要約

  • 解散時に会社が所有している現金、財産、権利は、法律によりbona vacantiaとしてCrownに帰属する。会社の銀行口座は凍結され、入金も受けられなくなる。
  • 自主的な抹消を申請した会社は行政上の復元手続きを利用できない。裁判所を通じた復元と、復元せずに求めるDG2の裁量給付は条件が異なる。
  • DG2の公式計算例は2,300ポンドから300ポンドを引き、残りの5%をさらに控除して1,900ポンド。旧株主の申請には、全員の参加、既存債権者がいないこと、今後会社を復元しない約束も必要になる。

最後の段ボールに入らないもの

小さな技術コンサルティング会社の経営者が引退するとしよう。顧客の引き継ぎは終わり、事務所の机もほぼ空だ。段ボールには照明器具と鉢植え。会社の口座に少し残っているが、株式は自分が持ち、送金も自分が指示してきた。後で受け取ればいい、とCompanies Houseへの抹消申請を先に済ませる。

これは架空の会社を使った場面である。所在地はイングランドの通常のBona Vacantia Division(BVD)の管轄内とし、Lancaster、Cornwall両公爵領の特別な扱いは除く。最後の登記住所や資産所在地によって担当が変わり、スコットランド、北アイルランドには別の当局がある。英国全体に同じ窓口があるわけではない。

社長が持っているのは株式で、預金を持っているのは会社だ。仕事をしている間は、同じ人が同じ画面を操作するので区別が見えにくい。解散した瞬間、その区別だけが妙にはっきりする。

Companies Houseの説明では、会社が解散すると銀行口座は凍結され、支払いを受けることもできなくなる。会社に残る現金、財産、権利は法の効果でCrownに移る。ここでいうCrownは法的な帰属主体であり、国王個人の財布を指す話ではない。

申請を送った時点と、解散が成立する時点は別だ。会社がまだ存在しているうちなら、残務を終える余地がある。存在を終わらせた後で「私の会社だった」と言っても、それだけでは銀行から残高を取り出せない。

残高ゼロという、狭すぎる安心

公式の申請案内は、先に資産を処理するよう求めている。例には銀行口座だけでなくドメイン名もある。BVC1の案内には知的財産、契約上の利益、会社が受け取る抵当権付き債権も載る。最後の資産は倉庫の奥ではなく、古い契約書の一文に残っているかもしれない。

技術会社なら、家具の売却だけで片づいた気になりやすい。ところがソフトウエアの権利や未収金、ドメインの名義は、事務所の広さとは関係がない。口座の残高をゼロにした画像は、その口座の数字を示すだけだ。会社の権利を全部調べた証明にはならない。

税金の還付も順番を要する。現行のCompanies Houseの案内によると、HMRCは解散済みの会社に対する還付を処理したり、支給したりできない。請求と受領を解散前に済ませる必要がある。受取人を先に消しておいて、送金側が元社長を探してくれるとは期待できない。

他人のためにtrusteeとして保有する財産は、会社自身の財産とは別である。したがって「会社にあったもの」を一括りにすれば済むわけでもない。誰が使っているかではなく、誰がどの根拠で持っているかを確かめる作業になる。引っ越し業者の持ち物リストより、少し厄介な最後の棚卸しだ。

最初の公告は終了通知ではない

自主的な抹消には、通常は取締役の過半数の同意が要る。二人なら両方、一人ならその一人が申請する。直前の三カ月に営業を続けたり、名称を変更したり、通常の商売として在庫を売ったりしていないことなどが条件になる。債務の清算や法的義務の履行といった、事業を終えるための行為は認められている。

申請の写しは、規定される株主、債権者、従業員などに七日以内に送る。その後に対象となった人にも通知義務が続く。宛先から漏れた債権者への債務が、株主に配ってよいお金に変わることはない。支払不能の処理を抹消申請で代用することもできない。

通常の自主的抹消ではGazetteに最初の公告が出て、延期する理由がなければ少なくとも二カ月後に解散し、二度目の公告で知らせる。申請からきっかり二カ月で完了する予約ではない。気が変わったり、条件を満たさなくなったりした場合は、申請を直ちに取り下げる必要がある。

社長にとって最初の公告は、やっと解放される合図に見える。それでも、残る入金の権利と支払い義務を確認する時間に使うほうがいい。今日の面倒を少し省くために、明日の復元申請を買う必要はない。

お金の持ち主を復元する

自主的に抹消した会社には、行政上の復元という入口はない。そちらは登記官による一定の抹消を対象に、申請者や未提出書類、罰金などの条件を設けた制度だ。自ら抹消を求めた会社を戻すなら、裁判所の手続きを検討することになる。

裁判所への復元申請は、一般に解散後六年以内に行える。公式案内は、銀行の資金や財産を取り戻すことだけが目的である場合も、その理由を説明できるとしている。イングランドとウェールズでは、裁判所の命令が登記官に届けられて復元が成立する。同じ名前の新会社を設立しても、古い口座の持ち主にはなれない。

復元された会社は、解散せずに存続していたものとして扱われる。ただしCrownが資産を既に売却していれば、原物ではなく売却代金から処理費用を引いた額の回収になる場合がある。法人を戻すことと、途中の出来事を全て巻き戻すことは同じではない。

裁判や財産処理、登記官に関係する費用を求められる可能性もある。従前の遅延罰金や書類提出費用が残ることもある。解散中に期限が来た決算書類すべてに自動で遅延罰金が生じるわけではないが、復元を無料の初期化として計算することもできない。

会社を復元し、銀行などの保有者が現金をBVDへ渡していれば、RA15による返還申請の出番になる。この申請自体は手数料や控除がない。会社を戻すまでの費用まで無料になるわけではない。最大二十営業日という案内の処理期間も、正確で完全な申請を受けた時からだ。裁判所に最初の相談をした日から数えるものではない。

復元の証明と受取口座の資料などが必要で、第三者口座への支払いには所定の支払権限の証明や本人確認資料が伴う。個人口座で受け取れる場合でも、根拠は適切な権限付与だ。元社長という肩書だけで送金される仕組みではない。

1,900ポンドと、閉じる選択肢

小額ならDG2という裁量給付の道もある。案内では解散から六年未満で、まだ復元できる会社が対象となる。上限は3,000ポンド、会社ごとに一度だけ。申請者に当然の受給権があるわけではなく、BVDが既に資金を受け取っている必要もある。

通常の営利会社の旧株主が使う場合、全株主の申請、既存債権者がいないこと、将来会社を復元しない約束が必要だ。小額だからといって、単なる忘れ物窓口ではない。

政府自身の計算例では、2,300ポンドから行政手数料300ポンドを引く。残る2,000ポンドは750ポンドを超えるため、さらに5%の留保手数料100ポンドを引く。受取額は1,900ポンドになる。実在企業の損失例を取材した数字ではない。BVDが持つ残高が300ポンド以下なら給付は出ない。

400ポンドの差は見やすい。見にくいのは、復元しないという約束の価値だ。古い契約に有望な権利が後で見つかったらどうなるか。会社の残余資産を知らないまま小額の回収方法を決めると、目先の手間を省いて将来の選択を手放しかねない。

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