要約

  • SECは規則17a-7の対象を広げ、観察可能な評価情報を使う債券の大半などを系列ファンド間取引の対象にする案を示した。
  • 四半期の適合確認を取締役会からCCOに移し、年次の不利益検証と取締役会への報告を追加する。公開情報は個別取引ではなく資産区分ごとの集計が中心となる。

同じ運用会社の傘下で、あるファンドが売り、別のファンドが買いたい証券がある。公開市場を通さずに直接受け渡せば、手数料や売買価格の差を抑えられる場合がある。一方、二つのファンドを同じ助言会社が運用する以上、どちらを優先するかという利益相反が生じ得る。

米証券取引委員会(SEC)は10月9日、投資会社法の規則17a-7を改める案を公表した。提案は10月15日にFederal Registerへ掲載され、意見募集は12月14日まで続く。1966年に設けられた現行ルールは、一定の条件の下で登録ファンドと適格な関連当事者との取引を認める。現在は取締役会が取引手順を定め、変更を承認し、少なくとも四半期ごとに全取引が手順に適合していたかを確認する。

対象となる証券の条件も変わる。現行規則は、容易に入手できる市場価格を条件とする。SECによると、2020年のファンド評価ルールでこの概念が変わり、それまで対象だった債券の大半は実務上、交差取引できなくなった。新案は、直接または間接に観察可能な入力値を使って評価される証券に範囲を広げる。これは米国会計基準の公正価値階層におけるレベル2に相当し、SECは債券の大半が含まれると見込むが、全てではない。

価格の付け方は二つ提示された。取引日における次回の純資産価額(NAV)計算で使う価格か、非関連の価格情報源を用いて助言会社が合理的な現在市場価格と判断する価格である。後者は価格の妥当性を定期的に見直す必要がある。取引前には、助言会社が参加する各ファンドについて個別に最善の利益にかなうと判断し、各ファンドの投資方針と戦略にも沿うことを確認する。

監督の中心は、取締役会からCCOへ移る。CCOは全ての交差取引を少なくとも四半期ごとに確認し、ルールへの適合を調べる。さらに年1回、取引または取引の組み合わせが、関連ファンドに比べて当該ファンドを不利にした可能性を検証する。必要に応じ、取得後の売却時期と価格も分析する。SECは「パーキング」、売りにくい資産の押し付け、選択的な取引といったパターンを年次分析が見つける可能性を挙げる。CCOは四半期と年次の結果を取締役会に報告し、その根拠資料を保存する。

取締役会は、同規則に基づく四半期の適合判断や、取引手順の策定・変更承認を担わなくなる。ただし監督自体は残り、CCOの報告を受ける。SECは、取締役がその報告を手がかりに利益相反など大きな問題へ注意を向けられると説明する。規則38a-1の枠組みでは、取締役会がCCOの任命、報酬、解任を承認し、CCOは少なくとも年1回、取締役会へ直接かつ個別に報告する。したがって、これは取締役会の特定業務の再配分であり、監督の消滅ではない。

投資家向けの公開情報は増えるものの、個別取引の詳細には及ばない。対象ファンドはN-PORTまたはN-MFPで、資産区分ごとの売買額を集計報告する。提案は取引ごとの価格、時刻、相手方の公開を求めていない。SECは、より細かな開示案も検討したうえで、データ整備や運用の負担を論じている。投資家は大まかな活動量を把握できても、ある取引が一方のファンドに有利だったかを公開表だけで検証できない。

そこで重要になるのは証拠の受け渡しだ。助言会社が取引を決め、各ファンドへの利益を説明し、CCOが適合と事後の結果を検証し、取締役会が報告を監督に使い、投資家は集計値を見る。Heng LuのNote 73は、決定の影響を受ける人と決定を承認する権限を持つ人を区別する編集上の視点を示す。米国証券法の根拠ではない。実務上の問いは、公開情報に個別条件が出ないなか、取締役会が保存記録と報告から十分な材料を得て助言会社に問い返せるかどうかだ。

意見募集の期限は2026年12月14日。提案はまだ採択されておらず、特定のファンドが拡大された権限を使ったことやコスト削減を実現したことを示すものでもない。

出典:SEC提案 docket S7-2026-36; SEC proposed rule, Release IC-36358; SEC fact sheet; Heng Lu、Note 73(編集上の視点のみ); SECの10月9日発表; Federal Register掲載文書。