要約

  • RFC 978は、異なるシステム間で音声ファイルを交換するための18バイトのヘッダーを提案した。方式、概算の記録速度、長さ、電話のプッシュ音に関する16ビットの情報が入る。
  • DTMFマスクの1は対応する音が確実に存在しないという意味だ。0は存在を示さず、分からないままにする。

録音の荷物は届いた。受け取った計算機は、中身をどう再生すればいいのか分からない。1986年2月、J.K. Reynoldsら五人が示したVoice File Interchange Protocolは、声の荷物に18バイトの札を付ける案だった。札の中でも最も強気な記述は、聞こえた音の報告ではない。「この音はない」という保証である。

当時は音声を扱う装置ごとに録音の方式が異なり、マルチメディアメールへの関心も高まっていた。ファイルのバイト列だけを渡しても、受け手は方式を推測するしかない。VFIPの先頭には1バイトの版番号と1バイトのヘッダー長があり、初版の長さは18。32ビットずつでおおよその毎秒ビット数と、十分の一秒単位の全長を記す。方式名はASCIIの6バイトで、短い名前は右側を空白で埋め、大文字と小文字を区別せず比較する。別の装置が録音を解釈するための手掛かりを、声と一緒に運ぼうとした。

厄介なのは二バイトのDTMFマスクだ。数字0から9、星印、井桁、AからDの計16種類のプッシュ音に対応する。ビットが1なら、その音がファイルに絶対にない。0なら、あるかもしれないし、ないかもしれない。全部0なら何も分からない。全部1なら16種類すべてを除外できる。通常のチェック印の気分で読むと、確実な不在を存在の証拠にひっくり返してしまう。

原文の二つの例が読み方を試す。毎秒2400ビットで一分のNVP-2録音はマスクが0で、除外できる音はない。毎秒1200ビットで十秒のTI録音はマスクが1023。下位十ビットが立つので、数字の0から9の音は確実に含まれない。残る六種類は未確認だ。1023は検出数ではない。十個の「ここにはいない」を詰めた値である。

札は音声ファイルの先頭に貼り付けなくてもよい、と著者らは書いた。別の関連ファイルとして置ける。ただし札が別の録音へ迷子になれば、記述も役に立たない。RFC Editorの記録は刊行を1986年2月としている。提案は自動変換を容易にするが、ヘッダー自身が万能の変換器になるわけではない。18バイトの価値は、分かることを運び、分からないことを勝手に埋めない点にある。声のファイルが移動するとき、確かな沈黙も一緒に移動した。