要約
- 2025年末時点のITU退職後医療保険の数理債務はCHF 378.824 million、専用資産はCHF 15 millionで、カバー率は約4%。
- 現行措置は2年ごとのCHF 1 million拠出と、2026年1月1日以降の新規採用者に限る基本給5.35%相当の拠出。
- 報告がPP-26に求めるのは「留意」。報告内の長期目標や年額試算は、まだ採択されていない。
減ったのは債務評価で、資金計画ではない
まず、数字が動いた理由を分けて読む必要がある。数理債務は2024年末のCHF 415.835 millionから、2025年末にCHF 378.824 millionへ下がった。報告が主因として挙げたのは資金拠出ではない。割引率が1.40%から1.80%へ上がり、医療費インフレ率の仮定が2.40%から2.20%へ下がったためだ。
これは将来の給付を現在価値に直す前提が変わったということだ。専用資産が差額分だけ増えたわけではない。CHF 378.824 millionは過去に獲得された将来の医療給付に対する数理上の債務で、直ちに全額支払う請求書ではない。報告は現在の給付支払いを賄えるとしている。専用資産はCHF 15 million、報告上のカバー率は約4%にとどまる。日々の支払い能力と長期債務の積立率は、別の問いに答える。
その区別を置いたうえで、会議に何が求められているかを見る。ITU文書72-Eの「要請される措置」は、PP-26が報告に留意すること。数値は詳細だが、この項目だけなら目標、負担割合、達成期限を決める決議ではない。
拠出ルールは新規採用者から始まる
現行措置には、2年ごとにCHF 1 millionを拠出する枠と、2026年1月1日から新規採用者に適用する仕組みがある。後者は基本給の5.35%に相当する。対象を「新たに採用された職員」と区切っているため、全職員への一律拠出とは異なる。
このルールは採用年度ごとのグループをつくる。負債は長い期間の給付を含む一方、明示された給与拠出は新しい採用から積み上がる。報告書は、PP-26の時点で何人がこの制度の対象となり、いくら納付したかを示していない。人数と受入額を日付付きで開示すれば、新制度が実際にどの程度の規模で始まったか分かる。
報告は、現行措置だけでは合理的な期間内に負債を大幅に縮小する包括的な長期戦略にならないと述べる。そのうえで、15年後に25%、30年後に50%、45年後に75%をカバーする例を示した。30年償却の試算は年間CHF 5–10 million、給与総額の4–7%に当たる。期間を短くすれば毎年の負担は大きくなる。いずれも比較用のシナリオで、会議が決めた数字ではない。
余剰が出たら、という条件
2028–2031年の財務計画案にある決定案5は、予算余剰が生じた場合、ITU Councilに退職後医療保険基金への適切な配分を優先するよう求める。だが、年間拠出額も、到達するカバー率も、期限も示していない。余剰という条件と「適切」という幅のある表現が、実際の額を先送りする。
Russian Federationの別の提案は、定量的な資金戦略、影響評価、工程表を求める。給付債務が発生するにつれて積み立てる方式を示し、スタッフ費用の1%を選択肢の一つとして挙げた。これは提案であって、ITUが採択した政策ではない。スタッフ費用を基準にした1%は、新規採用者の基本給を基準にした5.35%と分母も対象者も異なる。
文書72-Eが示すのは大きな債務と小さな専用資産、そして複数の資金案だ。会議は目標、期限、対象者、報告義務を決めることも、現行措置を維持することもできる。違いは、将来の予算がその都度配分を決めるのか、会議が測れる経路を先に設定するのかにある。
PP-26は2026年11月9日から27日までドーハで開かれる。後日比較できる約束を置くなら、毎年の拠出額、対象となる給与基準、実績の報告先、見直しの期限が要る。記録に留意するだけでは、記録された数字が次の予算を動かす仕組みにはならない。
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