要点

  • Puzlは、CPUとメモリーの使用量に応じたクラウド料金と、NVIDIA A100を長期予約する料金を公開している。一方の課金条件を他方に当てはめることはできない。
  • 登録番号14476114によって、Puzl Cloud OÜと旧称GPU Computing OÜを結び付けられる。ネットワークで観測できるアドレスの数は、販売可能なGPUの台数ではない。

ソフトウエアのビルドが終わったあと、次の処理を待つ時間にも同じ料金がかかるのか。Puzlのクラウドサービスが持ち出すのは、開発現場なら気になるこの問いだ。必要なときには計算資源を使い、負荷が落ちれば課金も使用量に従う。会社はそう説明している。

ところが、同じサイトのGPU料金表では、長く使う約束をするほど安くなる。使わない時間の負担を減らす商品と、将来の利用を約束して予約する商品。Puzlを理解するには、この二つを分けて読む必要がある。

ビルドの合間にも、請求の内訳は残る

Puzlのサービス案内は、GitHub ActionsやGitLab CIのジョブを実行するRunJobを紹介している。管理手段にはダッシュボード、API、Terraformを挙げる。クラウドの用途は具体的だ。コードをビルドし、テストを回し、次の処理を受け付ける。

リソース料金のページにあるSpike Instancesは、KVMベースの仮想マシンだ。説明によると、負荷に合わせてCPUとメモリーを増減し、CPUは使用したCPU秒、メモリーはGB秒で別々に計算する。永続ストレージには別の料金がある。確保した容量だけではなく、実際の消費量に着目する仕組みである。

ただし、この仕組みを知ることと、費用がいくら下がるかを知ることは別だ。同じ処理を実行して完了までの時間と使用量を測り、請求額と突き合わせなければ、節約額はわからない。料金表示にも確認点が残る。個別の単価にはユーロ記号が付く一方、全体の通貨説明には米ドルとユーロが登場する。ここで一つの金額に決め打ちして、試算を作ることはできない。

こうした留保は、サービスが存在しないという意味ではない。むしろ、具体的な商品と料金の説明があるからこそ、何を測り、どこを問い合わせるべきかが明確になる。

0.82ドルの横には「3年」がある

2026年10月24日に確認したGPUの案内では、NVIDIA A100 40GB、24 vCPU、システムメモリー128GBという構成を提示していた。6カ月の契約期間では1時間1.12米ドル、3年では0.82米ドル。単価だけを抜き出すと見えなくなるのが、両者の期間の違いだ。

GPUを継続的に必要とする用途なら、予約によって利用条件を固める意味がある。一方、必要な期間が短い、あるいは不定期なら、安い時間単価だけでは判断できない。Spike Instancesの使用量課金が、そのまま予約GPUにも適用されると考えるのは誤りである。

Puzlはこのページで、EU内のインフラ、顧客施設内への導入、プライベートクラウド、Kubernetesを備えたAIクラスターも案内している。専用NVMeストレージは追加料金だ。いずれも同社が公開している商品説明であり、この記事で在庫や設備、提供後の性能を確認したわけではない。希望する日に必要な構成が使えるかは、別途確かめる必要がある。

社名をつなぐのは、同じ登録番号

ネットワークの登録情報では、AS57063にGPU Computing OUという名前が残る。それだけを見て、会社がGPUを何台持つかを推測するのは無理がある。事業との関係を示す、もっと直接的な手掛かりがある。

エストニアの企業登録簿は、登録番号14476114の会社をPuzl Cloud OÜとし、GPU Computing OÜを旧称としている。サイトのフッターにもPuzl Cloud OÜと同じ番号がある。顧客向け契約の定義では旧称GPU Computing OÜを使っているが、番号はやはり14476114だ。買収や親会社の存在を仮定しなくても、サービスと法人を結び付けられる。

契約には、データの所在地についても重要な区別がある。顧客データの保存場所を選択できる一方、選択肢がない場合や選ばなかった場合には、Puzlが保有または利用する施設で処理・保存できるとしている。この条項ではアカウント情報を顧客データから除外している。

したがって、GPUの商品ページに「EU」とあるだけでは、サービスに関係するすべての情報の保存先まではわからない。利用するサービス、実際に選んだ場所、データの種類を合わせて確認する話になる。特定の顧客のデータが域外に移されたと示すものではない。

IPアドレスからは台数を数えられない

10月10〜24日の期間を対象としたRIPEstatの経路広告の観測には、213.5.72.0/24と2001:67c:f74::/48の二つのプレフィックスが現れた。仕様書によれば、既定の条件ではRISの10以上のピアから見える広告を対象とする。それより見えにくい広告があるかもしれず、恒久的で網羅的な一覧ではない。

もう一つ、旧稿の重要な誤りを直す必要がある。10月24日08:00 UTC時点の経路整合性の表示は、AS15830をBGPで観測された隣接ネットワークとして示した。AS15830の保有者情報はEquinix (EMEA) Acquisition Enterprises B.V.であり、旧稿が記したRIPE NCCではない。

同じ表示では、AS50794とAS200675はポリシーに記載されているものの、BGPの隣接先としては観測されていない。宣言と観測の差はネットワークを調べるきっかけにはなるが、ホスティング契約や障害、GPUの設置場所を証明しない。プレフィックスが少ないから社内専用ネットワークだ、という結論にもつながらない。

Puzlには、読める商品説明と価格、契約がある。次に知りたいのは、そこに書かれた条件でどの構成が提供され、仕事がいつ終わり、何が請求されるのかだ。GPUの実力を知るには、アドレス表よりも、その一連の結果のほうが役に立つ。

訂正・更新(2026年10月24日):旧稿はAS15830をRIPE NCCのネットワークと誤記し、Puzlが公開するサービス・料金・契約の情報を見落としていました。これらを訂正し、プレフィックス数から計算能力やホスティングを推測した記述を削除しました。元のURLと公開日は維持しています。