要約

  • RFC 1346 は、共用回線の小さな利用者が求める最低保証と、ネットワーク管理者が求める利用上限を別々の要求として扱った。
  • 著者Phil Jonesは、制御道具がないために顧客が太い回線を買うかもしれないという提供者側の誘因を明記した。料金と混雑時の制御は別の仕事だった。

夜の空き容量を買うことはできない。使わなかった回線の余力は翌朝まで取っておけず、地球の裏側ではその夜が業務の最盛期かもしれない。英国Joint Network TeamのPhil Jonesは1992年6月のRFC 1346で、この時間差まで含めて共用ネットワークの取り分を問い直した。

議論は単なる通信速度の話から始まらない。Jonesによれば、利用量は使える容量を埋める方向に伸び、回線増速にも恒久的な解決の保証はなかった。ある機関の情報サービス責任者は、部署間に優先順位を付けたい。端末を使った対話的な作業をファイル転送より先に通したい。だが、機関の接続回線だけを速くしても、複数機関がぶつかる先の共用区間は広がらない。

そこで同じ一本の回線に、逆向きの条件が現れる。大きな相手に押し流されることを恐れる機関は最低取り分を求める。一方、全体を預かる管理者は一社の使い過ぎを防ぐ上限を求め、費用負担との釣り合いも考える。どちらも割合を数字で書けそうだ。しかし何を測るのか。入口回線の幅か、一定時間の実効利用か、混雑時の優先順位か。Jonesは、その測定対象自体が定まっていないと指摘した。

さらに、上位の管理者が機関を制限できるなら、機関も受け取った枠を自分の部署や利用者に配る道具が要る。上流だけがつまみを持つ仕組みでは、現場の争いを引き受ける側が解決を実行できない。契約上の枠は一段下の運用権限までつながって初めて意味を持つ。

Jonesは、別の管理者が予備経路として回線を時々借りる例も挙げた。貸し手に見返りや相互協力の余地があっても、借り手の流量を制限できなければ平時の利用者が圧迫される。余力を共有する行為そのものが危うくなる。容量不足だけでなく、容量を安全に融通する道具の不足が協力を止めた。

商売上のねじれも露骨だった。Jonesは、顧客に制御手段を渡さないほうが追加購入につながると考える提供者があり得る、と書いた。逆に、よい制御手段を売り物にする道も示した。個別の事業者がそう行動したという記録ではない。それでも増速を勧める者と、既存回線の配分手段を出す者が同じなら、顧客にはまず混雑点の数字を見せる必要がある。

料金は利用を変えるが、瞬間ごとの優先順位を決める装置ではない。RFCは送受信元アドレス、アプリケーション、優先度表示、X.25のクラスなどを候補として挙げた。回線を固定的に分割する方法には、融通の利点を失う代償がある。報告書の結論は具体的な標準の採用ではなく、何を一つの「取り分」と数え、どんな道具や調達条件を整えるべきかを調べることだった。

一本の回線について、買い手は下限を、管理者は上限を求めた。売り手が示したのが増速の見積書だけなら、配分をめぐる肝心の交渉はまだ始まっていない。

出典:RFC 1346 原文、第1~3節;RFC Editorの書誌情報。