Summary
- IPSは10月14日、公募価格を1株3,346円と決めた。払込期日は10月20日で、追加の第三者割当を含む手取金の上限見込みは45億8,109万5,500円。
- 約230億円は事業全体の概算であり、IPS自身の負担額ではない。補助事業者への選定は補助金の交付決定ではなく、パートナーの出資額も開示されていない。
価格決定は事業完了を意味しない
IPSは10月14日、公募増資の発行価格を1株3,346円と決定した。1,263,500株の募集価格総額は42億2,767万1,000円、引受人から発行会社への払込総額は40億971万7,250円となる。申込期間は10月15日から16日、払込期日は10月20日、受渡期日は10月21日とされた。さらに最大189,500株の第三者割当を予定し、申込・払込期日は11月17日、18日。払込金額ベースの上限は6億137万8,250円だ。会社が示した公募と第三者割当を合わせた手取概算額の上限は45億8,109万5,500円である。これは資金調達見込みの上限であり、既に受領した現金や全株の発行を意味しない。
資金の使途は、和歌山の国際海底ケーブル分岐支線と陸揚局だ。IPSと子会社IPS Proは10月9日、CIAJが運営する間接補助事業の対象事業者に選ばれた。ただし選定時点では補助額は決まらない。IPSは今後、交付申請を行い、交付決定通知を受ける予定としている。CIAJの一覧には、和歌山市沖合のIPS案件と市内のIPS Pro案件が載るが、個別の補助金額は示されていない。
230億円はIPSの請求額ではない
IPSの開示は、事業全体の投資規模を約230億円と見積もり、なお精査中としている。会社は、この額がプロジェクト全体の規模であり、IPS自身の負担額ではないと明記した。パートナー候補との連携、制度活用、顧客との協議を踏まえて最終負担を決めるという。公開資料からは、補助金の決定額、パートナー出資、IPSの最終負担、資金調達全体の内訳が分からない。手取金上限の45.81億円は230億円の概算の約2割に相当するが、その差を資金不足とみなすことはできない。補助対象、共同負担、工事範囲や時期によって必要資金は変わる。
同社はIPS Proが運営する中立的なオープンアクセス型陸揚局を構想し、国際通信容量、バックホール、関連ネットワークサービスの販売を収益機会として挙げる。これは計画であり、施設の完成、容量の稼働、顧客の確定契約を示すものではない。ルート、陸揚地点、設備仕様、建設日程も調整中だという。投資家や将来の利用者が見るべきなのは総事業費だけではなく、どの経路をいつ利用でき、どの条件で顧客収入につながるかである。
目先の確認点は、価格が決まった株式募集が払込みと明示的な資金計画へ進むかどうかだ。その後、補助金の正式決定、パートナーの確約、実行可能なルートと工事日程、実容量にひもづく顧客契約が問われる。今のところ最も具体的なのは発行価格であり、事業リスクの最終的な負担者は未確定だ。
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