要約

  • RFC 1432の詳しい書誌情報の多くは、GopherとTelnetで接続したLibrary of Congressの目録サーバーから得られたが、それは蔵書、販売在庫、配送を証明するものではなかった。
  • 一覧には紙の本、FTPだけで読めた初版、毎月少しずつ公開される章、未刊かつ未見の本が同居し、価格や連絡先が変わることも明記された。
  • 書誌の発見、経路の応答、ファイルの受領、版の同定、販売条件の確認、実物の受領は、時刻と管理主体を伴う別々の証拠である。

「見つかった」の目的語

1993年3月のRFC 1432は、Internetの使い方に関係する書籍を並べた情報提供文書である。執筆者John S. Quartermanによれば、約一年のうちに九冊か十冊の新刊が現れたことが契機だった。ただし、その中にはまだ刊行されていない本もあった。古いものは1984年まで遡った。

表には著者、ページ数、価格、想定読者、種類、ほかのネットワークを扱う度合いが並ぶ。空白を見栄えよく埋めることはしない。ページ数や価格が不明なら疑問符が置かれ、刊行予定で現物を確認していない本には、その状態が書かれた。分類も決定的なものではなく、複数の区分にまたがる本を読みやすく配置するための目安とされた。

この表で「見つかった」の目的語は一定ではない。書名が見つかったこと、刊行計画が見つかったこと、注文先が見つかったこと、ネットワーク上のファイルが見つかったことが、同じ紙面に載っている。RFCはそれらを接続したが、同じ事実にはしなかった。

目録を返す機関と本を渡す機関

文書は書誌情報の来歴を明記する。細部の多くは、Digital Research Associatesの支援を受けたLibrary of Congressの目録サーバーから得られ、Internet経由でGopherとTelnetを使って参照された。

ここには複数の管理主体がいる。図書館は目録記述を管理する。サーバー運営者は問い合わせに応答する。ネットワークとプロトコルは通信を運ぶ。出版社は版と価格を決める。書店や注文窓口は在庫を知る。FTPサーバーの運営者は、その場所にどのファイルを置くかを決める。

目録サーバーが一件のレコードを返しても、図書館が貸出可能な一冊を持つとは限らない。出版社の住所が書かれていても、在庫は証明されない。検索結果にFTPの場所が添えられていても、そこに完全な本文があるとは限らない。情報が一つの画面に集まることと、責任が一つに集まることは別である。

RFC 1432が用いた歴史的な「Matrix」という範囲も、その区別を促す。そこには電子メールを交換する世界のネットワークとして、FidoNet、UUCP、BITNET、USENET、Internetなどが含まれた。書誌はInternetを中心にしていたが、いくつかの本はそれ以上の範囲を扱った。一覧上の近さは、運用上の一体性を意味しない。

経路の書式は成功条件ではない

引用の末尾に domain.name:path/name がある場合、RFCは具体的な手順を示した。FTPでドメインへ接続し、anonymousとしてログインし、自分の電子メールアドレスをパスワードに使い、残りをディレクトリまたはファイルとして試す。local@domain は追加情報を問い合わせるメールアドレスだった。

この表記は経路を再現しやすくする。しかし成功を保証しない。ホストだけが応答し、パスが消えているかもしれない。ファイルは広告や目次で、書籍本文ではないかもしれない。別の版に差し替わっている可能性もある。メールが配送されても返答は来ないことがある。注文が受理されても発送されないことがある。

1990年のRFC 1175も、初心者と中級者の出発点として、オンライン文書、紙の資料、参考文献、マルチメディア教材を一つの書誌にまとめ、入手方法を添えていた。FTPのコマンドはシステムごとに異なり得るとも注意した。記述、経路、取得は、当初から別の層だった。

一つの作品に複数の「ある」

RFC 1432に載る例は、可用性を一つの欄で表せないことを示す。The Internet Companion は匿名FTPで毎月二章ずつ公開される途中だった。Zen and the Art of the Internet の初版は複数の匿名FTPサーバーでのみ入手でき、第二版は増補・改訂された紙の本だった。別の項目では、ネットワーク上の場所が広告や目次を指していた。

したがって「その本がある」と言うには、何があるのかを指定しなければならない。作品の存在が知られているのか。特定の版が刊行されたのか。一部の章が転送できるのか。完全なファイルがあるのか。紙の在庫が注文できるのか。読者の手元に一冊届いたのか。

ISBNは版の同定を助けるが、受信したファイルとの一致を単独では証明しない。保存したファイルのハッシュはバイト列を固定できるが、正規の出版物であることまでは決めない。価格表示はある時点の提示を示すが、送料を含む支払額や配送結果ではない。

一作品の状態が複数に分かれるのは、後世の分析が作った問題ではない。RFC自身が初版と第二版、オンラインと紙、分割公開と完成品、刊行予定と未見を区別している。

変化するという注記を削らない

Quartermanは、価格、電子メール、電話、ファクス、郵便住所が変わり得ると明記した。割引なら安くなり、送料や米国外での購入なら高くなる場合がある。誤り、変更、追加はメールで知らせてほしいとも書いた。

これは本文の外にある注意書きではない。各項目の有効期間を定義する記述である。著者名や特定版のISBNは比較的長く保たれる一方、価格、連絡先、サーバー上のパス、刊行予定は短い周期で変わる。同じ行に置かれても、同じ時計では動かない。

RFCを現在の価格に合わせて書き換え続ければ、1993年の観測記録が失われる。逆に日付を残したまま古い価格を保存すれば、それは当時の流通条件を示す証拠になる。古いことと誤っていることは同義ではない。

RFC 1402はこの問題を、存在を知ること、重要性を判断すること、見つけられるよう索引化することに分けた。ネットワーク情報は動き、増え、変わり、死ぬため、多くの項目は最終情報へのポインターにすぎないと述べた。

ポインターは探索を短くする。対象を管理するわけではない。ここを混同すると、過去の正確な経路記録が、現在の誤った在庫表示に変わってしまう。

検索道具が増えても、真実は一か所に集まらない

翌1994年のRFC 1580は、Gopher、World-Wide Web、WAIS、Archie、WHOIS、X.500、Netfindなどを案内した。資源とサービスの急増に、一般利用者が追いつきにくい状況が背景にあった。

道具は役割ごとに違った。GopherとWebは複数の情報源をたどり、WAISはデータベースを検索し、Archieはファイルやプログラムの所在を探した。人やコンピューター、アドレスを探す道具もあった。ローカルクライアント、遠隔クライアント、電子メール経由の利用では、到達できる機能も残る証拠も異なる。

つながったサーバーは連続した空間を見せられる。しかし記述、保存、販売、配送を一者が担当するわけではない。分散はInternetの拡張条件であり、同時に検索結果の限界でもあった。

証拠を一段ずつ上がる

書誌レコードの発見は、ある時点で目録が項目を記述したことを示す。文書中の経路は、取得方法が提案されたことを示す。サーバー応答は、ある時刻に何かが応答したことを示す。転送完了は、バイト列を受け取ったことを示す。標題紙、版表示、ISBN、保存されたハッシュは対象同定を補強する。販売者の確認は提示条件を支える。実物の受領は配送を証明する。

「見つかった」という一語でこの階段を駆け上がることはできない。RFC 1432は全段を検査した文書ではない。それでも、情報源、アクセス表記、疑問符、未見の状態、変化する項目を残したことで、自分がどの段にいるかを読者に示した。

ネットワークは本を指し示した。書架まで所有したのではない。その控えめな境界こそ、古い一覧を現在でも信頼できる歴史資料にしている。

出典