要約

  • Harrods UKは、控訴記録上の登録者に対する人的管轄をバージニア州で確保できなかったとして、ACPAの対物条項に基づき60のドメイン名を訴えた。
  • 第四巡回区控訴裁判所は、15 U.S.C. § 1125(d)(2)が、適切な場合には悪意登録だけでなく商標侵害と希釈化の請求にも利用できると判断した。レジストラの所在地だけで実体責任が成立するとは述べていない。
  • 公開判決は54のドメイン名に関する判断を維持し、侵害・希釈化請求の却下と6ドメイン名に関する略式判決を取り消して差し戻した。差戻し後の結論と最終的な管理状態は、この資料群からは確認できない。

表題が変えたのは法廷への経路であり、立証責任ではない

事件の出発点には、権利者が責任を問いたい主体と、裁判所が実際に到達できる主体とのずれがあった。第四巡回区判決によれば、Harrods UKはACPAの対物条項を使い、訴訟記録上Harrods BAと結び付けられた60のドメイン名を被告とした。登録者は識別不能だったわけではない。しかし、バージニア州でドメイン名を登録したという事実だけでは、その登録者に対する人的管轄は成立しなかった。

ここで重要なのは、手続と実体を分けることである。§ 1125(d)(2)は、ドメイン名が保護対象となる標章権を侵害し、さらに権利者が予定被告に対する人的管轄を得られない場合、または制定法が定める相当な通知手続を尽くした場合に限って、対物訴訟を認める。訴訟の対象が人からドメイン名に変わっても、「登録地がここにあるから違法だ」という結論にはならない。

地方裁判所の当初の処理は、この区別を鮮明にした。Harrods UKは悪意登録、商標侵害、希釈化を主張した。地方裁判所は対物条項を§ 1125(d)(1)の悪意登録請求に限られるものと解釈し、侵害と希釈化の請求を退けた。元の悪意登録請求も、悪意の主張が十分でないとして、再提起を妨げない形で退けられた。

控訴判決は審理可能な請求を広げたが、権利帰属を推定しなかった

第四巡回区控訴裁判所は、この限定的な読み方を採用しなかった。対物条項は、ドメイン名が標章権者の「いずれかの権利」を侵害する場合を対象としており、そこには侵害条項や希釈化条項が保護する権利も含まれ得る。したがって、法定要件を満たすなら、対物手続は悪意登録請求だけでなく、侵害と希釈化の請求を運ぶことができる。

ただし、請求を審理に戻すことと、その請求を認容することは別である。控訴裁判所は侵害・希釈化請求の却下を取り消し、さらなる審理のために差し戻した。差戻しは争点を下級審に戻す手続であり、保存されていない後続記録の内容を代わりに示すものではない。後にどちらが勝ったのか、特定のドメイン名に移転命令が出たのか、別の形で終結したのかは、この資料群だけでは判断できない。

6つのドメイン名に関する略式判決にも同じ慎重さが必要だ。控訴裁判所は、十分な証拠開示の前に略式判決が出されたとして、その部分を取り消した。これは審理の時期と手続を正す判断であり、最終的な実体判断を先取りするものではない。一方、残る54のドメイン名については、地方裁判所が利益を得る悪意を認定し、移転を命じたと公開判決は記している。ただし本資料群は、命令後の実装や最終的な管理状態を独立に立証しない。

登録地は管理上の接点であって、実体的な権利ではない

ドメイン名側は対物管轄そのものを争った。第四巡回区控訴裁判所は、本件の事実と制定法の枠組みの下では、バージニア州での登録上の結び付きが憲法上の対物管轄を支えると判断した。その理由付けは、紛争をドメイン名それ自体と、同州で登録された財産をめぐる争いを処理するバージニア州の利益に結び付けた。

しかし、この判断を技術運用者の実体決定権と読み替えることはできない。判決が述べたのは、具体的な事実と法定手続の下で裁判所が管轄を行使できるという点である。商標侵害の成否は主張された商標権に依存し、悪意登録の成否は別の法定基準に依存する。

制定法の執行設計も同じ境界を示す。提起済みの対物訴訟について適用される通知を受けた後、レジストラ、レジストリ、その他のドメイン名管理機関は、裁判所が管理権と処分権を確立するために必要な文書を裁判所へ提出しなければならない。係属中は、裁判所の命令がない限り、ドメイン名を移転、停止、その他変更してはならない。これは司法判断を技術的な管理層で実行するための経路であり、その経路がすべての事件で正しく使われたことを証明するものではない。

コストはドメイン名だけの表題の外側に残る

ドメイン名を被告と呼ぶと、誰が運用上の負担を負うのかが見えにくくなる。権利者は商標権、管轄、通知の記録を整えなければならない。登録者は法廷に本人として現れなくても、実務上の管理を失う可能性がある。レジストラとレジストリは、保全や移転の命令を実施する負担を負う。利用者は、法的根拠を理解する前に、慣れた入口が利用できなくなることもある。

だからこそ、対物救済の上限は重要である。§ 1125(d)(2)が認める救済は、ドメイン名の没収、取消し、移転に限られる。対物形式を選んだだけで損害賠償が生じるわけではない。この制限は、救済を裁判所が管理できる登録対象に合わせ、DNSの運用経路が名称に関するあらゆる商業紛争を裁く一般権限であるかのような誤解を防ぐ。

保存された記録だけでは決められないこと

公開された控訴判決は、自らの判示と記載された手続経過について強い証拠である。しかし、有効な訴状、送達・公告記録、証拠資料、レジストリへの保全書類、控訴裁判所が判断を下級審へ正式に送付する命令書(appellate mandate)、差戻し後の全記録、最終的なドメイン名の管理・処分記録を置き換えるものではない。本資料群は、差戻された侵害・希釈化請求がどう終結したか、各ドメイン名が後に移転されたか、管理機関がどの操作を行ったかを確認していない。

この不確実性は、事件の結論の一部である。ドメイン名を被告欄に置くことで、登録者に到達できないという手続上の問題を解ける場合はある。しかし、それによって法定要件が消えることはなく、複数の請求が一つの認定にまとめられることもない。保存されていない管理上の結果を、裁判所がすでに示した実体判断として扱うこともできない。

出典