要約
- ICANN理事会は2004年9月30日に暫定的な承認(決議04.82および04.83)を与え、2005年4月8日に完全な承認(決議05.25および05.26)を与えた。権限の移譲は、報道や発表ではなく、この二つの理事会文書に固定されている。
- 運用面の引き継ぎは2005年2月21日に始まり、IANAによる41/8の割り当て(2005年4月12日)で実務上完成した。ただしアフリカのLIRの契約上の地位は、ICANNの完全承認までの間、RIPE NCC標準サービス契約(RIPE NCC Standard Service Agreement)に残っていた。
- 2023年9月12日のモーリシャス最高裁(商事部)の命令以降、この権限の保有者は裁判所が任命した受任者の下に置かれている。2025年6月23日に実施された理事会選挙は、6月26日に無効とされた。
- したがって現在問われているのは、2005年の移譲が有効だったかどうかではない。登録に関する決定について誰が輪を握っているのか、である。確認できる文書が示す限り、その輪はRIRの政策過程ではなくモーリシャスの裁判所が握っている。
権限を運んだ文書
アフリカ地域のための独立した地域インターネットレジストリを作る動きは、2004年9月の申請と移行計画の提出という形でICANNに届いた。IANAの2005年4月8日付報告書は、申請が2004年9月に詳細な移行計画とともに提出されたと記録している(IANA報告書、2005年4月8日)。
ICANN理事会は2004年9月30日の特別会合で、AFRINICの承認申請と移行計画に対して暫定的な承認を与えた。採用された決議04.82と04.83は、会長に対して、AFRINIC、ARIN、RIPE、APNICとNROを通じて緊密に協力し、円滑な移行と、ICP-2および当時のASO覚書に適合する改訂申請の準備を支援するよう指示している(ICANN理事会決議、2004年9月30日)。この文書の性格は重要である。暫定的承認は権限の移譲そのものではなく、移譲の条件を定める文書である。
暫定的承認は2004年10月14日に公表された。発表は、これが完全承認の前の最終段階であると位置づけ、AfriNICがIPv4およびIPv6アドレスを含むアフリカ地域の番号資源の管理を開始したと述べ、既存のRIRが資金拠出、研修、情報共有でAfriNICを支援しているとしている(ICANN発表、2004年10月14日)。ここで注意すべきは日付である。理事会決議は9月30日、公表は10月14日であり、二次的な要約が「2004年10月の暫定承認」と書く場合、それは公表日を指している。
次に、AFRINICが実際にサービスを引き受けられるかどうかの評価が置かれた。IANAの報告書は、2005年2月21日にNROの議長(当時RIPE NCCのCEO)とAfriNICのCEOが連名で、AfriNICの最終承認と承認に向けた準備が整っているというNROの肯定的評価を伝えたと記録し、IANAスタッフが情報と登録業務の移行を監視した結果、AfriNICがICP-2の条件をすべて満たすと結論したとしている(IANA報告書、2005年4月8日)。
そのうえで、2005年4月8日のICANN理事会が決議05.25と05.26を採択し、AfriNICを、アフリカのサービス地域に対してIPアドレスの登録その他のサービスを提供する、完全に承認された地域インターネットレジストリとして承認した。決議は、2004年9月30日に暫定的承認が与えられていたこと、および会長が申請とIANA報告書を検討した結果、ICP-2の基準への完全な適合を判断したことを記録している(ICANN理事会決議、2005年4月8日)。
NRO自身の説明は、AFRINICが2005年4月8日、マル・デル・プラタでのICANN理事会会合において5番目のRIRとして承認されたと述べ、既存のRIR(ARIN、APNIC、LACNIC、RIPE NCC)がその立ち上げを支援し、業務の立ち上げのために10万米ドルを拠出したとしている(NROの説明)。これは利害を持つ機関自身の説明であり、本稿はそれを当該機関の主張として扱う。
2005年2月21日:サービスは移り、契約は残った
移行の実務上の分岐点は、完全承認よりも早い。RIPE NCC自身の移行ページは、AFRINICが2005年2月21日からアフリカ地域の完全に機能するRIRとして運営を開始したと述べている。同日から、アフリカのLIRからの資源申請はAFRINICに転送され、RIPE NCCのLIRポータルはアフリカのLIRに対して利用できなくなった(RIPE NCC移行ページ)。
しかし同じページが、より重要な但し書きを記録している。ICANNの最終承認までの間、それらのLIRは依然として法的にはRIPE NCCのメンバーであり、割り当てはRIPE NCC標準サービス契約の下で行われていた。ICANNの最終承認後に初めてすべてのサービスが移転され、LIRはAFRINICと契約を締結する必要があった(RIPE NCC移行ページ)。
この順序は、移行を一枚の文書の効力として説明する見方を退ける。2005年2月21日から4月8日までの約7週間、アフリカのLIRにとって「窓口」と「契約の相手方」は別の組織だった。申請は新組織に送られ、契約関係は旧組織に残った。サービスの継続と契約の継続は、同じ日付では動かなかったのである。
41/8と最初の割り当て
登録権限が金銭や宣言ではなく台帳上の記録で表れるとすれば、その最初の記録は2005年4月12日である。IANAのGeneral Managerは同日、IPv4の/8ブロックである41/8をAfriNICに割り当てたと告知し、これを地域インターネットレジストリとしての承認後のAfriNICへの最初の割り当てと位置づけている(IANA告知、2005年4月12日)。
IANAのIPv4アドレス空間登録簿は、041/8をAFRINICにALLOCATED(割り当て済み)として、割り当て日2005-04とともに掲載している(IANA IPv4アドレス空間登録簿)。この登録簿は継続的に更新される文書であり、参照している状態は2005年の時点のスナップショットではなく現在の状態である。それでも、この行は移譲の帰結を一行で示している。権限の移動は、資源が誰の管理下にあるかという登録簿上の事実として残る。
ICANNは2005年4月14日の発表で、AfriNICがアフリカ地域のためのIPアドレスと自律システム番号を含む最初の番号資源の割り当てを受けたと述べ、IANA機能を、5つのRIRに番号資源のブロックを割り当て、RIRがそれを地域で配布するものとして説明している。同じ発表は、AfriNICをモーリシャスに拠点を置く非政府・非営利・会員制の組織と記述している(ICANN発表、2005年4月14日)。この記述は、20年後に問題となる法人形態を、移行の時点ですでに明示していた。
AFRINIC自身も、設立と初期の時期を含む組織史のページを公開している(AFRINIC組織史)。これはレジストリ側の語りであり、独立した証拠としてではなく、当事者の説明として扱う。
現在の支配面:受任者、命令、検査官
2023年9月12日、モーリシャス最高裁商事部は口頭判決において、AfriNICが移転し、または買収、合併、再編、経営支配にいかなる形でも服することを差し止め、公式受任者(Official Receiver)を任命して現状と事業価値を維持させ、AFRINICの定款に基づく選挙手続が実施され、適法な理事会が構成されCEOが任命されるよう監督することを命じ、その完了までの期間を6か月とした(民事控訴裁判所判決2024 SCJ 473)。
控訴裁判所は、2024 SCJ 473として報告される判決で2023年9月12日の命令を回復し、公式受任者が選挙手続全体を判決から2か月以内に完了することを要件として置き換え、理事会の再構成を「極めて緊急性の高い事項(a matter of utmost urgency)」と表現した(民事控訴裁判所判決2024 SCJ 473)。AFRINICの communiqué は、控訴が2024年10月15日に棄却され、受任状態が維持されたと述べている(AFRINIC communiqué、2025年)。
ここには二つの記録のずれがある。判決からの抜粋は、2023年9月12日の命令を回復すると述べながら「控訴を破棄する(set aside the appeal)」という表現を含み、棄却というAFRINICの性格づけと平仄が合わない。本稿はこの不一致を解消せず、記録として残す。いずれにせよ、裁判所が設定した選挙日程(6か月、次いで2か月)は実行されなかった。
2025年の選挙は、それ自体が争いになった。AFRINICの communiqué によれば、2025年の理事会選挙は2025年6月23日に実施され、受任者は投票者に関する文書の不規則性への懸念を理由に、6月26日に選挙手続を無効とした。懸念は調査のために所管当局に正式に報告され、受任者は新たに完全に検証された選挙を実施するため、限定的な任務期間の延長を最高裁に申し立てた(AFRINIC communiqué(選挙無効))。
同じ communiqué は、2025年6月26日の最高裁命令が、理事会選挙を実施するための期限を2025年9月30日と定めたこと、新規のIPv4/IPv6割り当てが、滞留した申請を処理するため2025年7月1日に例外として再開されたこと、そして2025年7月18日の異常官報(Extraordinary Government Gazette)に掲載された2025年一般告示第1045号が、会社法2001年第230条に基づき同社を「declared company(宣言会社)」に指定したことを記録している(AFRINIC communiqué、2025年)。
その指定に続くのが行政文書である。2025年プロクラメーション第10号は、首相が会社法第230条に基づき同社を宣言会社に指定したこと、第231条(1)に基づき登録官が検査官を要求する義務を負うこと、第229条の資格要件を記録し、Hon. N. F. Oh San-Bellepeau(最高法院判事)を検査官に任命し、2025年9月30日火曜日まで裁判官としての職務から解放した(モーリシャス政府プロクラメーション第10号)。
同プロクラメーションの職務範囲は広い。Cloud Innovation Ltd が資源会員として会社法第178条に基づきAFRINICを受任状態に置くための当事者適格(locus standi)を有していたか。公式受任者とGowtamsingh Dabee氏が受任者として適法に任命されたか。受任者が、裁判所手続および取締役選出の過程を含め、会社と会員の最善の利益に従い、定款に沿って行動したか。資源会員から登録会員への「裁判所命令を装った」変更が違法、詐欺的かつ無効か。清算申立てが frivolous and vexatious か。指定日に適法な登録会員と取締役は誰だったか。会社を麻痺させる濫用的または協調的行為があったか。会社法第332条(1)および第334条の犯罪が行われたか。法律顧問に対する懲戒手続を検討すべきか(モーリシャス政府プロクラメーション第10号)。
これは判決ではなく、行政・調査の文書である。プロクラメーションは、そこで調査を命じた事柄の当否を何ら判断していない。同時に、その職務範囲は、受任状態の下で行われた登録に関する決定、すなわち理事会選出の過程を明示的に含んでいる。
国際的な調整機関も、この局面に関与している。ICANNは2025年6月20日、AFRINICの公正な理事会選挙を求める自らの呼びかけを強める裁判所の判断を得たと発表し、その判断が受任者に対し会員への communiqué の発出を求めたと述べている(ICANN発表、2025年6月20日)。これは利害を持つ当事者の発表であり、基礎となる判断そのものは本稿で読まれていない。
AFRINICは、自らが当事者である手続について、訴訟FAQと裁判事例のページを公開している(AFRINIC訴訟FAQ)。これも当事者側の語りである。
最後に、検査官の地位には未解決点が残る。モーリシャスの新聞は、Oh San-Bellepeau判事がAFRINIC件の検査官を辞任したと報じた(Le Mauricien紙)。裁判所または官報による確認は本稿では確認されておらず、その帰結は未解決である。
食い違う記載と、まだ裁定されていない問い
第一に、受任状態の開始日である。AFRINICの communiqué は2023年9月12日とするが、政府のプロクラメーション第10号は「2024年ごろ」に受任状態に置かれたと記載する(政府プロクラメーション、AFRINIC communiqué)。第二に、控訴審の結論の表現である。第三に、暫定的承認の日付であり、理事会決議は2004年9月30日、公表は10月14日である。
これらは記録の食い違いであり、いずれも本稿では裁定しない。裁定しないという判断自体が、本稿の主題に関わる。登録権限の所在を確定するのは、日付の記憶ではなく文書だからである。
一つの問いが残る。2004年から2005年の一連の文書は、アフリカの番号資源について誰が割り当て、取り消し、移転できるかを、いまなお規律しているのか。それとも、モーリシャス裁判所の監督が、登録に関する決定の上に別の支配面を置いたのか。本稿が確認できる範囲では、裁判所が握っているのは統治機構の再構成についての輪であり、番号資源の配分方針そのものではない。ただし、受任者が「選挙手続」を任務とされ、その選挙の結果が登録会員資格の確定に依存する以上、両者は同じ手続の中でつながっている。
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