Summary
- EUとカナダは2026年10月30日、モントリオールでデジタル貿易協定の交渉が政治的にまとまったと発表した。カナダ政府の現行表示も「交渉終結」だ。
- 欧州委員会の文書ページには4月から9月までの5回の交渉報告とEU側の条文提案が並ぶ。双方が合意した最終条文は掲載されていない。
- 欧州委員会は法的な文言整理とEU諸言語への翻訳を経て、理事会と欧州議会への提案に進むとしている。正式署名と締結はその後の手続だ。
首脳会合で終わったのは交渉であって、条文を読む作業ではない。欧州委員会が10月30日に発表した政治的な合意を、カナダの翌日の閣僚会談記録も確認した。カナダ政府の協定ページは現在の状態を「交渉終結」と記す。事業者が今すぐ適用できる新しい法規則という表示ではない。
欧州委員会が挙げる対象は、信頼できる国境を越えたデータ流通、電子契約、電子署名、電子請求書、迷惑な商業メッセージや欺く取引への対処だ。しかし協定専用の公開文書ページにあるのは、4月から9月の5回の交渉報告とEUの条文提案。共同で確定した文面はそこにない。提案書から相手側が最終的に飲んだ条件を逆算することはできない。
カナダ側の説明は、守りたい権限を列挙する。プライバシー、公的部門のデータ、政府調達、文化、サイバーセキュリティー、金融規制、国家安全保障。越境移転の原則にどこまで例外を置くかで、約束の重さは変わる。見出しが同じでも、例外の範囲が違えば企業の実務は別物だ。
交渉前に国内で意見が割れていたことも公表済みだ。カナダの2025年の意見募集には45件の書面が集まり、業界団体が18件、市民団体が9件だった。政府の要約は、機微データの国内保存、プラットフォーム規制、文化政策、デジタルサービス税を争点として記録する。これは交渉に持ち込まれた要求であり、採用条項の一覧ではない。
欧州委員会が示した次の順番は、法的な文言整理、EU諸言語への翻訳、理事会と欧州議会への提案だ。カナダにも署名・締結の国内手続がある。公開された共同条文と各機関の決定記録がそろえば、モントリオールの発表を実際の義務に照らして検証できる。
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