できる場合、当初の45日保有期間は適用されない。追加資金を使う再投資には適用される。プレミアムや経過利息などで購入額が増える場合や、源泉徴収で使える資金が減る場合には、この差が表れる。
同じ再投資ボタンでも、資金の内訳は同じとは限らない。さらに外部の銀行やブローカーから入ってきた証券にも、この当初保有期間はかからない。証券の名称だけで移管の可否を判断せず、入手経路と資金の記録を見る必要がある。
別の制限も動く。利払いや満期支払いの4営業日前には、支払い準備のため対象証券がロックされる。内部・外部の移管や支払先などの変更ができなくなり、書式の提出を伴う取引はこの期間が終わるまで処理を待つ。そこで満期になる証券は償還される。
再投資する新しい証券の入札がそれより早い場合には、入札日に先にロックされることもある。再投資の変更・取消には新しい入札を基準にした締切もある。45暦日、4営業日、入札の締切。これを一つの「待ち時間」に縮めると、読んだ人の予定だけが間違う。
電子証券の出口で、ペンを取る
外部移管の手順では、受入金融機関の証券受渡指示を得てFS Form 5511を作成する。証券は通常の当座・普通預金や貯蓄口座にそのまま送れない。償還金を受け取る銀行口座と、満期前の証券を受け入れる口座は別の用途だ。
2026年3月改訂のフォームは、資格を持つ証明担当者の面前でインクによる署名を求める。通常の公証は認められない。受け入れられる金融機関の印章や署名保証、承認されたMedallion制度が列挙されており、すべての機関に一種類の認証しか許されないわけではない。
フォームにある「約15分」は記入負担の見積もりだ。移管が15分で終わるという約束ではない。正しい受渡指示、適切な証明、書類の処理がそろって初めて先へ進む。外部移管は対象証券に予定されていた再投資も取り消すので、その後の資金運用予定も更新が必要になる。
今回確認した公式資料には、完全な申請の受領から移管完了までの現在の所要時間分布がなく、その記録があれば事務負担を時間で評価できる。
市場に買い手がいることと、保有者が今日売り注文を出せることは別の事実だ。国債の値段を見る前に、自分の国債がどこにあり、そこから誰の作業で出られるのかを知っておく。急ぐ日に調べ始めるには、出口の説明書は少し長い。
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