要約

  • DCMSの規則案は、Charities Act 2011 第181A条に新たな裁量条件を加える。暴力や人種・宗教への憎悪を促す行為・意見、またはそうなる合理的可能性のある行為・意見が対象となり、犯罪の成立や有罪判決を必要としない。
  • 新条件だけで自動的に失格にはならない。慈善委員会は、本人が理事に不適格であることと、慈善事業への信頼を守るため排除が公益にかなうことも立証する。

刑事裁判の外に置かれる入口

提案の特徴は、刑事司法とは別の入口を行政上の理事資格審査に設けることだ。DCMSが2026年10月14日に公表した規則案では、慈善委員会は、慈善団体の関連職に就く、または就いていた人物の行為や意見を調べられる。暴力や人種・宗教への憎悪を促した場合、その可能性が合理的に見込まれる場合が条件となる。

相談文書は、対象となる行為が犯罪の基準に達する必要はないと明記する。草案には、特定犯罪で有罪になった人を自動的に失格とする別の変更もあるが、ここで扱うCondition EBは自動措置ではない。Charities Act 2011 第181A条の既存の裁量権を使うための条件が一つ増える。

対象は役職中の発言に限られない。関連職には理事、一定の職員・代理人・幹部、法人が受託者である場合の特定の幹部や職員も含まれる。個人のSNSアカウントでの投稿や、職務に就く前後の発言も検討対象になり得る。任命前の発言が後日の理事会参加に影を落とす余地がある。

DCMSは、既存の権限による対応は時間や人員を要し、法的争いで遅れることがあると説明する。相談資料は、活動家の個人情報を公開し、脅迫的または暴力的な行動をとると知られたフォーラムに行動を呼びかける例や、人種・宗教集団について憎悪をあおる陰謀論を広める例を挙げる。実際の規則案では「促す」「合理的に可能性がある」の限界は細かく定義されていない。

条件の先に、あと二つの法的判断がある

Condition EBが満たすのは、三段階の審査の第一段階にすぎない。委員会は本人が慈善団体の理事として不適格かを判断し、さらに命令が慈善事業全体または対象団体への信頼を守るため公益上望ましいと示す必要がある。この二つは独立した要件だ。問題のある発言が見つかっただけでは、理事としての不適格性も排除の必要性も自動的には導けない。

DCMSが示す証拠の候補は、説教や演説の記録、SNSの投稿・再投稿、証人の説明、映像、他の規制機関からの情報、犯罪記録など幅広い。再投稿は賛同にも、報道や批判にもなり得る。映像は前後を切り落とすこともある。証拠の種類が多いほど、委員会が文脈、発信者、対象、時間、職務との関係を理由の中で説明する必要も増す。

委員会は、言行が慈善団体での職務に関連する場で起きなくてもよいとする。だからこそ、本人の役割と適格性への影響をつなぐ説明が欠かせない。どの証拠が何を示すのか、なぜ理事の責任を果たせないのか、なぜ命令が公益を守るのか。ここを飛ばせば、最初の条件が残り二つの判断を飲み込んでしまう。

命令は最長15年、特定の団体、団体の種類、またはすべての慈善団体に及ぶ。無給の理事職だけでなく、上級管理職の就任を禁じるかも委員会が決められる。法定調査を開かずに使うことができ、すでに職を離れた人にも適用し得る。期間と対象範囲は事後の調整事項ではなく、命令の核心である。

言論保護は説明文、裁量の幅は条文

政府は、単なる不快感や侮辱を捉えること、正当な議論や発言者を止めることが目的ではないと述べる。思想、宗教、表現、議論、抗議の自由にも触れている。一方、Condition EBの条文には、引用、報道、抗議、不人気な見解などを区別する独立の例外はない。説明文で述べる保護と、執行される条文の幅には隔たりがある。

DCMSは、理事としての不適格性と公益性という二つの要件に加え、委員会が比例的で、説明可能で、一貫し、必要な案件に絞った規制を行う義務、Human Rights Act 1998 と Equality Act 2010 に基づく義務を挙げる。これらは証拠の選定と解釈、適格性の判断、命令の必要性や範囲に反映されて初めて効力を持つ。公表理由と不服申立ての記録が、境界を後から検証する材料になる。

委員会の過去の命令は200件を超える。権限が導入された2016年から2026年3月までに、Tribunalで審理された上訴は16件、取り消された命令は2件だった。1件では、信頼を損なう行為であっても不適格性と公益上の必要性までは立証されなかった。もう1件では、別の理事が不正を隠していたため、本人がそれを知らなかったことを示す新たな証拠が認められた。ほかに期間が短縮された命令が2件、上級管理職への制限が外された命令が1件ある。

この記録は、新条件が既存の法的審査とどう並ぶかを示す。条件が第一段階を満たしやすくしても、残り二つの判断は独立したままでなければならない。委員会は少なくとも1か月前に本人へ通知し、意見を提出する機会を与える。本人が理事なら他の理事にも知らせる。通常は一般からも約1か月意見を募る。Tribunalへの上訴ができ、命令は申立期間が終わるか上訴が決着するまで効力を生じない。意見募集の間に理事を一時停止できるため、その判断も実務上の重みを持つ。

意見提出と決定権は別の段階にある

イングランドとウェールズで行われる相談は、2026年12月23日17時に締め切られる。慈善団体、理事、法律家、支援団体、一般の人々は事例や反対意見を出せる。規則の承認は両院が担い、その後、慈善委員会が個別の事実に法律を適用し、Tribunalが争われた決定を審査する。

誰が何を決めるのかは分けて考える必要がある。相談への意見は規則の材料であり、議会が承認の可否を決める。委員会は個々の命令を説明し、Tribunalは判断の誤りを正せる。現場の境界は、最終条文と公表される理由によって決まる。

草案の説明書は、民間・ボランティア・公共部門に影響がないか、重大な影響はないと見込んだため、完全な影響評価を行わなかったと記す。DCMSは、すでに新条件に合う可能性のある案件を委員会が複数扱っているとも述べるが、件数や今後の予測は示していない。合法的な発言にどのような影響が出るかの測定もない。条件が採択されれば、初期の公表決定がこの見通しを検証する。

議会が問うべきなのは、疑義のある発言をどう扱うかだけではない。本人が理事に不適格だと示す証拠は何か、排除が公益を守る理由は何かを、委員会がどう立証するかである。規則にその基準を書き込むか、各決定の理由に必ず示させるか。相談文書の前文にある保証より、当事者やTribunalが確認できるルールが重い。

次に確認する資料

12月23日以降は、政府の回答で「合理的に可能性がある」という表現が変わったか、正当な議論への配慮が条文に入ったかを確認したい。委員会が匿名化した理由、証拠の種類、命令の期間と範囲、暫定停止、上訴結果を公開するかも重要だ。個人アカウントの投稿、就任前の発言、刑事起訴に至らなかった資料がどれだけ使われるかが、運用上の境界を示す。

新条件は刑事手続より前に対応できる可能性を持つ。同時に、刑事有罪判決なしで職業上重大な結果を生む。三段階の審査、公表理由、Tribunalの確認が、その裁量を支えなければならない。

資料:DCMS相談文書;2026年規則案;Charities Act 2011 第181A条。