Summary

  • APNICが2026年10月29日に公開した累積ファイルで、移転日が10月の行はtransfer-apnicに40行、transfer-all-apnicに88行ある。前者の40行は、後者のUnused40行と完全に一致する。
  • IPv4アドレス数は狭いファイルで5万3760、全種別ファイルで115万6864。10月16日付の120.160.0.0/12一行だけで104万8576アドレス、後者の90.64%を占める。

「APNICの10月の移転規模」と書くのは簡単だ。難しいのは、どのAPNICのファイルを読んだかを続けて書くことだ。10月29日付の従来型ファイルで10月の日付を拾うと40行。同じ日の全種別ファイルでは88行になる。前者が48行を紛失したわけではない。最初から別の範囲を見せている。

APNICの旧形式の説明は10列のログを定める。拡張形式の説明では11列目にtransfer_typeを加え、Unused、M&A、HRTを区別する。transfer_dateが202610で始まる行を取り出し、拡張側の種別列を外して照合すると、旧形式の40行と拡張側のUnused40行は一対一で一致する。追加分はM&A45行とHRT3行だ。行数をそのまま売買契約の件数とは呼べない。一つの取引が複数の資源行を持ち得るからだ。

IPv4に限ると、旧形式の37行は5万3760アドレス。全種別の61行は115万6864アドレスで、内訳はUnusedが5万3760、M&Aが110万1568、HRTが1536だ。この61個のIPv4プレフィックスは当該スナップショット内で重複しない。旧形式だけを見れば、全種別で見えるアドレス量の4.65%しか数えられない。残る110万3104アドレスは非公開ではなく、別の公開ファイルにある。

最大の差は10月16日付の一行に凝縮される。M&Aに分類された120.160.0.0/12は、PT. INDOSAT Tbk(ID)からIndosat Singapore Pte. Ltd.(SG)への移転として記載され、両側のRIR欄はAPNICだ。/12は104万8576アドレス。全種別ファイルにおける10月日付のIPv4量の90.64%をこの一行が占める。公開ログには価格、法的な対価、移転後の運用先は載っていない。それを論じるには取引書類とネットワークの実測が必要だ。

「10月」という見出しにも締め日がある。両ファイルは日々更新される累積スナップショットで、今回抽出した行の最新移転日は10月27日。29日に見えた10月日付分の集計であり、月末確定値ではない。後日のファイルを混ぜれば、数字を比較する土台も変わる。

登録機関が複数の公開形式を持つこと自体には用途がある。しかし、狭い方を全体と読み違えやすい配置なら、正確なファイルから不正確な論拠が生まれる。理事会資料や市場分析で数字を掲げる人は、ファイル名、版の日付、資源種別、移転区分を一緒に示すべきだ。小数点以下を磨く前に、分母を決めたい。