要約
- W3Cは9月22日、WCAG 2.2と2.1の仏語版を更新された認定翻訳として発表した。翻訳を主導したのはAccess42である。
- 日付を固定した二つの公開ページは見出しで認定訳を名乗る一方、冒頭の説明文ではなお候補訳だと述べる。
- 表示の食い違いは確認できるが、認定の不存在や取り消し、WCAGの技術要件の変更までは示していない。
翻訳の品質を議論する前に、文書の身分を読めるようにする必要がある。W3Cの9月22日付WCAG 2.2仏語版では、上部に認定された仏語翻訳という見出しが置かれている。ところが続く注意書きは、文書を「候補」と表現する。WCAG 2.1仏語版にも同じ組み合わせがある。W3Cの発表は両方を認定翻訳の更新として扱っており、候補段階の公開審査を新たに始めたとは述べていない。
出典の版を分けると、問題の範囲も分かる。今回の2.2訳が参照する英語の勧告は2024年12月12日付で、2.1訳が参照するのは2025年5月6日付である。WAIの告知もその対応を明示した。仏語ページには各英語版へのリンクと誤記訂正の窓口が残っている。見つかった不整合は、成功基準の中身ではなく、公開された翻訳が自分の状態をどう表示するかという入口の問題だ。
W3Cの手続きでは、翻訳を主導する組織が候補を用意し、関係者の公開審査を経て、W3Cが認定として公表するかを判断する。Access42の9月1日の報告によれば、各候補について名簿上の49組織のうち37組織が承認し、12組織は回答していない。これは審査の記録であり、組織数だけでW3Cの最終決定を代行するものではない。W3C自身による22日の発表とページ見出しこそ、今回の公開状態を示す資料である。
比較対象もある。2025年3月に公表された旧版のWCAG 2.2仏語認定訳は、対応する注意書きで自らを認定済みと記していた。今回の改訂版では英語原文の参照版が更新され、注意書きの同じ位置が候補という語に戻っている。なぜそうなったか、誰が入力したかは公開資料から断定できない。
認定翻訳はW3Cの方針上、他言語での公的利用を想定している。ただし争いがあれば英語原文が権威を持つという留保も同じ方針にある。利用者は「仏語版だけで原文に優越する」とも「一文のため認定が消えた」とも読まない方がよい。日付付き仏語版、対応する英語版、誤記訂正の履歴を一緒に保持し、状態説明が一致するかを確かめるのが現実的な扱いだ。
出典
- https://www.w3.org/news/2026/authorized-translations-of-wcag-2-2-and-2-1-in-french-updated/
- https://lists.w3.org/Archives/Public/public-wai-announce/2026JulSep/0002.html
- https://www.w3.org/Translations/WCAG22-fr-20260922/
- https://www.w3.org/Translations/WCAG21-fr-20260922/
- https://www.w3.org/2005/02/TranslationPolicy
- https://www.w3.org/Translations/WCAG22-fr-20250317/
- https://lists.w3.org/Archives/Public/w3c-translators/2026JulSep/0006.html
- https://lists.w3.org/Archives/Public/w3c-translators/2026JulSep/0005.html
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