Summary
- 国防総省が推計する施設の繰り延べ修繕は、2020会計年度の1370億ドルから2025年度には2850億ドルへ増えた。一度に支払期限を迎える請求額ではなく、残された工事の推計額だ。
- 日常の維持費を算定需要の少なくとも90%にするという2014年の目標に対し、陸海空軍の2021~25年度の要求額は概して約80%だった。
- GAOは各軍の作業記録から信頼できる期限内完了率を計算できなかった。全体の方針と監督を担う中央部門には政府職員が2人しかいなかった。
埠頭の制限は、全国の合計より先に現れる
ノーフォーク海軍基地の担当者は、複数の埠頭に改修が必要なのに、海軍が積極的に工事していたのは一つだと米政府監査院の報告書に説明した。一つの埠頭は安全のため荷重上限が引き下げられた。複数の埠頭では内蔵設備が使えず、地上に仮設した供給設備が稼働していた。費用が増え、車両の通行も妨げられる。ここでは「修繕待ち」は既に港の使い勝手を変えている。
国防総省は2025会計年度、世界で73万6000を超す施設を保有し、その価値を約2兆6000億ドルと報告した。建物の約3分の1は築50年を超える。繰り延べ修繕の推計額は5年間で1370億ドルから2850億ドルに増えた。巨額の数字だけでは、どの埠頭、兵舎、電気設備を先に直すべきかは決まらない。
国防総省は2014年、通常の維持管理に施設維持モデルが算定する必要額の90%以上を充てる目標を定めた。2021~25年度、陸軍、海軍、空軍の要求は概して約80%にとどまった。海兵隊の要求は80%から40%へ下がったが、当局者は修復・近代化事業に資金を振り向けたと説明する。大型改修を選ぶ理由はあり得る。ただ、その選択で延期される通常の修繕と任務上の危険も一緒に示さなければ、議会は優先順位を検証できない。
GAOが調べた8基地は意図的に選ばれた事例で、全軍の統計標本ではない。8基地すべてで維持費はモデルの推奨額を下回り、90%目標に達した基地はなかった。2021~25年度の平均はアンダーセン空軍基地37%、マイノット空軍基地40%、フォートベニング83%。これらの比率を特定の設備故障の原因と断定することはできないが、中央の目標と現場の配分がどれほど離れるかは分かる。
作業命令を数えても、遅れを測れない
各軍は修理が「期限内」かどうかに違う基準を使う。GAOは作業命令のデータを調べたが、信頼性が足りず、全体の期限内完了率を算出できなかった。海軍と海兵隊は軍種単位で評価するものの詳しさが異なる。陸軍は同様の評価を示す文書を提出できず、空軍は軍種単位では評価していないと述べた。こうした報告では、本部が危険な延期と事務処理の遅れを区別するための材料が揃わない。
GAOによると、施設修繕の全体的な指針と手続きの監督を担う国防次官補室内の部門は政府職員2人と、時折入る契約業者の支援で運営される。現場の修理を担う軍種と基地に対し、中央には同じ定義で実績を報告させる仕組みと、その結果を見て対応する政策が欠けていた。
人手の不足も基地任せになっていた。遠隔地では熟練労働者を確保しにくいが、各軍は基地を横断する重要職種の不足を十分に把握せず、軍種全体の対策も作っていなかった。一つの基地に、連邦の採用制度や広域の労働市場を変える権限はない。
GAOは、予算不足と修繕待ちが任務や生活の質に与える危険の評価、作業データの改善、軍種からの定期報告など13件を勧告した。国防総省は7件に同意、5件に部分同意、1件に不同意だった。現場の計画や財務報告は既にあると主張したが、GAOはそれらが全省的な危険評価になっていないと指摘した。
Sources
会員向け解説
プロフィールの詳細
適切な会員レベルでログインすると、解説全文と出典メモをご覧いただけます。
ストラテジックサークル限定
ストラテジックサークル
すべての読者に公開されています。参加してログインすると プロフィール解説 を閲覧できます。
ストラテジックサークルに参加Leadership Alliance 会員限定
Leadership Alliance
対象となる IP 資産の所有者・管理者向けです。ログインすると Leadership Alliance の解説を閲覧できます。
Leadership Alliance に参加





