要約

  • スイス連邦行政裁判所は2026年9月21日のB-3186/2024判決で、競争委員会(COMCO)が2023年12月4日に下したSwisscomへの決定を取り消した。判決は10月13日に公表された。
  • 取消しの決定的理由は市場定義にある。COMCOは個別の連続したレイヤー1光ファイバー接続を基準とし、P2MP方式で供給可能な別種の卸商品を対象市場から除外していた。
  • 裁判所は、COMCOが定義した市場における支配的地位を立証できないと判断した。他の実体的争点には踏み込まず、P2MP方式全般の適法性も判断していない。

制裁の根拠を崩した市場定義

競争法上の判断では、どの商品を一つの市場に含めるかが結論を左右する。市場が定まって初めて、その市場で企業がどの程度の力を持ち、競争を制限したと評価できるかを検討できるからだ。

スイス連邦行政裁判所が9月21日に下したB-3186/2024判決は、この順序の重要性を浮き彫りにした。

COMCOは、Swisscomが支配的地位を濫用したと認定していた。しかし裁判所は、その認定の前提となる商品市場の画定に問題があり、当該市場における支配的地位を証明できないと判断した。

10月13日の裁判所公告が示す結論は限定的だ。競争当局の決定は取り消されたが、ネットワーク構成をめぐるあらゆる法的争点が解決したわけではない。

一本の専用回線と分岐するネットワーク

紛争の発端は2020年初めにさかのぼる。Swisscomは光ファイバー網の構築方針を、ポイント・ツー・ポイント(P2P)からポイント・ツー・マルチポイント(P2MP)へ移行すると発表した。

P2Pでは、局舎から個々の利用者まで独立した連続光ファイバーを設けることができる。これにより、卸事業者は個別の物理回線を利用するレイヤー1アクセスを得られる。

一方、P2MPでは分岐器を介して複数の利用者が給電側の光ファイバーを共有する。その構造上、P2Pと同じ個別の連続線は提供できない。

ただし、ここで重要なのは「同じ商品を提供できない」ことと「卸アクセスを一切提供できない」ことの違いだ。

P2MPでも、ファイバーツリーへのアクセスや、レイヤー2・レイヤー3で構成される卸サービスは技術的に提供可能である。物理的な利用形態、制御できる範囲、サービスの提供方法が異なるため、これらを個別のレイヤー1回線と同一商品とみなすことはできない。

逆に、商品が異なるという事実だけで、競争法上の市場から当然に除外できるわけでもない。代替可能性を評価する必要がある。

2020年の調査から2026年の取消しまで

COMCOは2020年12月14日に調査を開始した。その後、暫定措置をめぐって2021年と2022年にも司法上の争いが生じたが、これらは今回の本案決定とは区別される。

COMCOは2023年12月4日の本決定で、自ら定義した市場におけるSwisscomの支配的地位と、その濫用を認定した。決定にはネットワーク構築に関する要件と約1,800万スイスフランの制裁が含まれていた。

正式通知は2024年4月24日。Swisscomは同年5月23日、この本決定を不服として提訴した。

2026年の判決は、こうした一連の手続きのうち、2023年の実体判断を対象とする。暫定措置に関する過去の判断を覆したことと同義ではない。

裁判所が示した市場画定の順序

裁判所の論理は二段階に整理できる。

第一に、対象企業が実際に提供している商品、または技術的に供給可能な商品を特定する。第二に、それらの商品間の代替性を検討し、競争法上の市場を画定する。

COMCOの問題は、この二つの作業が整合していなかった点にある。

COMCOは、局舎から利用者までの個別連続光ファイバーを利用するレイヤー1アクセスを基準とした。しかしP2MP構成で供給可能なファイバーツリーへのアクセスやレイヤー2・3卸商品を、市場の対象から外していた。

地域による供給状況の違いも重要だった。光ファイバーが未敷設の地域では、問題となる商品自体が存在しない。一方、P2MPが整備された地域では、個別連続線とは異なる卸商品を技術的に供給できる。

これらの地域を同じ商品供給の前提で評価することはできない。しかも、P2MP地域で供給可能な別商品まで対象市場から除けば、企業の供給能力と市場定義との間に不一致が生じる。

裁判所は、この不一致を踏まえ、COMCOが設定した特定市場における支配的地位は立証されていないと判断した。

したがって、決定を取り消すには十分だった。裁判所は、濫用認定に関するその他の実体的な主張を判断する必要がなかった。

取消しはP2MPの全面承認ではない

この判決を「P2MP方式に競争法上の問題はない」と読むのは正確ではない。

裁判所は、P2MPで提供される卸商品がP2Pのレイヤー1接続と機能的・経済的に同等であると認定したわけではない。また、あらゆるP2MP構築方針を合法と宣言したわけでもない。

今回否定されたのは、COMCOが採用した特定の市場定義を前提に支配的地位を認定できるという論証である。

対象商品と代替性を改めて検討する、異なる範囲の調査まで排除されたわけではない。ただし、それが実際に開始されるかは別の問題だ。

裁判所の公告は連邦最高裁判所への上訴が可能であると記している。10月16日時点の記事では、その後の上訴の有無や手続きの展開を推測しない。

判決から価格、設備投資、消費者への具体的影響を導くこともできない。直接確認できるのは、競争当局による市場画定と支配的地位の立証に関する司法判断である。