要約
- 10月7日のスナップショットは申請件数と申請者数を別々に集計している。北米は両方で最多だが、全申請の53.5%に対し申請者の41.2%。アジア・オーストラリア・太平洋地域では逆の差が見える。
- このデータが示すのは申請の量と掲載された申請者数である。地域の代表性、機会の平等、周知活動の到達度、後続の審査結果を測るものではない。
分母が変わると地域の地図も変わる
ICANNの2026年新gTLDラウンドで、地域別の公開データがそろった。10月7日の発表は1,615件の申請を五つの地域に分ける。同日公開のApplication Publication and Statistics(APS)統計ページには、総数481の申請者が地域別に掲載された。表ごとに読むならどちらも有用だが、同じものを数えていると考えると、実態を取り違える。
| 地域 | 申請件数(1,615件中) | 申請者の構成(全481) |
|---|---|---|
| アフリカ | 16(1.0%) | 7(1.5%) |
| アジア・オーストラリア・太平洋 | 218(13.5%) | 156(32.4%) |
| 欧州 | 506(31.3%) | 111(23.1%) |
| 中南米・カリブ海 | 11(0.7%) | 9(1.9%) |
| 北米 | 864(53.5%) | 198(41.2%) |
大きな差は集計の矛盾ではなく、単位の違いだ。北米は申請件数の半分以上を占めるが、申請者では五分の二強にとどまる。アジア・オーストラリア・太平洋地域は、申請者数に占める割合が申請件数の割合を大きく上回る。一つの申請者が複数の申請を出せるため、申請件数は参加組織の数より速く増えうる。
この違いは、ラウンドを世界市場として説明する際に重要になる。北米の864件を前面に出すと、申請者198という数字から受ける印象より、北米の参加が大きく見える。反対に、アジアなどの218件だけでは、その申請を行った申請者の数は分からない。二つの指標は代用できない。前者は申請量、後者は申請者数を示す。
数は地域の代表を意味しない
統計には、なお分からないことがある。各地域で申請資格を持つ組織が何社あったのか、何社がラウンドを知ったのか、手続きを始めて途中でやめたのか、費用が意思決定にどう影響したのかは載っていない。将来、採用されたドメインを使う人の所在地も示さない。申請者はインターネット利用者の標本ではなく、申請に記載された地域が、その地域の人々を代弁する資格を与えるわけでもない。
これは数字の読み方に関する限界であり、不正や制度の失敗を示す証拠ではない。現行の集計から、不均等な障壁があったとは言えない。同時に、アクセスが公平だったとも証明できない。判断には、明示された目的と、それに対応するデータが要る。たとえば、資格を持つ組織、周知の到達範囲、費用、申請の進み方、最終結果である。このスナップショットはそうした分母を提供していない。
日付も見落とせない。ICANNによれば、数値は10月7日時点のプライマリ文字列申請データだ。APSの案内では、String Confirmation Dayまでサイトは更新されない。申請者は10月21日まで、条件を満たす代替文字列を選べる。最終一覧と更新された競合セットは11月17日に公表される予定だ。代替文字列は申請一覧で別のレコードとして表示されることがあるが、統計上は一件の申請として数えられる。したがって1,615件は日付の付いた申請件数であり、最終的な固有文字列の数でも、委任されるレジストリ数でもない。
有用な公開記録は、二種類の地域分布を定義付きで残す。次回の更新でも日付と分母を保ち、代替、審査、一般からの意見、異議、契約の各段階を分けて示すべきだ。そうすれば、申請量が増えたのか、申請者層が広がったのかを、どちらかの数字を投票結果と見なさずに確かめられる。
出典:ICANNの10月7日発表、APS統計、APSの更新日程、申請情報と代替文字列、APSの公開案内、ICANNが9月29日に発表した2026年の主要日程。
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