要約
- 合意済みの枠組みは、開催国と行動アジェンダの責任を、委任された交渉主導から分けている。締約国の決定権を移すものではない。
- 誰が提案し、招集し、起草し、協議し、決定するのかを記録すれば、問題がすでに起きたと決めつけずに、この分担を検証できる。
分担はすでに文書化されている
COP31の指導体制で注目すべきなのは、著名な責任者が二人いることだけではない。異なる職務が別々の主体に割り当てられ、その線引きが比較的詳しく書かれている。
トルコ・オーストラリア協力枠組みによると、COP31の開会時にトルコの代表が議長候補として選出に付される。議長予定者はオーストラリア代表を「交渉議長」に任命し、交渉を主導する役割を委任する。枠組みは、その代表が「交渉に関して排他的な権限」を持つと記す。両国の責任者は協議し、見解が異なる場合には双方が納得するまで協議を続ける。オーストラリア代表はCOP副議長にも指名される予定だ。
これは書面上の権限配分であり、交渉の場で何が起きたかを記録したものではない。暫定議題にはCOP議長の選出、議事規則の採択、議題の採択がなお含まれる。10月6日時点で、ムラト・クルムは候補として指名されているが、会期で選出されたわけではない。クリス・ボーエンは交渉議長とされる。この違いを崩してはならない。
「議長職」は一つの権力に聞こえるが、ここでは複数の機能の束である。トルコは会議を主催し、運営・ロジスティクスを担い、COP31行動アジェンダに責任を持つ。オーストラリアの交渉議長は、交渉結果から生じたマンデートの実施を進め、年間を通じて協議を招集し、交渉に関する発信を行い、必要に応じて閣僚級などの共同進行役を選び、草案作成を含む交渉日程を主導し、交渉に関してUNFCCCと連絡する窓口となる。
行動アジェンダは別の経路だ。締約国が交渉し採択する正式決定の外側で、自主的な取り組みを動員することを目指す。枠組みはトルコに責任を割り当てつつ、オーストラリアや太平洋島嶼国との協力も定める。オーストラリアは太平洋島嶼国と連携し、太平洋でのプレCOPの議題を設定し、会合を主宰し、運営とロジスティクスを担う。こうした職務は注目、提案、政治的機運に影響し得るが、COP決定を採択する権限とは異なる。
委任は決定主権の移転ではない
「排他的」という表現は消しても誇張してもならない。枠組みにおけるこの語は、会議の交渉に関して議長予定者から委任されるオーストラリア交渉議長の権限を指す。オーストラリアが締約国に代わって決めたり、COPの手続規則を置き換えたり、締約国の合意なしに草案を決定に変えたりできるとは書かれていない。同じ文書は、議長選出や会議の正式機能をUNFCCCの議事規則に置いている。
ここには委任者と代理人の問題がある。締約国は手続を承認し、結果を交渉する。会議責任者はその手続の中で重要な職務を果たす。議長を務め、会合を招集し、文章を起草する人は、何が注目されるか、いつ進むかに影響し得る。その実務上の影響は現実だが、職務遂行と締約国を拘束する決定権は同じではない。透明な制度なら、委任された裁量と、締約国に残る決定権の両方を示すべきだ。
この区別は行動アジェンダを過大評価しないためにも必要だ。目標、推進役、誓約の場、協力枠組みは実施に役立つかもしれないが、それだけで締約国が採択した義務にはならない。枠組みは、小島嶼開発途上国の気候資金需要を扱うCOP31のセッションと、Pacific Resilience Facilityへの拠出表明の場を想定する。表明の場は関心と資源をつなげる可能性があるが、それ自体は資金拠出の約束ではない。自主的な行動も交渉上のCOP決定とは別だ。
太平洋で会合を開くことだけで、代表権の問題が解決するわけでもない。枠組みはオーストラリアと太平洋島嶼国が連携してプレCOPの議題を設定すると定める。UNFCCCは10月5~8日の会合について、太平洋の視点や行動を示す機会だと説明している。これは議題形成の有意義な回路になり得るが、出席者全員がすべての締約国を代表して交渉する権限を持つことや、地域の要望が草案に入り交渉後も残ることを証明しない。オブザーバーも同じだ。認定は規則に基づく出席を認めるが、投票権を与えるものではない。
説明責任は受け渡しを追う
設計の試金石は、役割の受け渡しだ。過去の決定から生じたマンデートを進める際、読者は出所と担当者を確認できるか。協議を開く際、締約国は参加した機関と未決の論点を知ることができるか。草案が出た際、進行役と手続上の位置付けは明らかか。交渉の提案が自主的な行動に移る時、締約国の権限がどこで終わるかは示されるか。
協力枠組みはすでに骨格を与えている。役割を名指しし、機能を列挙し、二人の責任者の協議を定めた。公開の権限図があれば、それを実用にできる。締約国の正式手続、議長の手続職務、委任された交渉主導、開催国の運営と行動アジェンダ、プレCOPと太平洋との協力を分けて示す。複数の経路にまたがる取り組みには、根拠となるマンデート、提案者、招集者、起草者、協議した締約国、決定権者、未決事項を短く記録できる。
これは非公開の交渉姿勢を公表したり、非公式外交を暴露したりする提案ではない。公開の手続事実と、非公開の駆け引きを分けるためのものだ。また、協議を同意と見なしてはならない。二人の責任者が協議し相違を解決するという約束は両者の関係を規律する。交渉成果についての締約国の権限は別問題である。
開催国協定は9月18日に発効し、公式プレCOPは10月5~8日に行われている。いずれも準備の進展を示すが、COP31交渉の実績を示す証拠ではない。会議は11月9~20日にアンタルヤで予定される。暫定議題では議長選出と会議運営が予定されている。それらが行われる前に、就任予定の取り決めを選出済みの事実としたり、発表済みの取り組みを会議成果としたりすべきではない。
予言ではなく、公正な検証を
会議前の段階で、この分担方式を混乱、支配、成功、包摂性向上のいずれかと断定する根拠はない。役割を専門化することで責任を明確にできるかもしれない一方、受け渡しが暗黙のままなら説明責任が難しくなる可能性もある。これらは記録に照らして検証すべき仮説であり、先取りした結論ではない。
問うべきなのは、二つの議長職が本質的に良いか悪いかではない。協議から草案へ、草案から締約国の決定へ、正式交渉から自主的な行動へ移る間、権限を追跡できるかどうかだ。権限図は気候政策の対立を解消しない。しかし、誰がどの文書に基づいて何を行う権限を持ち、最後に誰が決めるのかを示せる。
COP31の責任者は分業を文書化した。会議ではその境界も実務上見えるようにする必要がある。参加には意味を持たせつつ、授権と取り違えないこと。委任された仕事は機能させつつ、見えない主権に変えないことだ。
会員向け解説
プロフィールの詳細
適切な会員レベルでログインすると、解説全文と出典メモをご覧いただけます。
Strategic Circle 限定
Strategic Circle
すべての読者に公開されています。参加してログインすると プロフィール解説 を閲覧できます。
Strategic Circle に参加Leadership Alliance 会員限定
Leadership Alliance
対象となる IP 資産の所有者・管理者向けです。ログインすると Leadership Alliance の解説を閲覧できます。
Leadership Alliance に参加
