要約
- 英国CMAは10月16日、五つのデジタル活動から成る「Business Software Ecosystem」について、MicrosoftをStrategic Market Status(SMS)を有する企業に指定する案を公表した。
- 焦点は、五つの活動を特定の目的に向けて組み合わせられるかという法的テストだ。協議は続いており、最終指定と介入策は別の判断になる。
今回のMicrosoft案件で重要なのは、製品ブランドの一覧ではなく、規制対象となる「活動」の境界だ。英国のCompetition and Markets Authority(CMA)は10月16日、五つのデジタル活動から成る「Business Software Ecosystem」について、MicrosoftをStrategic Market Status(SMS)に指定する案を示した。まだ暫定判断であり、協議ではこの括り方と、指定に必要な他の法的条件が検証される。
対象の五つは、PC向けOS、生産性ソフトウェア・スイート、セキュリティソフトウェア、サーバーOS、リレーショナル・データベース管理システムだ。CMAはMicrosoftの全製品を一括りにしているのではない。範囲を定めた五つの活動について、なぜ組み合わせて評価できると考えるのかを説明している。
法律が問うのは組み合わせと目的
英国のDigital Markets, Competition and Consumers Act 2024第3条3項(b)は、同じ事業者が行う二つ以上の活動を、特定の目的を果たすために組み合わせて実施できる場合、一つのデジタル活動として扱うことを認める。これは評価対象を定める規定だ。条件を満たせば関連する活動を一体で調べられるが、その企業の全製品が自動的に対象へ入るわけではない。
CMAが示す目的は、組織が利用者、端末、計算資源、アプリケーション、データを管理・保護し、利用者が業務情報にアクセスし、作成、記録、共有、管理できる統合的なソフトウェア環境だ。提案書の4.162〜4.181節では、Microsoftが五つの活動をどう提供し、組織顧客がどう利用するかを検討したと説明する。証拠には、製品統合に関するMicrosoftの説明、複数製品の購入経路、技術的な連携、顧客側のIT環境、競合他社の存在が含まれる。
この定義は後続の評価対象を左右する。括り方が維持されれば、組織のIT環境で五つの活動が補完し合うかを調べられる。範囲が狭まれば、SMSの条件を評価する活動と関連証拠も変わる。CMAの暫定的な見方では、特定の目的は一つの作業や製品ではなく、組み合わされた業務ソフトウェア環境にある。
すべての顧客が一式を使う必要はない
CMAは、すべての顧客が常に五つの活動を一緒に使う必要はないと明記した。組織によって組み合わせは異なり、Microsoft製品と第三者の製品を併用する場合もある。製品同士のつながりの程度にも差がある。法律上の問いは、すべての顧客が標準セットを購入するかではなく、活動を定めた目的に向けて組み合わせられるかだ。
提案書はまた、括った活動の範囲が構成要素の合計を超えるものではないとしている。個々の活動やその中の全製品が、単独で同じ目的を果たすという認定ではない。統合の証拠は横断的な評価を支え得るが、五つの区分を消す根拠にはならず、Microsoftの全製品が対象だと示すものでもない。
指定への入口であり、介入策ではない
活動の括り方は法定手続きの一部にすぎない。同法第2条は、英国との結び付きに加え、実質的かつ持続的な市場支配力と戦略的重要性など、SMSの条件を求める。CMAはこれらについても暫定判断を示した。協議では、活動の境界、証拠、指定案そのものに異論を述べられる。
協議は2026年11月13日午後5時に締め切られる。CMAは2027年2月13日の法定期限までに最終判断を下すとしている。それまでは最終指定ではない。仮に指定されても、SMSは英国のデジタル市場制度に入るための条件であり、違法行為の認定でもMicrosoftの行動を直ちに変える命令でもない。
同時に公表されたロードマップも、段階の違いを示す。そこでは隣接活動としてのクラウドサービスや、生産性ソフトウェア内のCopilot/AI機能、Teams、セキュリティソフトウェアについて、追加の証拠収集を予定している。CMAは、ロードマップは介入の根拠を示すものでも、介入を提案・実施すべきだとの結論でもないと説明した。行為要件や競争促進措置には、後の法定手続きと個別の証拠が必要だ。したがって、今後調べるクラウドサービスを五つの活動に加えて読むべきではない。
今回の協議が問うのは、範囲が限られている一方で重要な点だ。五つの活動をCMAの定めた目的のために組み合わせられるという証拠は十分か。答えが最終的なSMS判断の枠を定めるが、それだけでMicrosoftに何を求めるかが決まるわけではない。
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