要約
- ARIN理事会が採択した2026~2028年の戦略方針には、登録顧客の95%を登録サービス契約(RSA)の対象にする目標がある。
- ARIN 58のデータ精度報告は、契約対象の資源と対象外の資源を併せ持つ1,135組織を数えている。95%の現時点の分子・分母と、この組織群の扱いは公表されていない。
「95%」は会議室では扱いやすい数字だ。ところが、会議室の外にある登録簿は二色に塗り分けられない。ARINの戦略方針は、古くからの資源保有者をめぐる課題の解決と、登録顧客の95%をRSAの下に置くことを同じ項目に記した。ARIN 58の理事会報告もその目標を繰り返し、意味のある業績指標を整えると説明した。しかし、今どこまで来たのかを示す計算式は載っていない。
データ精度の発表資料には、算定方法を決めるべき理由がはっきり出ている。連絡・確認の対象は10,218組織。そのうち9,083は既存の契約関係がない。残る1,135は混在組織で、同じ組織の資源の一部は契約済み、一部は未契約だ。RSAが一つでもあれば「契約済み顧客」とするなら、この1,135は達成側に入る。全資源の契約を条件にすれば、まだ作業中だ。どちらも顧客を数えているように見えるが、登録簿の完成度はまるで違う。
さらに、利用者の連絡先が全くない組織記録が2,660件ある。メール、電話、住所のいずれもないという分類だ。まず相手を特定する必要がある。これらを95%の分母に含めるのか、別の未確認群に置くのか、保有者の確認後に初めて顧客とするのか。公表資料は答えていない。分母の位置を変えるだけで進捗率が上がる仕組みでは、記録の正確さを測れない。
別の統計を代用することもできない。2026年第3四半期に契約外だった空間は/24換算で372,877、旧来のCIDRブロックは16,212。契約外の空間は2024年第1四半期から81%減った。2025年第4四半期には2,768プレフィックス、/24換算128万が一挙に契約対象となった。これは実際の成果だ。ただし、住所空間の減少と顧客数の増減は同じ物差しではない。大規模保有者一社の動きは空間のグラフを大きく変え、小規模保有者が多数動けば顧客数のグラフを変える。
サービスにも境界がある。ARINの旧来資源に関する案内では、未契約の保有者も登録情報、逆引きDNS、DNSSECを扱える。一方、RPKIと認証付きIRRには契約が要る。混在組織の契約欄に丸を一つ付けても、どの資源がそのサービスを使えるかは分からない。
理事会が示すべきものは簡潔でよい。対象となる組織の定義、完全に契約された組織数、混在群と連絡先不明群の算入方法、そして四半期ごとの同じ計算だ。ARINは難しい部分を既に分類している。次は、その分類を95%という看板に接続する番である。
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