要約

  • 2026年9月のAPNIC執行理事会会議録は、中国のROAカバー率が上半期に2%から80%超へ上がったとする。同じPDFに添付されたQ2報告は、6月30日時点で2%から68%と記録する。
  • APNIC Labsは経路オブジェクト数と広告アドレス空間を別々に数える。会議録は80%超がどちらの指標なのか示していない。

9月6–7日のAPNIC執行理事会会議録には、中国のROAカバー率について二つの公式値がある。事務局長の活動報告は、2026年上半期に2%から80%超へ上昇したと記す。同じPDFに収録されたQ2活動報告のH1 RPKI欄は、2%から68%への上昇とし、統計日は6月30日と明記する。

一つの公開資料の中で、差は12ポイントを超える。対照的に、アフガニスタンはどちらも73%から94%へ上がったと記され、中国の出発点も一致する。80%超の横には測定日も分母もない。二つの指標を比べたのか、どちらかの値を直す必要があるのか、資料だけでは読めない。

APNIC Labsの国別データ表は、ROAカバー率を二通りに分けている。「Route Objects」はROAでカバーされた広告経路の総経路数に対する比率、「Addresses」はカバーされた広告アドレス範囲の総アドレス範囲に対する比率だ。経路の件数とアドレス空間では分母が違う。会議録は80%超がどちらの系列なのか、6月30日より後の観測値なのかを示さない。

ROAは、あるプレフィックスをどの自律システムが起源として広告できるかを記録する。APNICのRPKI解説では、経路起源検証(ROV)はBGP広告をROAと照合する別の作業として説明される。その結果をどう扱うかは、各ネットワークの運用者が決める。APNICのQ2報告も、顧客向け経路への影響を懸念する大手事業者がROV導入を遅らせていると記す。ROAカバー率の上昇は認可情報の署名に関する進捗であり、無効な経路を遮断するネットワークの数ではない。

この差は、APNICが2026年に進める導入支援の評価にも関わる。Q2報告は、研修、技術支援、会員サービス、広報、会合をIPv6・RPKIの取り組みにまとめている。活動を一つの比率で説明するなら、その日付、分母、どの状態の経路を数えたかも結果と一緒に示す必要がある。単位がないと、大きな数字がより良い結果に聞こえる一方で、何を測ったかは紙面から消える。

APNICは「80%超」の指標、観測日、分子と分母を一行公開すれば、この疑問を解ける。経路件数とアドレス空間を別々に測ったなら、二つを並べれば差の意味が分かる。同じ系列を同じ日に測ったなら、会議録の片方を訂正すべきだ。現状の会議録は二つの進展値を残すが、中国の比較可能な時系列を示していない。

出典

APNIC執行理事会会議録と添付Q2活動報告、5・139ページ · APNIC Labs、国別ROAデータ · APNIC、RPKIとリソース認証