要約

  • ICANN理事会は .WEB IRP の拘束力ある宣言を承認し、45万米ドルと47万9,458.27米ドルの償還を直ちに執行し、停止勧告を明示的に非拘束と位置づけたうえで本案判断を1年以上先送りした。各段階は決議番号・日付・賛否とともに機関自身の記録に残った。
  • AFRINICの2022年の記録は別の型を示す。取締役個人を名指しする裁判所侮辱申立ての当日に取締役費用の会社負担を決議し、その決議の公表をめぐって1月18日議事録の承認を延期し、係属訴訟を報告事項として処理し、理事会を無効とした2022年6月30日の最高裁判所判断への応答を決議索引に残していない。
  • 2023年9月の公認管財人任命以降、統制面は理事会から裁判所役員へ移った。2026年8月24日のCEO指名者(2027年1月1日就任)の発表は、なお管財人の同意を要する手続として行われており、管財手続が公表時点で継続していることの最新の公的証拠である。
  • 記録に残らないことは、決定がなかったことの証拠にはならない。本稿は不在を証明として扱わず、日付・決議番号・命令・書簡という確認可能な事実だけで統制面の移動を記述する。

比較の基準

2021年から2023年にかけての .WEB 事案と、AFRINICをめぐる2022年以降の一連の係争は、同じ種類の問いを立てる。権限を付与した文書は何か。誰がその結果に異議を唱えられるか。そして、決定機関は不利な判断に直面したとき、公開記録に何を残したか。最初の二つは制度設計の問題であり、三つ目は記録の問題である。本稿は三つ目に焦点を当て、比較の基準をICANN理事会自身の記録に置く。同理事会の .WEB に関する応答は、拘束力ある宣言を受けた規制主体が公開記録上でどう振る舞うかを示す、確認可能な一事例である。ICANN理事会特別会議議事録(2022年1月16日) アフィリアス最終宣言(2021年5月25日、編集済み)

ICANN理事会が記録したもの:.WEB

2022年1月16日、ICANN理事会は .WEB IRP パネルの拘束力ある宣言を承認した。理事会はアフィリアスを勝訴当事者と認定し、ICANNが定款および細則に違反したとするパネルの判断を記録したうえで、45万米ドルおよび47万9,458.27米ドルの償還を指示した。同時に、パネルが勧告した停止(stay)については、明示的に拘束力がないものとして扱い、最終宣言を理事会アカウンタビリティ・メカニズム委員会(BAMC)へ付託した(決議2022.01.16.12–15、賛成15、棄権1)。ICANN理事会特別会議議事録(2022年1月16日) BAMC会議議事録(2022年2月24日)

この記録は三つの要素に分解できる。第一に、拘束力のある宣言の承認。第二に、金銭的救済の即時執行。第三に、実体的判断の先送りと、停止勧告の法的性格の明示的な格下げである。2022年3月10日、理事会は決議2022.03.10.06でBAMCに対し、ドメイン取得契約(DAA)およびオークション・ブラックアウトに関する申立ての評価と、失格事由に関する認定の要請を求め、.WEB の契約締結および移譲を引き続き行わないことを確認した。これは凍結の延長であり、本案の判断ではない。ICANN理事会定例会議事録(2022年3月10日) BAMC会議議事録(2022年2月24日)

本案の判断は2023年4月30日に下された。理事会は、NDCがベリサインとの間でDAAを締結したことはガイドブックおよびオークション規則に違反しないと決議し、この立場はICANNの2023年8月30日付IRP応答提出書面に記録されている。ICANN IRP応答提出書面(2023年8月30日)

注目すべきは順序である。宣言の承認、救済の執行、停止勧告の非拘束性の明示、委員会への付託、そして1年以上を置いた本案判断。各段階が、決定機関自身の名において日付と決議番号とともに記録された。正統性の評価にとって重要なのは結論の内容だけではなく、誰がいつ何を決定したかが追跡可能であることだ。

前例としての .AFRICA

これは初例ではない。2015年の DCA Trust 対 ICANN の .AFRICA IRP において、パネルはICANNの行為が細則に整合しないと宣言し、DCAを勝訴当事者と認定し、19万8,046.04米ドルの償還を命じ、移譲の継続的停止を勧告した。理事会は償還を執行し、その後申請の評価を進めた。執行すべき宣言は執行し、争いのある実体的判断は記録の上で先に送る——この型は .WEB でも反復された。.AFRICA IRPに関する記録

AFRINICが2022年に記録したもの

AFRINIC側では、記録の型は異なる。2022年1月18日の臨時理事会は、細則19.2に基づく14日前通知を免除して開催された。同日、クラウド・イノベーションが2022年1月13日に送達した、取締役個人を名指しする裁判所侮辱の申立て(Notice of Motion)が記録された。法務顧問は、取締役の利益は失格事由となる利益相反に当たらないと助言した。決議202201.666は、当該事件に関する全取締役の法的費用を会社が負担することを定め、賛成7、反対0、棄権0で可決された。AFRINIC理事会臨時会議議事録(2022年1月18日)

ここで記録されたのは費用負担の決定である。しかし、この決議の公表をめぐる取扱いが、その後の記録に影を落とす。2022年1月26日、2月21日、3月2日の合同議事録は、「決議202201.666の公表に関する討議を考慮し」、理事会が1月18日議事録の承認を延期したと記録している。決議は採択されたが、その公表をめぐって機関がためらった事実が、機関自身の記録にとどめられた。AFRINIC合同議事録(2022年1月26日・2月21日・3月2日)

2022年4月の議事録(4月6日、13日、20日)は、クラウド・イノベーションによる「本案」と係属中の裁判所事件を、CEOを通じて監査委員会に回付する報告事項(take-note)としてのみ記録している。決議202204.684は、修正を付して1月18日議事録を承認した。AFRINIC理事会議事録(2022年4月6日・13日・20日)

さらに、AFRINIC自身の2022年決議索引は、2022年6月に単一の決議(202206.699、エシュンを議長、オマリを副議長に任命)のみを示し、議事録へのリンクも、2022年6月30日の最高裁判所判断——定足数(細則19.6、取締役5名以上)を欠くとして理事会を無効とした判断——への記録された応答も含まない。AFRINIC決議索引(2022年) AFRINIC rpdメーリングリスト投稿

この部分は慎重に扱う必要がある。索引に応答が記録されていないことは、応答が存在しなかったことの証明ではない。それは記録の不在であり、不在は決定の証拠にも、決定の欠如の証拠にもならない。ただし、AFRINICの正統性が問われた局面で、機関自身の決議索引が何を載せ、何を載せなかったかは、統制の所在を測る材料になる。決定の記録は統制の一部であり、記録を欠く統制は、後に外部の記録によって置き換えられやすい。

AFRALOとICANNの応答

2023年8月23日に承認されたAFRALO決議は、AFRINICが2022年6月14日以降、定足数を満たす理事会を持たないと記載し、取締役アルマダによる特別総会招集申請(SC/COM/MOT/000265/2023)を支持した。AFRALO決議 AFRALO申請に関する書簡 ICANN理事会議長トリプティ・シンハは2023年11月21日、機能的統治の回復を監視し支援することを約束した。シンハからエル・ミニアウィへの書簡(2023年11月21日)

ここで注意すべきは、2022年6月14日(AFRALOによる定足数喪失の記載)と2022年6月30日(二次資料による理事会無効の記載)が別の出来事を指すという点である。両者を同一視すると、記録の読み方が歪む。両日付のいずれについても、AFRINIC自身の2022年決議索引には対応する決議が記録されていない。

管財人の登場:2023年9月

2023年9月11日から12日にかけ、モーリシャス最高裁判所破産部門は、会社法2001年第178条2項(c)に基づき、AFRINICに対して公認管財人(オフィシャル・レシーバー、ヴァスーダイヴェン・ヴィラサミ)を任命した。命令は移転、買収、合併、再編、経営支配の変更を差し止め、6か月以内の選挙実施とCEO任命を指示した。ICANNによるAFRINICに関する最新情報(2023年9月22日) NRO声明 最高裁判所判断 報道記録

NROはこの任命を、ICP-2、NRO MoU、ASO MoUへの準拠に向けた前向きな一歩と評した。クラウド・イノベーションは任命を歓迎した。報道によれば、判断はAFRINIC側の法的代理人が不在のまま下され、2023年9月12日にはAFRINICから会員宛てに相反する内容の電子メールが送られたとされる。ここで注目すべきは、統制が契約当事者間の取決めから裁判所の役員へ移った点である。以後、決定の記録は理事会の決議ではなく、裁判所命令と管財人の申請によって形作られる。

管財人の交代と選挙の反復:2025年

2025年2月12日の裁判所命令は、ゴータムシン・ダビーを新たな管財人に指名し、2025年4月25日までに理事会を再構成する選挙を命じた。ICANNによるAFRINIC管財人任命に関する最新情報(2025年3月9日) ICANNの2025年3月9日声明は、管財人を公式に任命された権限として認めた。その後、2025年の選挙手続は無効とされ、2025年9月に新たな選挙が実施された。AFRINIC会員向け更新(2026年3月12日) AFRINIC会員向け更新

選挙の反復は、それ自体が統制面の所在を示す。もし理事会が単独で自らの構成を確定できるなら、選挙を無効化し再実施する権限は理事会に属する。2025年にそれが反復されたことは、構成を確定する権限がなお裁判所役員の側にあったことを示す。

終結申請と係争の継続:2025–2026

2025年10月8日、管財人は「管財手続終結申請」を提出した。2025年10月13日の理事会と管財人の共同コミュニケは、裁判所の判断を待っていると述べ、正式な解任まで管財人がAFRINICを支援し続けるとした。AFRINIC rpdメーリングリスト投稿(2025年)

2026年3月12日の会員向け更新は、解任申請が審理され判断待ちであること、クラウド・イノベーションが異議を述べ別の管財人を求めていること、2025年9月の取締役任命を無効化する法的手続が行われていること、ICANNが清算申立て(SC/COM/PET/000508/2025)への参加許可を申請したこと、そしてAFRINICの「Declared Company」指定が引き続き有効であることを述べている。AFRINIC会員向け更新(2026年3月12日)

2026年5月14日、最高裁判所はICANNの清算申立てへの当事者参加を認め、ラルス社を通じたクラウド・イノベーションの言明に対する暫定命令を発した。AFRINICはこれを2026年5月15日のコミュニケで報告した。AFRINICコミュニケ(2026年5月15日)

理事会と管財人の権限併存:2026年8月

2026年8月24日、AFRINIC理事会は管財人の同意を得て、マイク・シルバーをCEO指名者(CEO Designate、2027年1月1日就任)として発表した。CEO指名者任命の発表(2026年8月24日) これは公表時点で管財手続が継続していることの最新の公的証拠であり、理事会と管財人の権限が併存していることを示す。取締役会の決定は、なお裁判所役員の同意を条件としている。

ICANNの当事者参加と当事者適格

2025年6月のICANNによる裁判所申請は、2025年6月19日の判断を生んだ。裁判所はICANNに当事者適格(locus standi)がないとしつつ、管財人に対し、クラウド・イノベーションの会員登録と指名委員会の構成について会員宛てコミュニケを発するよう命じた。ICANNによる裁判所判断の公表(2025年6月20日) ICANNの2025年7月の書簡(リンドクヴィストからダビー宛7月3日、ラムトフルおよびダビー宛7月16日)は、選挙手続と理事会構成に関するICANNの立場を記録している。リンドクヴィストからダビーへの書簡(2025年7月3日) リンドクヴィストからラムトフルおよびダビーへの書簡(2025年7月16日) さらに2025年11月24日付の書簡がダンマク宛に送られている。リンドクヴィストからダンマクへの書簡(2025年11月24日)

文書が示す統制面の移動

これらを並べると、統制面の移動が日付で追える。2022年の統制面は理事会とその決議であり、争点は決議の公表と議事録承認の扱いに現れた。2023年9月以降の統制面は裁判所任命の管財人であり、決議ではなく命令と申請が記録を構成する。2026年8月時点で、理事会の決定は管財人の同意を要する。統制面の所在は、機関の内部文書ではなく、裁判所手続とその公開コミュニケによって示される。

この移動は、契約上の義務の側からも確認できる。NROは任命をICP-2およびMoU準拠の前進として歓迎し、ICANNは管財人を公式に任命された権限として認めた。外部の契約主体が認めた統制面は、当該機関の内部手続よりも強い証拠力を持つ。

証拠の限界

  • 管財手続の解任命令は確認できていない。最新の日付ある公開記録(2026年8月24日)では、CEOの任命に管財人の同意がなお必要であり、AFRINICの2026年3月12日声明は解任判断を待っていると述べている。本稿の通貨性の主張はこの範囲に限定される。
  • AFRINICの議事録の一部は取得可能なテキストで編集・伏せ字化されている。引用は提供された抜粋に基づき、PDF全体が独立に描画・検証されたものではない。
  • 2022年6月14日(AFRALO記載の定足数喪失)と2022年6月30日(二次資料記載の理事会無効)は別の出来事を指し、混同してはならない。いずれについてもAFRINICの2022年決議索引に一次記録はない。
  • 法令の条番号について、二次資料には第178条と第278条の相違がある。本稿はこの点を主張の根拠にしない。

結論

記録は二つのことを同時に示す。第一に、拘束力ある不利な判断に対する応答は、承認・執行・先送り・本案判断という順序で、機関自身の決議番号と日付によって追跡できる。第二に、統制面は理念ではなく手続によって移動し、その移動は誰が同意を与えるかを問うことで測定できる。2026年8月24日の発表が示すのは、AFRINICの理事会が存在し機能していることではなく、その決定がなお裁判所役員の同意を条件とするという事実である。

補足の記録として、ICANN理事会議長の2026年9月24日付ブログは9月の理事会ワークショップを要約しており、AFRINIC関連事項が引き続き議題にあることを示している。ICANN理事会議長ブログ(2026年9月24日) また、2024年のモーリシャス最高裁判所判断(Afrinic Ltd 対 Cloud Innovation Ltd & Anor、2024 SCJ 473)はWilberforce法律事務所を通じて公開されている。2024 SCJ 473

本稿が扱うディレクトリ項目は CTO AFRINIC である。