要約
- European Commissionは10月1日、デジタルサービス法(DSA)違反手続きINFR(2024)2241でブルガリアに追加の正式通知を送り、二つの国内機関の権限と制裁規則に不備があると主張した。
- Communications Regulation Commission(CRC)は三機関による国内分担を説明する。DSA第49条は一つ以上の所管当局を認めており、争点は機関数ではなく、それぞれの権限と連携が規則に適合するかどうかだ。
今回の手続きはブルガリア政府のEU法上の義務をめぐるもので、オンラインプラットフォームの違反認定ではない。European Commissionは10月1日の通知で、ブルガリアがCommission for Personal Data Protection(CPDP)とCouncil for Electronic Media(CEM)をDSA上の任務に必要な形で指定・権限付与していないと主張した。さらに、国内の制裁制度についても、罰金の上限や、自然人と法人を異なる扱いにする点を含めて異議を示した。いずれも委員会の主張であり、裁判所の判断ではない。通知はブルガリアに2か月の回答期間を設け、回答が不十分であれば追加の理由付き意見を出す可能性がある。
手続きはこれまでにも段階を踏んでいる。European Commissionは2024年12月に正式通知を送り、手続きを開始した。2025年5月には理由付き意見を送付。その後ブルガリアは電子通信法を改正し、国民議会が2025年11月6日に採択、官報は同月21日に公布した。委員会は、この法律がデジタルサービス調整者として機能する一機関に権限を付与したことを認める一方、残る問題は解消されていないとする。官報掲載の改正法には国内の権限配分が記されている。2025年5月の理由付き意見がその前段階を示す。
ブルガリアの規制当局は、より整った分担を公表している。CRCは自らを同国のデジタルサービス調整者とし、CRC、CEM、CPDPを所管当局として挙げる。CRCは仲介サービス提供者を監督し、CEMは動画共有プラットフォームを担当し、CPDPはDSAとGDPRに基づく個人データ処理を監督すると説明する。また、三機関の連携条件は共同指示で定めるとしている。これは規制当局が現行制度をどう説明しているかを示すものであり、European Commissionが各機関の指定や権限を法的に十分と認めたことを意味しない。CRCの権限説明にその説明がある。
DSAは各国の制度設計に幅を残している。第49条は加盟国に一つ以上の所管当局を指定するよう求め、そのうち一つをデジタルサービス調整者とする。特定の任務や分野を別の当局に割り当てることもでき、調整者は国内の連携を担う。第52条は制裁規則の制定を求め、制裁は実効的、比例的かつ抑止的でなければならないとし、罰金の上限も定める。どちらの条文も三機関の設置を義務づけていない。焦点は、国内法が各機関に任務相応の権限を与え、監督の空白を生まない連携を設けたかどうかだ。DSA本文に該当条文がある。
この対立は、行政モデルの違いだけでは片づかない。CRCは任務が割り当てられたと説明し、委員会は一部機関の指定・権限付与と制裁制度に不足が残ると主張する。公開情報だけでは法的な食い違いは解消されておらず、委員会はこの件をEU司法裁判所に付託していない。European Commissionの各国調整者の進捗ページにも10月の追加通知が掲載されているが、法的な争いを裁定するものではない。公表された次の段階は、ブルガリアの回答が不十分な場合の追加の理由付き意見だ。結論を左右するのは制度の名称ではなく、法文の細部と、各機関が事業者を監督し、一貫した制裁を適用できるかどうかとなる。
会員向け解説
プロフィールの詳細
適切な会員レベルでログインすると、解説全文と出典メモをご覧いただけます。
Strategic Circle 限定
Strategic Circle
すべての読者に公開されています。参加してログインすると プロフィール解説 を閲覧できます。
Strategic Circle に参加Leadership Alliance 会員限定
Leadership Alliance
対象となる IP 資産の所有者・管理者向けです。ログインすると Leadership Alliance の解説を閲覧できます。
Leadership Alliance に参加

