要約

  • 米国の10月19日付提案は、ITU決議214の主題を人工知能から「超知能」へ移し、電気通信分野の職務に絞る。政策、法制度、ガバナンス、規制、倫理の枠組みづくりは対象外と明記する。
  • AI for Goodで始める超知能の事業や研究部会の外で進める関連事業には理事会の事前承認を求める。資金面では予算外財源と任意拠出を指定した。

米国の修正案で大きくなるのは名前だけだ。「AI」を「超知能」に置き換える一方、ITUが政策や法律、ガバナンス、規制、倫理の枠組みづくりを支える仕事には手を出さない、と決議文に書き込む。通信網で技術をどう使うかは調べられる。社会のルールを誰が書くかについては、ITUの机からペンを引き上げる案である。

2022年の決議214も、AIに関するITUの活動をその権限と専門性の範囲に置いていた。研究、情報共有、人材育成、通信分野での導入支援、理事会への年次報告が柱だった。今回の案は、その一般的な境界を具体的な禁止条項にする。技術の検討から政策形成へ一歩踏み出す企画には、出発点で説明責任が生じる。

始める権限も移す。AI for Goodの超知能関連の企画、諮問グループ、事業には理事会の承認が先に要る。研究部会の外でつくる関連事業や連携にも同じ関門が置かれる。三つの局の局長は各部門の諮問グループに毎年報告し、研究部会外で事務局が主導する企画には承認を求める。AI for Goodの運営には、関連職員の時間を賄う任意拠出を含む予算外財源を使い、超知能の導入・普及に焦点を合わせる。ITUの登録記録では、これは11月の全権委員会議に出された案だ。

同じ決議には別の改め方も届いている。中国、インド、Viet Namの文書89は「AI」を維持し、通信で使う安全で信頼できるAIの国際標準、指針、好事例を進める。登録ページも会議への提出を示す。こちらは技術課題を増やす提案、米国案は制度上の禁区と承認者を明確にする提案。同じ214号でも、赤ペンが引く線は違う。

残る空欄は「超知能」の定義だ。米国の文面には判定基準がないのに、禁止条項と承認制はその語を条件にする。最終文がこのままなら、担当者はどの企画を理事会に持ち込むべきか迷う。ドーハで問われるのは未来の機械の性能予測より、今日のITUで誰が新しい仕事を始められるかだ。

公式資料