要約

  • W3Cは2026年9月17日、出版維持WGの次期憲章案について水平レビューを開始した。公開記録が示すのは憲章の精緻化であり、AC Reviewや採択ではない。
  • 現行憲章は2027年2月5日まで権限の根拠である。次期案にはEPUB 3.5系、独立したEPUB Annotations、条件付きのISO/PAS構想が入るが、日付は仮置きで技術的な結論も残る。
  • 現行権限、固定した草案、各レビューの処理、後のAC ReviewとW3C Decision、参加者の再加入、承継する成果物を結ぶ「憲章引継ぎ受領書」が必要だ。

戦略課題573は、既存WGの再憲章化について「水平レビューを依頼済み」と記録し、精緻化の終了見込みを2026年12月としている。セキュリティー担当は後に阻害要因なしと回答した。ここから分かるのは一分野の確認が進んだことまでで、Advisory Committeeが審査を始めたことでも、新憲章が採択されたことでもない。

W3C Processは、その境界を明確にする。憲章はまずrefinementを経て、その後にAC ReviewとW3C Decisionによるapprovalへ進む。AC ReviewはTeamのCall for Reviewで初めて始まり、少なくとも28日間必要だ。決定は採択だけでなく、再検討への差し戻しや却下もあり得る。Call for Participationは採択後の手続きである。

したがって、アクセシビリティー、国際化、プライバシー、セキュリティー、TAGの依頼は、会員審査に先立つ個別の統制だ。調査時点で前四者のうちセキュリティー以外とTAGは公開コメントなしで未解決だった。セキュリティー課題の終了は重要だが、「全レビュー通過」には変換できない。公開欄の沈黙から、非公開の懸念や将来のFormal Objectionが存在しないとも判断できない。

現行憲章と次期案は別の状態にある

現行憲章は2025年2月11日に始まり、2027年2月5日に終了する。現在のEPUB関連作業はこの委任の下で進む。後継案が公開されても、現行権限は自動的に移らない。

次期案はcommit 464cd138で固定して読む必要がある。ページにはDraftとあり、開始日と終了日はプレースホルダーのままだ。T+2やT+18という記載も、将来の開始時点から数える計画値で、暦上の約束ではない。

差分では、EPUB 3.5、Reading Systems 3.5、Accessibility 1.3が将来の作業として明示され、EPUB Annotations 1.0が独立したRecommendation-trackに置かれる。一方、草案はEPUB 3.5の原案がまだ存在せず、機能一覧と詳細度を後に決めるとも述べる。これは目標の提示であり、完成の証明ではない。

公式履歴では、EPUB 3.4、Reading Systems 3.4、Accessibility 1.2はCandidate Recommendation段階にあり、Annotations 1.0はWorking Draftである。二つの独立実装、公開テスト、EPUBCheck対応は次期案の成功条件であって、達成済みの事実ではない。

ISO/PASも条件付きだ。草案はISO/IEC JTC 1/SC 34との関係を使う可能性を述べるが、3.4か将来の3.5かは時期に左右され、AC投票開始時に記述を更新する必要があるという。提出や承認が済んだとは読めない。

リソースも将来の想定である。草案は、実装者や編集・テストの責任者を含む少なくとも六人の活発な参加者、議長・編集者・テスト責任者が週に約半日、毎週の会合、W3C職員0.20 FTEを見込む。これは運営条件を示すが、将来の体制が確保済みとも、出席が同意を意味するとも証明しない。戦略記録のknown concernはn/aだが、後のAC Reviewと異議記録の代わりにはならない。

引継ぎを一枚の受領書にする

現在は、現行憲章、変化する草案、差分、戦略課題、五つのレビューを巡らなければ権限の状態が分からない。これを版管理された受領書にまとめられる。

最初に、現行憲章のURL、期間、成果物、承継対象を固定する。次に、後継案のcommit hash、実質的な追加、仮日付と相対日程を記録する。水平レビューは分野ごとに一行を使い、状態、公開回答、未解決事項を混ぜない。セキュリティーの終了はセキュリティーだけの処理として残す。

AC Reviewの欄は正式なCall for Reviewまで空欄にする。開始後は対象hash、28日以上の期間、意見経路、Formal Objectionの処理を載せる。さらにW3C Decision、変更点、Call for Participation、代表者やInvited Expertの再指定、Patent Policyへの新しいコミットメントを記録する。

この構造なら、レビュー担当はリスクを評価し、Advisory Committeeは審査し、Teamは決定し、各組織と専門家は加入し、WGは与えられた範囲で作業するという役割が崩れない。Heng Luのマルチステークホルダーの蜃気楼という論考は、参加が証拠や異論を生んでも、それだけで最終的な委任にはならないという編集上の視点を与える。

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