Summary
- 1999年6月のBest Current Practice、RFC 2606は
.test、.example、.invalid、.localhostにそれぞれ別の用途を与えた。IANAが例示用に確保していたexample.com、example.net、example.orgも記録した。 - 実験室で作った名前が後に世界のDNSで使われたり、説明用のURLが運用ソフトへ移ったりする。予約は、こうした移動先を予測できる範囲に置くための仕組みだった。
技術文書で最も足の速い登場人物は、例として書かれたURLかもしれない。作者は一段落を説明するために作る。読者はその一行をコピーする。注意書きは紙面に残り、ホスト名だけが設定ファイルや試験データと一緒に旅に出る。DNSは、文字列に「これは教材です」という名札を付けてくれない。
D. EastlakeとA. Panitzによる1999年6月のRFC 2606は、この地味な出来事を名前の調整問題として扱った。文書はBCP 32、Best Current Practiceである。たとえば研究室がDNSコードを試すため、その時点で使われていないトップレベルのラベルを独自に立てる。後日、同じラベルが世界のDNSに現れれば、実験用のローカルな領域が利用者から本物の領域を隠し得る。逆に試験プログラムが研究室を出て、作者の想定外の実在する宛先へ向かうこともある。
対策として文書は四つのトップレベル名を並べた。.testはDNS関連コードの試験に勧められた。.exampleは文書と例示のため。.invalidは見た目から無効と分かる名前を作るため。.localhostはホスト実装でループバックに結び付けられてきたローカル用途を守るためだった。四つとも「特別な名前」で片付けると、役割の違いが消える。棚の引き出しは、見出しを読んでから開けるものだ。
さらにRFCは、IANAが確保していた三つの第二レベル名を記す。example.com、example.net、example.orgである。通常の.comなどの下で、普通のウェブサイトに見える例を示したい場面に向いていた。フォームの説明やURLの書式例で、知らない誰かのドメインを借りずに済む。架空の店が現実の商店街に紛れ込まないよう、展示用の店名に正式な札を付けたわけだ。
.exampleとexample.comの違いも肝心だ。前者はトップレベルのラベル全体が例示用に留保される。後者では.comは一般の名前空間のままで、特定のexampleという名前だけが確保される。RFCは二種類を混同せず、試験と説明の現場で必要な住所の形を選べるようにした。
文書のセキュリティ節では、手順書が現場で起こすことを率直に書いている。試験ソフトは閉じた環境から出る。文書「だけ」の例がプログラムとなって配布される。軽い気持ちで作った名前は後に持ち主を得て、名前を巡る権利の問題まで呼び込む可能性がある。RFCが記したのは発生件数ではなく、設計時に避けるべき経路だ。解決策は目立たない。少数の名前を選び、用途を公表し、一般の割り当てから外す。芝居の書き割りに、本物の土地台帳を使った。
IANAの現在の説明でも、例示用ドメインは文書に事前の相談なく使え、登録や移転の対象にならない。IANAは用途を知らせるウェブページを置く一方、そのHTTPサービスにアプリケーションの稼働を依存させないよう案内する。1999年に定めた住所の役割と、今日そこに掲げられた案内板の役割は分かれている。
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