要約
- 2024年10月15日の最高裁判決 2024 SCJ 473 は、2023年9月28日に提起された控訴を退け、2023年9月12日の管財人任命命令を回復したうえで、取締役選挙と CEO 任命の全手続を判決日から2か月以内に完了するよう命じた。
- 2026年8月24日に発表された Mike Silber の CEO 指名(2027年1月1日就任)は「管財人の同意を得て」なされた取締役会の決定であり、選挙を経た後もなお主要人事が管財人の同意に依存していることを示す。
- ICANN は選挙手続の認定に反対し ICP-2 遵守レビューの権利を留保しているが、2025年6月19日の裁判所は ICANN の当事者適格を認めず、管財人に会員向けコミュニケの発出を命じた。
命令の連鎖:2023年9月、2024年10月、2025年2月
起点は2023年9月11日から12日にかけての発令である。AFRINIC は移転、買収、合併、再編、経営支配からの差止めを受け、管財人(Official Receiver)は資産の現状維持と、選挙の実施、適法な取締役会の構成、CEO の任命を6か月以内に行うことを命じられた。NRO は2023年9月14日の声明で、Companies Act 第178条(2)(c) に基づくこの命令の運用上の要点を列挙し、AFRINIC の ICP-2、NRO MOU、ASO MOU 上の義務の履行を可能にする枠組みとして位置づけた(NRO 声明)。
2024年10月15日、最高裁判所は 2024 SCJ 473 において、2023年9月28日に提起された控訴を退け、2023年9月12日の命令を回復した。裁判所は自らの命令を差し替え、管財人に対し「本判決の日から2か月以内に全手続を完了する」よう命じた(2024 SCJ 473)。同判決は、2021年8月23日の取締役会決議が法定人数を欠き、当時 CEO が存在しなかったため、法的代理を授権するには不十分であったと判断した。控訴の提起に管財人の同意や裁判所の許可が必要であったかは、明示的に判断されていない。
管財人の交代と選挙の期限
2025年2月12日、Bankruptcy Division の命令(事件番号 SC/COM/MOT/000082/2025)により、Gowtamsingh Dabee が Official Receiver に代わる Receiver として任命された。任務は会社資産の保全と、Bylaws に従った取締役会の再構成である。同任命は Insolvency Act 2009 第187条に基づく通知として2025年2月17日に公表された(通知、関連する会員向け公示)。
ICANN は2025年3月9日の更新で、2025年2月12日の裁判所命令が Dabee を Receiver に指名し、2025年4月25日までに取締役会を再構成する選挙を命じたと記録している(ICANN 更新)。会員向けには選挙の手続文書と案内が公表された(選挙ガイドライン、会員向け公示)。
議決権の適格性と管財人の同意
Cloud Innovation の申立てと Official Receiver の請求に応じた最高裁の裁定として報道された内容では、選挙は2025年6月末までに実施され、2023年9月19日以降に管財人の同意なく AFRINIC の会員となった主体には議決権が認められないとされた(報道された裁定)。この運用文言は、管財人の同意という要素を会員資格の適格性に直接結びつけるもので、選挙の結果として成立する議決権の分布そのものを左右する。
ICANN の書簡:番号資源業務の再開と選挙の分離
2025年3月7日、ICANN の Crain は Dabee 宛書簡で、選挙作業と並行して番号資源の割当を再開する保証を求め、選挙手続を基本的な RIR 業務の回復とは分けて扱うよう促した。この書簡は、番号資源を割り当てる権限を持つ主体として AFRINIC を扱っている(書簡)。
2025年6月25日の Lindqvist 書簡は、「現行の形での選挙手続の進行、またはこれまでの選挙手続に基づく結果の認定や取締役会の構成に対して強く反対する」と述べ、ICP-2 遵守レビューが必要になり得ることを正式に通知した(書簡)。2025年7月16日の書簡では、ICP-2 遵守レビューを開始する権利を留保し、選挙手続の記録の保全を求め、単一の会員が AFRINIC の支配を獲得しようとする試みと性格づけた解散申立てに異議を述べた(書簡)。
2025年6月19日、最高裁は ICANN に当事者適格がないと判断しつつ、管財人に対しコミュニケの発出を命じた。内容は、Cloud Innovation Ltd が誤って登録会員とされた事実を資源会員に伝えること、および取締役会が存在しない状況で NomCom がどのように構成されたかを伝えることであり、目的は自由で公正な選挙とされた(ICANN 発表)。
管財人の同意に依存する取締役会の決定
2025年11月19日、取締役会は「管財人の同意を得て」単一の Interim CEO に代わる集団指導体制を採用し、Bylaws 第15.1条、15.2条、15.3条(10)に基づき、同じく「管財人の同意を得て」CEO 選考委員会を設置した。CEO 職は2022年11月以来空席であった(会員向け公示)。
2026年8月24日、取締役会は管財人と共同で、Mike Silber を CEO Designate として2027年1月1日付で就任させることを発表した。運用文言は「AFRINIC の取締役会は、管財人の同意を得て、……発表する」であり、選挙を経た取締役会の主要な任命権が依然として管財人の同意を条件としていることを示している(発表)。
管財終了申請と現在の手続状況
2025年10月8日、管財人は最高裁(Bankruptcy Division)に管財終了(Termination of Receivership)申請を提出した。2025年10月13日の取締役会と管財人の共同コミュニケは「裁判所の決定を待っている」と記録しているが、これは当事者が発した文書であって裁判所命令ではない。
2026年3月12日の会員向け更新は、管財人の免責(discharge)申請が審理され判決を待っていること、管財人が通常の申請手続を通じて IP アドレスの割当・指定を承認し続けていること、Cloud Innovation Ltd が管財人は権限を逸脱したと主張していること、2025年7月の清算申立てにより AFRINIC が Declared Company に指定されたことを記録している(会員更新)。
誰が異議を申し立てられるか
案件ごとに異議の経路は異なる。管財終了申請は裁判所に係属し、判決を待つ状態にある。会員にとっての内部経路は Bylaws 上の Appeal Committee と Bylaws Review Committee であり、それぞれ構成と役割が公表されている(Appeal Committee の構成、Bylaws Review Committee の任命)。ICANN は本件で当事者適格を否定されたが、ICP-2 遵守レビューを開始する権利を留保している。番号資源コミュニティ側では、NRO が2023年の命令を AFRINIC の契約義務の履行を可能にする枠組みとして位置づけた。
記録された文言が示す現在地
記録に残った運用文言だけを追うと、二つの権限が併存している。番号資源の割当・指定という日常的な運営権限は AFRINIC の運営側にあり、管財人が通常の申請手続を通じて承認を続けていると記録されている。他方、取締役会の主要な人事権は、2025年11月の集団指導体制と CEO 選考委員会、そして2026年8月の CEO 指名に至るまで一貫して「管財人の同意」を条件としてきた。本稿は、既報の文書連鎖の整理(既報)を踏まえ、各文書が実際に認定・付与・命令・拒否した運用文言に焦点を当てている。関連する問い合わせ先は AFRINIC のディレクトリ項目(ディレクトリ)から確認できる。
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