要約

  • Benchmarkの第3四半期売上高は約8億1,100万ドルと19%増えたが、フリーキャッシュフローは1,443万5,000ドルで前年同期の2,511万4,000ドルを下回った。
  • 資金循環日数は77日から54日に短縮。売上債権、契約資産、在庫の合計日数は前年と同じ151日で、仕入債務日数が56日から82日に伸びた。
  • 高性能計算の案件獲得で先端計算・通信部門は50%増収。全社の9カ月営業キャッシュフローでは、仕入債務の増加が2億6,048万5,000ドルの資金源になった。

最高の売上高と、最高の現金収支は、別々の日にやって来る。

Benchmarkが10月28日に公表した第3四半期は、その差をよく見せている。売上高は約8億1,100万ドル、前年同期比19%増。ところが設備とソフトウエアへの支出を差し引いたフリーキャッシュフローは、1,443万5,000ドルだった。前年同期の2,511万4,000ドルより少ない。

9カ月累計ならフリーキャッシュフローは増えている。この二つを両方残して読むと、製造業の成長に必要な資金が見えてくる。製品の出荷だけでなく、部品を買う時点、代金を受け取る時点、仕入先へ払う時点が、現金の着地点を決める。

データセンター案件が入ってくる入口

同日提出の四半期報告書によると、先端計算・通信部門の売上高は1億3,250万ドルで、前年同期の8,820万ドルから50%増えた。9カ月累計では3億6,470万ドル、54%増である。会社は主因として高性能計算市場での案件獲得を挙げ、データセンターインフラへの投資継続がそれを支えたと説明している。

Benchmarkの仕事には、プリント基板実装、システム統合、精密加工、試験や出荷対応が含まれる。計算設備の投資計画は、こうした製造工程で部品と製品に変わる。同社は同時に医療、産業機器、航空・防衛、半導体製造装置の顧客にも供給する。以下の現金と資金循環の数字は、その全社分だ。

当四半期のGAAP営業利益は3,069万9,000ドル、利益率3.8%。調整後では4,470万9,000ドル、5.5%だった。増産用の部品や顧客への請求には資金が滞留する。現金の増加を決めるのは、その資金が製造と決済を通過する速さだ。そこで重要になるのが、業績資料にある54日という数字である。

151日から何を引いたのか

決算発表の資金循環表は、資産側と支払い側を五つに分けている。

第3四半期の売上債権日数は48日、契約資産は25日、在庫は78日。合わせて151日になる。前年同期はそれぞれ50日、26日、75日で、合計はやはり151日だった。債権と契約資産が計3日縮み、在庫が3日伸びている。

差がついたのは差し引く項目だ。仕入債務の日数は56日から82日に増加。顧客からの前受金は18日から15日に減った。前年は151日から74日を引いて77日、今回は151日から97日を引いて54日。短くなった23日は、この開示された内訳では営業上の資金調達側の変化で説明できる。

前四半期との比較でも、在庫日数は72日から78日に増えた。資産側の合計は149日から151日へ増加したが、仕入債務と前受金の控除が90日から97日に拡大し、正味の日数は59日から54日に縮んだ。

仕入債務82日という指標に対応する個別契約の支払条件と債務の経過期間は開示されていない。それでも、資金循環の改善を倉庫の回転が速くなった話として片づけるには、数字があまりに正直だ。在庫は長くとどまり、仕入債務の控除が大きくなった。

部品の資金は、どの帳簿にいるか

9カ月のキャッシュフロー計算書では、仕入債務の増加が2億6,048万5,000ドルの資金源になっている。顧客前受金の増加は817万6,000ドル。反対側では、在庫が1億5,225万8,000ドル、売上債権が4,600万4,000ドル、契約資産が3,867万8,000ドルを吸収した。この三つの資金使用は合計2億3,694万ドルに達する。

Benchmarkは通常、顧客の注文か需要予測を受けてから部品を購入するという。需要を見込んで製造を準備するには合理的な手順だ。ただ、需要予測で買った部品も、注文に対応する部品も、納入されれば在庫の一部になる。顧客が後で現金を払うまで、その調達費を誰かが負担する。

会社は一部の契約で顧客に在庫代金の前払いを求める。契約の運転資金需要を満たし、先行調達の在庫リスクを軽くするためだ。仕入先への未決済債務と顧客の前払いは、製造会社の資金需要を両側から支える。しかし今回、前受金の控除日数は小さくなり、仕入債務の控除日数は大きくなった。両者を一つの「運転資金効率」にまとめると、負担の移動が消えてしまう。

契約資産も現金化の途中にある。会社が収益を計上しても請求書を出していない段階では契約資産を記録し、支払請求権が無条件になると売上債権へ振り替える。9月末の契約資産は2億2,154万8,000ドル。売上高が計上された後にも、請求と入金までの時間が残っている。

累計の改善と四半期の余力

全社の9カ月営業キャッシュフローは1億1,161万5,000ドルだった。前年同期は6,528万8,000ドル。そこから設備・ソフトウエア投資4,666万9,000ドルを引くと、フリーキャッシュフローは6,494万6,000ドルとなる。前年の3,733万4,000ドルを上回る。

一方、当四半期は営業キャッシュフロー2,991万2,000ドルに対し、設備・ソフトウエア投資が1,547万7,000ドル。残りは1,443万5,000ドルだった。増収が続くなかで、今期最後の3カ月に自由に残る現金の幅は狭くなった。

さらに、9カ月の財務キャッシュフローは9,480万8,000ドルの流出だ。借入と元本返済、配当、自社株買いなどが含まれる。投資と為替変動を合わせ、制限付き資金を含む現金は3億2,240万ドルから2億9,065万6,000ドルへ減った。

新しい計算設備の案件は、Benchmarkに売上をもたらす。その案件を進める部品は78日分の在庫に、取引先への支払いは82日分の仕入債務に表れている。54日という正味の速さは、この二つの大きな時計の差でもある。