要約
- 委員会によれば、パネルは最近の制御不能事案を調べ、関係モデルの開発企業に向けた質問を準備した。
- EU規則は、対象となる意見・提言を不当な遅滞なく公開するよう求め、保護対象には例外を設ける。
10月9日の特別会合について、欧州委員会は科学パネルが最近の「制御不能」事案を調べ、AI Officeとともに、関係するモデルの開発企業に向けた質問を作成してきたと発表した。会合では、先端AIの安全性とセキュリティに関する提言を委員会に示す予定だという。発表は事案や企業、モデルを特定せず、提言が会合後にどのような文書になったかも説明していない。
公開義務の範囲は、欧州委員会実施規則(EU)2025/454第12条が示している。科学パネル事務局は、AI Act第68条第3項の任務を遂行する中で出された意見・提言などを「不当な遅滞なく」公開する。公開によって機密の商業情報、営業秘密、EUの戦略的利益が明らかになる場合は例外となる。何日以内という数値は規則に書かれていない。
ここで、企業への質問と正式な意見・提言を同じ文書として扱わないことが大切だ。質問票、企業からの回答、専門家の内部検討、採択された提言は、それぞれ別の記録になり得る。今回の発表からは、企業への質問が第12条の対象となる意見や提言を生んだのか、どの文書が採択されたのかは分からない。非公開の部分があったとしても、理由が機密保護だと推測する根拠はない。
科学パネルは、AI Officeや各国当局を助言面で支える組織だ。60人の独立専門家が、システミックリスクの警告、モデルの分類、評価手法、市場監視などに知見を提供する。AI Act第68条はパネルの任務を定める一方、執行判断をパネルに委ねてはいない。実施・監督・執行を担うのはAI Officeと各国の市場監視当局であり、専門家の提言はその判断材料となる。
公開記録を追う際は、企業の生データを求めるのではなく、対象文書を見分けるのが現実的だ。第12条に当たる意見や提言があるか、いつ公開されたか、非公開箇所がある場合にどの保護利益が根拠とされたか。第13条は専門家に守秘義務を課し、同規則は情報提供を求める別の手続も置いている。保護すべき証拠と公表すべき結論を分ければ、機密を守りながら制度の判断過程を検証できる。
「不当な遅滞なく」という文言は即日公開を約束する時計ではない。文書の性質や保護対象を確認する時間を認めつつ、該当する意見・提言は公表するという原則を置く。10月11日までに確認した公式資料からは、会合で予定された提言が書面で提出されたか、その後に掲載されたかは判断できない。現時点での確認事項であり、義務違反を示すものではない。
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