要約
- 1992年9月、USPの稼働中のメール経路は2,400 bit/sのダイヤルアップでワイカト大学につながっていた。同じ通信で話し合われたフルIP接続案は、導入済みのサービスではなく選択肢だった。
- 1994年11月の同時代の返信は、メルボルンまでの2,400 bit/s専用回線による完全なインターネット接続を報告している。一方、ITUの2004年の回顧はAARNetとの直接接続を1993年としており、資料からは差を解消できない。
分析
フィジーの初期ネットワーク史は、「接続していたか、していなかったか」という二択では捉えにくい。特定の用途で動いていたサービスと、より広い経路としてまだ設計中だったものを分けて見る必要がある。
1992年9月以前から、USPはニュージーランドのワイカト大学と電子メールを交換していた。使われたのは2,400 bit/sのモデムである。この速度でも、メッセージをいったん蓄えてから転送する仕組みならメールを送受信できる。常時開いたインターネット経路を保つ必要はなかった。これは継続的なIP接続と同じではなく、保存された報告からはUSP以外の一般利用者にも提供されていたとは言えない。
Network Startup Resource Center(NSRC)が保存するJohn Houlkerの同時代報告には、1992年9月9日から10日にかけてのメール議論が転載されている。次の接続方式を検討する中で、9,600 bit/sのV.32モデムは安定して動かなかった。参加者は回線品質を原因の候補に挙げたが、測定による確定診断ではない。Telebitモデムは発注済みで、まだ輸送中だった。フルインターネット接続の候補には、専用線、DEC回線の共用、オーストラリア経由、ハワイとFIX-WESTを経由する衛星通信、SLIPが並んでいた。これは技術的な選択肢の記録であり、1992年にいずれかが敷設された証拠ではない。
この議論は、小さな回線を成り立たせる費用も示している。Houlkerはニュージーランドからフィジーへの電話料金を1分あたり約1米ドル、夜間はそれより安いと記した。また、フィジーとニュージーランドを結ぶアナログ回線は月約5,000米ドルで、フィジーとオーストラリア間にはすでにデジタル回線があったと述べている。これらは一通の技術メールに記された情報であり、正式な料金表やUSPの完全な購買記録ではない。豪州向けデジタル回線の存在だけで、USPが当時それをインターネット通信に使ったとは判断できない。
記録は1994年11月に変わる。NSRC保存の更新に対し、USPは「現在、完全なインターネット接続があります」と返信した。そこに記されたのは、スバからメルボルン大学のAARNet拠点までの2,400 bit/s専用線である。1995年1月に4,800 bit/sへ増速する予定ともあるが、実施を確認する記録ではない。
後年のITU事例研究は、USPが1993年にAARNet経由の直接接続を得たと記す。これに対し、1994年11月の同時代更新は「現在」と述べる。1993年が先行する試験・導入段階、1994年がその後の運用状態を指す可能性はあるが、確認できる資料はそう説明していない。ひとつの開通日にまとめず、差を残しておくべきだ。
また、USPのデジタル通信が始まったのは1992年ではない。大学の記念史は、ワイカト宛ての最初のメールを1990年7月2日としている。1992年の記録は初メールの主張ではなく、その時点の運用状況を示す。メール中継は使われており、より高速なモデムの試験は失敗し、フルIP接続はまだ準備段階だった。1994年には専用回線の稼働が記録されたが、開始年の表現には食い違いがある。
メール中継、直接のIP回線、フィジーの一般向けインターネット、地域ネットワークUSPNetは別の仕組みである。各記録をサービスの種類、両端、証拠の日付に結び付ければ、提案を稼働回線と取り違えずに済む。
出典
- John Houlker, “Getting Fiji on-line, South Pacific Internet,” 1992年9月10日:NSRC保存の同時代メール議論。
- USPの返信, “Fiji Update (11.94),” 1994年11月23日:回線状況の同時代記録。
- ITU, Bula Internet: Fiji ICT Case Study(2004):AARNet直接接続を1993年とする回顧。
- Jacqueline Leckie et al., A University for the Pacific: 50 Years of USP:1990年のメール記録を含む大学史。
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