要約
- APNICではかつて、持ち運べるIPv6アドレスを得るには複数の事業者につなぐ必要があった。David Woodgateは、接続先を替えるだけで大量の機器を再設定する組織に、その「二社目」が本当に必要なのかを問うた。
- prop-101は2012年3月に合意できず、修正版が8月の政策会議と会員会議で合意を得た。APNICは翌2013年2月に実施を発表した。
- 判定軸は複数接続の有無から技術的な必要性へ。最小/48、初回は一つのプレフィックス、経路表への影響を追う仕組みも提案に盛り込まれた。
アドレスのために、回線をもう一本?
契約先を替える。電話なら手続きで済むかもしれないが、IPv6アドレスを固定した大きなネットワークでは、機器や設定が一斉に新しい番号を要する。David Woodgateが目を留めたのは、この作業量とAPNICの申請条件のずれだった。持ち運べるアドレスが欲しければ、すでに複数の事業者に接続しているか、三カ月以内にそうする計画が必要だった。
prop-101の最終案は、事業者から借りた番号をネットワーク全体で使うと、事業者変更が大規模な付け替えになると説明する。静的な設定が多いほど厄介だ。医療や公共サービスを妨げかねない場合も、技術的な理由の例として挙げた。実際の事故を報告したわけではない。問うべきは「何社につないだか」より「番号を替えられるか」だった。
WoodgateはAPNIC 34での遠隔参加で、単一の事業者を使う組織の選択を説明した。事業者の番号を受け入れて将来の付け替えを背負うか、独立した番号を得るためだけに追加の接続を買うか。回線の本数を住所の独立性の代理指標にすると、IPv6を使い始める前から余計な請求書が届く。
一度止まり、申請理由を磨いた
APNICの経過記録では、2012年3月1日のAPNIC 33に合意はなかった。Woodgateは同月6日に第4版を提出する。8月のAPNIC 34では、事業者からのアドレスでは困る理由をどう示すかが焦点になった。議場では具体例を案内に載せようという声が出たが、例を列挙して別の硬い門を作るのは避けたい。要件を説明することと、要件を狭めることは違う。
最終案では、APNICから独立したIPv4アドレスを得た実績がある組織に資格の道を用意した。そうでない申請者は、事業者のIPv6アドレスが適さない技術的理由と利用計画を示す。最小は/48、初回は一組織一プレフィックス。将来の拡張を同じプレフィックスの拡大で収めやすくし、独立した経路をむやみに増やさない配置も求めた。割り当て件数を公開し、経路表への負担を観察する仕組みまで含めた。
政策会議は8月30日に、会員会議は翌日に合意した。議事録にはWoodgateが「もう採択されたのか」と尋ね、議長が「まだ合意を確認していない」と返す場面が残る。話がまとまった空気と、正式な判断は別物だ。11月の理事会承認を経て、APNICは2013年2月18日に実施を告知した。
Woodgateが取り替えたのは、申請書の一つの判定法である。接続先が一社でも、次に移る自由は必要になりうる。その理由を具体的に示し、公共の経路表への負担も数える。回線を数えるより手間はかかるが、ネットワークの現実に近い。
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