要約

  • Gordon CookのRFC 1527は、ネットワーク関係者が候補を出し、議会が承認する十五人の理事によるCorporation for Public Networkingを提案した。役割は意見集約から資金配分、さらには運用まで段階的に想定されていた。
  • 1991年の米国高性能計算法は全国研究教育ネットワークの整備を支え、研究者、教育者、学生の適切な利用を掲げた。しかしCookの機関を設置してはいない。RFCに残ったのは、誰が利用でき、誰が補助金を振り向けるかという争点である。

一本の回線と、使えるサービスは違う予算

1991年の法律は、複数の連邦機関に全国研究教育ネットワーク、NRENの整備支援を求めた。第102条は全州にわたる研究・教育機関、政府、産業の連結を掲げる。民間事業者、州や地方の機関、図書館、教育団体と協力し、研究者、教育者、学生に適切なアクセスを届けることも記した。目標は広い。どの請求書を先に払うかは、その文言だけでは決まらない。

Cookは、K-12の学校、先住民のコミュニティー、公共図書館、州や地方のネットワークに目を向けた。つながっていない施設を増やす方法もあれば、すでに接続済みの施設で利用者を増やす方法もある。後者には説明書、研修、使いやすい道具が要る。線があるだけでは、教室で役立つとは限らない。高速化の計画は見栄えがするが、アクセス政策の成果をそれだけで測れば、誰が使えずに残るかが消えてしまう。

この文書の性格は冒頭に明記されている。Cookは議会の技術評価局に在籍中、議会向けの政策枠組み案を書いたという。局はそれを公式には議会に提出しなかった。Cookが短縮版を1993年9月にInformational RFCとして公開した。現場に近い人の提案を読む一次資料であり、理事会の設立記録ではない。

理事名簿は、支出を争う人の名簿だった

提案したCorporation for Public Networkingには十五の席がある。候補はネットワークの関係者が推薦し、議会が承認する構想だった。NSF、エネルギー省、NASA、高等研究計画局などの公的機関に加え、企業利用者、学校、高等教育、図書館と地方ネットワークが入る。商用ネットワーク情報サービス、長距離通信事業者、地域電話会社、個人用コンピューターの利用者、製造業者、障害のある利用者、大学の計算機部門にも席を用意した。

学校の代表と事業者の代表が同じ資金配分を見れば、安い接続を広げるべきか、設備容量を増やすべきかで利害はぶつかる。障害のある利用者の席は、接続できるという仕様と実際に使えるという経験の差を示す。研究機関が高速実験を求めるなら、その費用が他の利用者の機会を狭めるかも説明する必要がある。Cookは「公共」という語に、反論できる当事者を割り当てようとした。

名簿だけで代表制は完成しない。個人用コンピューター利用者を誰が推薦するのか。補助金を受け得る企業の代表はどの採択に参加するのか。議事と投票を誰が公開するのか。RFCはこれらの細部を決着させていない。十五人という数字は権限の証明ではなく、権限を渡す前に必要な制度設計を可視化する数字だった。

Cookは権限にも段階を設けた。まず各利用者の意見を集める場にする。次にNSFなどへ資金の使途を勧告させる。さらに資金配分を担わせ、事業者間の相互接続や低価格の利用を促す。より大きな案では、NSFとの幹線共同運営や、実験網と運用網の計画まで視野に入れた。意見を述べる場と、助成を拒否できる機関と、サービスを運営する主体では、負う責任が違う。議会がどこまで委ねるかが本題になる。

費用の側にも選択がある。新しい施設への接続を補助するのか、接続済みの施設で利用者を増やすのか。広い構想では、参加企業の拠出も検討された。これらは1993年の選択肢であって、実施済みの料金表ではない。誰のために税金を使うかという決定を、技術の進歩が自動的に代行することはない。

机上に残った理事会

RFCの終盤でCookは議会に四つの判断を求めた。ネットワーク監督の強さ、技術移転に対する補助の場所、幹線への補助の有無と形、そして新規接続と既存接続の利用拡大の配分である。その前提として、NRENは誰に仕えるのかと問う。

1991年法にはNRENの計画と協力相手がある。十五人の法人理事会はない。後年その理事会が発足したと主張するには、設立法または正式な規約、任命と資金決定の記録が要る。ここで読める二つの原資料は提案が現れた時点までを示す。

Cookの面白さは、公共ネットワークを「みんなのもの」という標語で終わらせなかったことだ。学校、図書館、供給側、利用側を具体的に並べ、財布の置き場所を問題にした。席を増やすだけなら会議はにぎやかになる。支出を変えられる席にするなら、誰がその権限を委ねたかまで書かなければならない。

出典