要約
- AFRINICの割り当て権限は、会員との契約である登録サービス契約に由来する。管財人は裁判所が任命した保管者であり、契約上の権限主体ではない。
- 管財人は2025年10月8日に管財手続の終了と自身の解任を求める申立てを行い、判決は依然として待たれている。AFRINICの公開ニュース一覧に解任命令の告知は確認できない。
- 資源保有者が明文で使える救済は、RSAが定める21日以内の上訴であり、その終局判断は理事会に置かれている。機能する理事会の存在が前提となる。
契約が定める割り当て権限
番号資源を誰に割り当てるかを決める権限は、まず契約に置かれている。AFRINICの登録サービス契約(RSA、2018年1月版)は、AFRINICがICP-2に基づいてICANNから認定され、地域内でインターネット番号資源を割り当てる主体であり、会員が選出する理事会によって統治されると記述する(RSA)。つまり契約は、割り当ての権原を当事者間の合意に基礎づけ、その合意の当事者は会員とAFRINICである。
同じ契約は、番号資源が不動産・動産・知的財産のいずれでもないと明記し、会員が持つのは排他的な使用権にとどまるとする。譲渡は、合併・買収の場合、または採択されたポリシーに従う場合を除いて禁止される。契約違反に対する救済には、違反の是正および/または資源の返還が含まれ、書面通知と30日の陳述機会を経て契約を終了させ得る。保有者が「自分の資源」と呼ぶ対象について、契約が与えるのは所有権ではなく、条件付きの使用権と、条件が破られた場合に返還を請求され得る地位である。
契約上の救済経路も同じ文書に書かれている。会員は親レジストリに対する上訴権を持ち、不服のある決定から21日以内に申し立てる。文書の受領から15日以内に下される理事会の決定が最終とされる(RSA)。
管財人の保管的権限と解任申立て
運用の現場で割り当てを承認してきたのは、しばらくの間、裁判所が任命した管財人である。AFRINICは、管財手続の終了と管財人の解任または免責を求める申立てがモーリシャス最高裁判所破産部に提出され、原因番号 SC/COM/MOT/000757/2025 が付され、2025年11月26日に審理が予定されていると告知した。2025年10月29日付の裁判所命令により、参加を希望する会員は2025年11月12日までに許可を求める必要があるとされた(AFRINICの告知)。
2025年10月13日付の理事会と管財人の共同コミュニケは、管財人が2025年10月8日に解任申立てを行ったこと、裁判所の判断を待っていること、正式な免責までは取締役の任命後もAFRINICを支援し続けることに同意したことを記録している。同時に、IP資源の割り当てと、2022年6月以降に加入した資源会員の権利が検討対象であり、係属中の裁判手続に服するとしている(共同コミュニケ)。
2026年3月12日の会員向け更新は、より具体的である。解任申立ては審理を終え、判決待ちであること。管財人が、ICP-2と現行ポリシーに沿って処理されたIPアドレスの割り当ておよびアサインメントを承認してきたこと。Cloud Innovation Ltdがそれを管財人の権限外であると争ったこと。同社が2025年7月に清算申立てを行い、その結果AFRINICが会社法上のDeclared Companyに指定された状態が当時も続いていたこと。そしてICANNが参加を申し立てたことである(会員向け更新)。
外部認定とICANN
三つ目の根拠は、アフリカ域外にある。ICANNの2025年3月7日付書簡は、アフリカおよびインド洋南部のネットワーク事業者にIPアドレスを割り当てる権限を持つのはAFRINICだけであるとし、RIRの分配機能は単一の債権者、会員または会員グループの利益や保護のために用いられてはならないと述べる。同じ書簡は、公選管財人の下で割り当てに制限が課され、少なくとも1件は申請者が数か月待たされた正式な苦情が生じたこと、2025年4月25日の裁判所の委任が理事会選挙の完了に関わることに言及している(ICANN書簡)。
2026年5月15日、AFRINICは、同社の子会社Larus Ltdを通じた公表が、裁判所がAFRINIC割り当てのインターネット番号資源のリースを認めたかのような印象を与えたことを受け、最高裁判所が2026年5月14日にCloud Innovation Ltdに対する仮命令を発したと述べた。AFRINICは、自らのポリシーおよび契約の枠組みの外にある取り決めについて司法が認めた事実はないとし、同じ日に裁判所が、事件番号 SC/COM/PET/000508/2025 の清算申立てにICANNが当事者として参加することを認める命令を出したと述べている(AFRINICのコミュニケ)。仮命令は本案判断ではない。ここで確認できるのは、裁判所が一時的な措置を講じ、ICANNを手続に加えたという事実までである。AFRINICはこの更新から、墨消しされた裁判所文書へのリンクを公開している(墨消し文書)。
公開記録が示す現在の状態
2026年8月24日、理事会は管財人の同意を得て、Mike Silber氏をCEO Designateに任命したと発表した。同氏が最高経営責任者として就任するのは2027年1月1日である。このコミュニケは理事会と管財人の連名で出されている(人事の発表)。2026年8月28日には、理事会がポリシー開発プロセスの紛争解決条項から生じる上訴を扱う上訴委員会を、即時有効・2026年12月31日までの任期で構成したと発表した(上訴委員会の構成)。
これらを並べると、現在の状態について限定的だが意味のあることが言える。管財人は依然として在任し、理事会の行為に同意を与えており、CEOはまだ就任していない。AFRINICの公開ニュース一覧には、2026年8月24日のCEO Designate任命、同年8月28日の上訴委員会構成、同年9月1日のRIRガバナンス文書草案が並ぶが、管財人を解任する裁判所命令の告知は見当たらない(ニュース一覧)。これは告知が見当たらないという限定的な観察であって、そのような命令が存在しないことの証明ではない。
資源保有者にとっての救済
保有者の側から見れば、実際に使える明文の経路は契約に書かれた21日上訴である。ただしこの経路は、最終判断を下す理事会が機能していることを前提とする。理事会が、外部の当事者による複数の訴訟と仮命令によって事実上活動を妨げられてきたとAFRINICが説明している状況(裁判の概況)では、上訴が予定された期間で処理される保証は公開記録からは導けない。AFRINICは、Cloud Innovation Ltdがモーリシャス最高裁判所に25件超、セイシェル最高裁判所に2件の訴訟を提起し、関連会社も係争していると述べ、紛争の起点を2021年の同社IPアドレスの登録抹消に置いている(訴訟FAQ)。これらはいずれも当事者であるAFRINICの説明であり、件数や評価は独立に検証されていない。
割り当てとアサインメントの実体規範は、RSAだけでなくポリシーにも置かれている。AFRINICの統合ポリシーマニュアルは、IANAからの階層的な割り当てと、会員への権限委譲を前提とする運用文書である(統合ポリシーマニュアル)。したがって、ある割り当てが今日正当化されるかどうかは、①どの文書が権限を与えたか、②その時点で誰が運用上の承諾権を持っていたか、③その承諾が係属中の手続にどう位置づけられるか、という三つの問いに一つずつ答えることで初めて示される。
何が確認されていないか
解任手続(原因番号 SC/COM/MOT/000757/2025)の判決、命令、審理記録は公開されておらず、本稿の範囲では確認できていない。AFRINICが公開した墨消し文書はURLとして保持されているが、その条項の内容は読まれていない。本文で引用したAFRINIC側の記述は、いずれもAFRINIC自身またはそのメーリングリストという当事者の説明であり、ICANNの書簡はICANN自身の立場である。2026年9月7日以降の展開は、今回参照した範囲では網羅されていない。
関連するディレクトリ項目:AFRINIC(btw.media ディレクトリ)。
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