要約
- 2020年の枠組み草案は、インターネット・ガバナンスの能力を、個人と組織が時間をかけて獲得し、強め、保つものと位置づけた。
- IGFの2021年報告は活動と支援の規模を示すが、その数だけでは、地域の組織が後に能力を維持し、政策に生かしたかまでは分からない。
年次報告の先にある尺度
2021年、国内・地域・青年のIGFイニシアティブ20団体に、総額9万6,518米ドルの助成金が交付された。後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国、移行経済から110人を超える人々が、IGF年次会合への参加費用の支援を受けた。地域会合に連動した八つのテーマ別ワークショップもオンラインで実施された。これらは投入と実施の記録である。会合や資金が終わった後に何が残ったかは、別の問いになる。
Anriette EsterhuysenがIGF事務局向けに作成した枠組み草案は、2019年の調査業務を経て2020年2月に完成した。MAGが採択した拘束的方針ではない。そこでは能力形成を、個人や組織が自らのインターネット関連政策目標を設定し、達成する能力を得て、強め、維持する過程と定義している。「自らの」という部分が重要だ。国際会議の用語を知ることではなく、自分たちの制度環境で政策の選択肢を分析し、行動できることが目指されている。
この定義は評価単位も変える。参加者が提案書の読み方を学び、専門家とつながり、国際議論の経験を積むことには意味がある。しかし、所属組織に時間、支援、継続性、国内政策への接点がなければ、個人の学びが制度の能力に結びつくとは限らない。草案が個人とその周囲の組織を一緒に扱うのはそのためだ。
一つの催しに背負わせない五つの柱
枠組みは五つの柱を相互に結びつけた。能力形成の機会や教材にアクセスできる情報、メンタリング、参加支援、IGF年次会合と会期間の活動に結びついた学習、そしてインターンシップや職業交流である。IGFが公表した2020~2021年のMAG議長活動の説明にも五つの柱が記され、継続的な学習、国内・地域の専門性の尊重、個人と組織の能力形成、異なる参加者間の相互学習が補足されている。
同時に公表されたニーズ評価は設計上の理由を示す。40人超の回答者と過去の研究をまとめたもので、IGF参加者全体の統計調査ではない。回答者は奨学金や旅費支援を評価しつつ、一度きりの参加では長期的に有効な関与を支えられないと述べた。国内の政策機関や制度環境が、国際会議で得た知識を活用できるかを左右するとも指摘している。旅費の支援は経済的な壁を低くできるが、継続支援、相談相手、学びを政策に移す組織まで自動的に用意するわけではない。
これは参加支援を軽視する議論ではない。参加支援は五本柱の一つである。違いは、支援を受けた参加を能力形成の一経路と見るか、その完了の証明と見るかにある。
2021年の記録が示す範囲
IGFの2021年年次進捗報告には、20のイニシアティブへの助成、110人超への参加費支援、八つのオンライン学習会、相談会、ウェビナー、セッションの主催者や司会者向けの研修が記載されている。報告は、ワークショップによって会期間の活動と第16回IGFへの関心が高まったとも述べる。Esterhuysenが2021年もMAG議長に再任されたことも記録されており、2019年の国連発表は就任の起点を確認する資料になる。
これらの数字が示すのは活動、対象範囲、報告された関心である。参加者が技能を保持したのか、所属組織の政策実務が変わったのか、地域の優先課題を数か月後に進められたのかは、数字だけでは証明できない。同じ年次報告には会合そのものの成果も載っているが、それを能力形成プログラムの評価と同一視することはできない。ここで指摘しているのは、引用した記録の証拠の範囲であり、プログラムの失敗や他所での評価の不存在ではない。
Esterhuysenの草案は、ニーズが満たされているかを知るため、学習と評価を枠組みに組み込むべきだと明記した。地域・国内レベルでの継続、所属組織の関与、世界規模の活動と地域イニシアティブの接続も提案している。公開記録は、申込数や開催数の先を追える。参加者の所属組織がどの政策目標を選んだのか、どんな支援を約束したのか、参加者が後に関連する政策過程に戻ったか、時間の経過で何が変わったのかを記録する方法だ。ただし国や組織を一つの尺度で順位付けせず、それぞれの事情を残す必要がある。
チュニス・アジェンダは制度上の範囲を定めている。IGFには地域の知識と専門性を生かしてインターネット・ガバナンスの能力形成に貢献する役割がある一方、拘束力はなく、インターネットの日常運用や技術運用にも関与しない。草案は地域組織の代わりになるとも、そこに権限を与えるとも主張しない。人と組織が自分たちの政策環境で動ける力を育てることに焦点を置く。
2021年の実績は複数の手段と相応の到達範囲を示したが、枠組みが投げた長期の問いには答えていない。答えるには追跡期間、本人の同意、参加者が所属する組織からの証拠が必要になる。評価の中心は、年末に数えられる参加証や助成金の数ではなく、選び取った目標を人と組織が追求し続けられるかどうかだ。
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